『これから注意すべき地震噴火』(木村政昭、青春出版社PlayBooks、2004年、880円+税)
緊急警告 これから注意すべき地震・噴火―阪神・新潟・三宅…を予測した方程式が示す危機 (プレイブックス)
- 作者: 木村政昭
- 出版社/メーカー: 青春出版社
- 発売日: 2004/12
- メディア: 新書
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数週間前に読了していた本だが、読書ノートとなると簡単に書いて終わりというわけにはいかないので、遅れてしまった。
こういう時だからこそ、緊急を要する本であって、多くの人にぜひ読んでもらいたいものなのに。
木村政昭氏は琉球大学教授だが、与那国の海底遺跡をいち早く調査した人として知られている。
また地震の研究でも知られ、様々な大地震や火山噴火を予知した人として話題を呼んでいる。
たとえば、三宅島や大島三原山の噴火を事前に予測し、阪神大震災の危険を指摘し、また最近ではあの新潟県中越地震の発生を予測していた。
木村政昭教授が地震予知に重点を置いているものの一つに、『第二種空白域』がある。
空白域というのは、ある程度の時間を置いて通常の地震活動が起こっていない地域のことで、そういうところはストレス(エネルギー)がたまっていると考える。
第二種空白域とは、『ドーナツ現象』が起きている区域のこと。ドーナツ現象とは何かというと、地震が起きているところを地図上にプロットするとドーナツの輪のように浮かび上がるので、そう呼ばれている。
周囲には細かな地震が続発しているにもかかわらず、輪の中だけは地震が少なくなっていて、その空白域こそ、大地震の危険が潜んでいると木村教授は考える。
上記のドーナツ現象よりも更に危険な予兆として、木村教授が『ドーナツアイ』とか『地震の目』と呼んでいるものがある。
これは、ドーナツの輪の中で小地震が頻繁に起きてくることを差す。
昨年10月の新潟県中越地震の発生前にも、1985年頃から、このドーナツアイ現象が起きはじめていたという。
木村教授によれば、地震と火山の噴火は密接な関係があり、火山の噴火によってある程度大地震の時期を予測できるという。
たとえば大島三原山噴火(1912年)の11年後に関東大震災(1923年)が発生し、大島三原山噴火(1950年)の3年後に房総沖地震(1953年)というような具合に、特定の火山噴火の後に大地震が起きていて、その火山と震央との距離と、地震発生までの時間に相関関係があるというのだ。
このような研究の結果として、木村教授が今もっとも危険な空白域としてあげている推定第二種空白域』を以下に紹介する。
【推定第二種空白域】
◎もっとも緊急度が高いもの
- 銚子沖
- 房総南方沖
◎上記以外の空白域
誤解なきように書いておくが、上記以外の地域が安全だというわけでは決してない。
他にも注意が必要な地域を、この本では詳細に解説しているが、詳しくは本を読んでください。
はっきり言って、木村教授の学説は学界で受け入れられたものとはいえないようだ。
だが、学界や国はいまだに東海地震ばかりに目を向け、そのあいだに新潟県中越地震などの大地震が起きてしまったのは事実だろう。
いまわれわれにとって必要なのは、学界で受け入れられたものかどうかよりも、実用的に地震を予知できる方法論だろう。
なお、昨年のブログで、木村政昭教授の『”日本列島”謎の噴火・地震 これから起きること』(木村政昭、青春出版PlayBooks、1994)をブックオフで買ったと書いたが、これについては、『これから注意すべき地震噴火』がその延長線上にある本ということで、読書ノートとして紹介するのは省略する。
【参考サイト】