探求三昧(はてな支部) - 地震前兆/超常現象研究家・百瀬直也が地震・災害予知・防災・予言などを探求

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暮らしの中の御願(うぐゎん)


沖縄で買ってきた本『暮らしの中の御願(うぐゎん)−沖縄の癒しと祈り』(高橋恵子ボーダーインク)読了。

また素晴らしい本に出逢った。
タイトルだけでは、この本がどういう本かはよくわからないかもしれない。
沖縄の民間信仰用語をキーワードとして、それにまつわる話を書き綴るエッセイを集めたものだ。
以下に、「まえがき」から引用する。

今日のように心が失われつつある時に、まさに沖縄の伝統的な精神生活について、その中心をなす民間信仰について、ユタについて、その良い面も悪い面もじっくりと考えて欲しい。
『暮らしの中の御願(うぐゎん)−沖縄の癒しと祈り』(高橋恵子ボーダーインク)より

たとえば上に書いたキーワードには「ウグァンブスク」「マブイグミ」「フトゥチウグヮン」「グソーヌニービチ」などがある。敢えて訳語は書かないが、沖縄のカミンチュー(ユタ)などの事情に詳しい人ならば聞いたことがある言葉だろう。
実際、この本には、ある人がユタに判示を受けて、こういう風に言われて、こういう風に助かったとか、そういう話がたくさん出てくる。
それだけではなく、実はこの著者の高橋恵子さん自身が、子供の頃から「サーダカウマリ*1」と言われた人なのだ。

この人の著作には『沖縄の御願ことば辞典』というこれまた素晴らしい本があるが、これは民間信仰用語辞典であり、これを読んだだけでは、この人自身がユタやカミンチューや沖縄の民間信仰について親和的・好意的な見方をしているとは思えない。

上記の辞典に盛り込んだコラムが好評だったために、この本が生まれたようだ。沖縄の不思議な世界を、自身の体験や身近な人々の話というリアルな体験として語られるから、とても説得力がある。
カミンチュー(ユタ)に興味がある人には絶対に退屈を感じさせない本だと思うし、また霊的な意味でも「実用的な」本だ。たとえば「生きた人の遺念(イチイニン)」の項では、こうある。

症状としては咳こんで胸の痛みをともなったり、肩凝りをしたりなど胸、肩、首に異常が生じることが多いと言われている。
『暮らしの中の御願(うぐゎん)−沖縄の癒しと祈り』(高橋恵子ボーダーインク)より

単に沖縄の民俗を採集し客観的に記述する民俗学者の本だったら、こういう情報は得られないだろう。
そのへんが、琉球の霊的世界を探求する人々にも薦められるところだ。
たとえば今これを読んでいるあなたが、「ヒヌカン☆クラブって入ってみたいけど…」と考えたことがある人ならば、2400円(+税)は決して高くはないだろう。それだけの文字数は詰まっていないかもしれないが、それだけの情報のエッセンスは詰まっている。

それから、上に書いた『沖縄の御願ことば辞典』(高橋恵子ボーダーインク)も、これまた巣晴らしい本で、沖縄スピリチュアルワールドを深く探求したい人には必携の本だろう。特にナイチャー*2はこういう探求の中で言葉の壁に突き当たることが多いので。

蛇足だが、ボーダーインクという沖縄の出版社は本当に買いたいと思わせる良い本をたくさん出しているところだ。

沖縄の御願ことば辞典

沖縄の御願ことば辞典

*1:性高生まれ。霊感や霊力が高い人のことを言う

*2:内地の人の意。沖縄の人々が内地の人をこう呼ぶ


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