探求三昧(はてな支部) - 地震前兆/超常現象研究家・百瀬直也が地震・災害予知・防災・予言などを探求

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キリストは来ないだろう


巷ではクリスマスが近づいて、クリスチャンでもない人々が聖なる夜にドンチャン騒ぎをするのをするのを見ていると、日本という国に対して絶望的な気持になってくる。
そういう中で、密かに楽しみにしている番組がある。
小田和正の『クリスマスの約束』だ。
2001年秋、小田和正は7つの名曲を選び、それを歌うアーチストたちに手紙を書いた。
クリスマスの夜に、その歌を僕と一緒に歌ってくださいというお願いの手紙を。
だが、誰一人として来てはくれなかった。2002年も同じで、去年の2003年は一転して、ミスチルの桜井とかスターダストレビュー根本要とかゆずとか財津和夫が出演して会場を沸かせた。
スタレビといえば『木蓮の涙』。日本の隠れた名曲のひとつだろう。
オリジナルよりも、あのライヴでピアノだけで(?)二人がハモったヴァージョンの方が泣かせる。


去年、小田和正ミスチルの桜井が事前の打ち合わせをしていて、ちょっと意見が分かれたところがある。メッセージ色の強い歌を歌うかどうかについて、だ。
例の「子供たちを被害者に…」と歌う『タガタメ』だった。
ああいう曲を歌うMr.Childrenというグループには、期待が持てる。


小田和正の言い分は、メッセージソングも良いけれど、エンターテインメント的な要素も大切だということだった。
たしかにあの歌はかなり過激だが、小田和正の方が、昔はよっぽど「過激」だったということを知る人は少ないだろう。
オフコースの初期の頃には、『キリストは来ないだろう』なんていう歌を歌っていたのだから。
この歌は、よっぽどのファン以外には、ほとんど知られていない。ライブ版にしか収録されていないということもあって。
このタイトルを見ただけで、歌を聴かなくても何を言いたいかは、わかる人にはわかるだろう。
人々の心にほんの少しの愛さえあったならば、この世界もなんとか変えていけだだろうに…という、いってみれば世界に対して絶望したという内容だ。
中期の『生まれ来る子供たちのために』では、現代の賛美歌を作りたかったと語っていた。
この人の書く歌は、ありふれた男女の愛を歌ったものと見せかけて、実は人類愛のような普遍的なものを歌った歌があるので、油断がならない。
男女の愛を越えたものとしての愛なのだ。小田和正は頭がいい人だから、大仰な歌を作りたくないのだろう。
たとえば、あの名曲『I LOVE YOU』もそういう曲の一つではないかと睨んでいる。
最初に出たシングルヴァージョンで、後半部分で全員がユニゾンで合唱しているところを見ても、そう思う。


昔、松岡正剛が編集長をしていた『遊』という雑誌にオフコースの『I LOVE YOU』の広告が載っていた。
たしか国会で議員たちが乱闘している場面の写真だった。珍しく「芸」がある広告だと思ったものだ。
飛行機の操縦士の服装に身を包んだ白人の女性の写真に「愛したい、愛せない」というコピーが付いた広告もあったが、これは別の広告だったかもしれない。


メッセージ色云々の話に戻ると、小田和正が『タガタメ』を歌うことに難色を示したのは、そういう歌が嫌いだからということではなく、むしろ内容には共感しているだろうと推測する。
ただ、自分が昔「過激」だったから、そういう「反省」を含めてそういう態度に出たのかもしれない。
結局、去年の『クリスマスの約束』では、その歌は歌われた。桜井氏が歌うオフコースの『言葉にならない』に続くメドレーとして。


オフコースといえば、かつては日本の音楽界の中で時代を先行していたグループだった。
山下洋輔坂本龍一矢野顕子といった人々には指示される、玄人受けするバンドだった。
初期の頃は「日本のカーペンターズ」と言われたように、二人だけですべてのコーラスを多重録音でやっていた。音楽的にいうと、クローズドハーモニーという手法を使ったり、高度なことをさらりとやってのけていた。
前述の山下洋輔がかつて言っていたのは、オフコースが好きだというと馬鹿にされるが、RCサクセションだったら大丈夫だということ。たしかにあの頃は、そういう空気はあった。


【関連サイト】


『キリストは来ないだろう』は、このライブアルバムだけに収録されている。

秋ゆく街で

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