今夜2004/10/26(火)の朝日新聞の夕刊に梅原猛氏の『反時代的密語』というコラムがあって、今回のテーマは「なぜ、縄文文化か」だ。
梅原氏は以前から縄文時代の文化が日本の文化の基層にあると主張していて、非常に共感を覚えたものだった。
氏がこれまで縄文文化について主張してきたことは、以下の3点だ。
縄文人たちは、自然と共存する道を選んで生きていた。そして人間と動物とも共存する道も。森を破壊する田畑を作らなかった。アイヌが行うような「熊送り」のような動物をあの世へ送る儀式も、縄文時代からされていた。
アイヌのイヨマンテ(熊送り)の儀式を「残酷だ」と思う人もいるかもしれないが、あれはクマというカムイ(神)を感謝の念を込めて丁重にあの世へお送りする儀式なのだ。
縄文時代の日本は、食物が豊富で四季の自然に恵まれ、争いが少ない夢のような社会だった。大陸の人々から見て「ユートピア」だった。だからこそ、さまざまな人種が大陸から日本へ渡って来た。「日の昇る方向に夢のような国がある」という噂がユーラシア大陸中に広まっていたかもしれない。そして人々は東へ東へと旅した。
日本人の祖先は、縄文人たちと、そのようにして海を越えて渡ってきた人々とが交じり合ってできた「混血民族」だ。だから、日本は「人種のふきだまり」であり、「文化のふきだまり」なのだ。
中にはシュメール人もいればユダヤ人も、そしてコーカソイド(白人)もいたかもしれない。決して単一民族ではないことは、最新の日本人のルーツの研究によって確かめられつつある。
しかし、そのような渡来民たちが入り込んできたがために、争いが多くなり、縄文人たちの文化は次第に消えていくか、または弥生文化に習合されていった。
以下に梅原氏の言葉を引用する。
農耕文明及びそれに続く工業文明の発明によって人類は巨大な文明をつくってきたが、それは人類の滅亡への道ではないか。人類はもう一度、生きとし生けるものとの共存を図り、あらゆる生命が無限に循環することを理想とする世界観を取り戻さねばならない。
−『反時代的密語』、梅原猛、2004年10月26日、朝日新聞夕刊
自分が言いたかったことを代弁してくれているようで、こういうことを言う思想家が日本にいるということが嬉しくなる。
縄文人的発想が今の世界にとって欠けているものであり、縄文文化を見直して自然と共存する道を選ぶことによって、危機に瀕した地球を滅亡から救うことができるかもしれない。
さて、人類の滅亡?
かつてアーサー・C・クラークは、「私は楽観主義者です。人類が生き残る可能性は、51パーセントあります」と言った。
異常気象が異常でなくなってしまった現代。
猛暑、台風、地震、火山爆発…。
二十一世紀になり、なぜこうも天変地異が続くのか。
なぜ自殺者が多いのか?
なぜストレスをためる人が多いの?
なぜ経済的に豊かになっても幸せになれないの?
お金もグルメもセックスも飽きるほどあるのに、なぜ?
なぜ、なぜ、なぜ?
世界戦争がいつ起きてもおかしくないこの惑星だが…。
今なら、まだ間に合うかもしれない。
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