11月の沖縄聖地巡礼の際に購入した本をいままで何冊か紹介したが、この本は東京を発つ数日前に、高田馬場の古書フェアで買ったもの。
買ったというか、買わされたというか。「沖縄の戦いの真実の歴史を見ておきなさい」ということなのか。あまりにもタイミングが良すぎる本との出会いだった。
たしかに、この本を読めば、第二次世界大戦の沖縄の真実がわかる。というか、この本を読まなければ、文字だけの本をいくら読んでも、この本で得るほどの衝撃は伝わってこない。
『写真記録 これが沖縄戦だ 改訂版』(大田昌秀・編著、那覇出版社)
- 作者: 大田昌秀
- 出版社/メーカー: 那覇出版社
- 発売日: 1998/06
- メディア: 単行本
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第二次世界単線中の沖縄で、どれだけ悲惨な事態が発生していたかについて、いまの日本に生きる本土の人々が十分によく知っているとは到底言いがたい。
しかし、そのことは、この本の1ページ目に、たった一言で言い尽くされている。
それは、米国のある著名な従軍記者が書き残した「戦争の醜さの極地だ」という言葉だ。
この本がどれだけ重要な価値をもった本であるかは、簡単に言い尽くせない。著者が長年かけて、米国の政府機関・軍事機関や図書館を訪ね歩いて入手した写真を豊富に使い、沖縄戦の実態を世に伝えるべく出した本だ。だから、ここに出てくる写真は、他の本では見ることのできないものばかりだ。
はっきり言って、壮絶極まりない写真集だ。
殺された日本軍兵士や民間人たちの死体が転がっている様が、米軍の従軍カメラマンたちによって撮影されている。もちろんモノクロだが、それらの写真が無修正で掲載されている。目を開いた生首が転がっている場面の写真もある。小心な方や心臓が弱い方は、読まないようにしてください。
個人的には、戦争というものの酷さを思い知らされた本書の一文が心に残っている。
それは、沖縄から米国へ移民した人々が、時によっては血を分けた肉親と戦わなければならなかったということだ。
それともうひとつ、日本人として忘れてならないのは、「加害者としての日本」のことだ。そのことについても、著者は書いている。
たしかに沖縄戦を通して、あるいは第二次世界大戦の過程で日本軍がアジアに対して犯した数々の非道な殺りくと意見を省みるとき、日本人の国民性について深く考えざるをえない。
『写真記録 これが沖縄戦だ 改訂版』(大田昌秀・編著、那覇出版社)より
この本を読んで、ひとつだけ残念に思ったことがある。
沖縄の人が本土の人間たちに気兼ねして書いた本であるためか、本土の人間たちが沖縄の人たちに対してどれだけ酷いことをしてきたかについて、まったく書かれていないということだ。
沖縄の人々の真の敵は、米軍ではなくて日本人だったと言われている。その意味するところは、この本を読んでもわからない。
悲惨な戦争の歴史を後代に語り継ぐためにも、絶対に絶版になってほしくない1冊だ。