下で書いた『宮古島の神と森を考える会』シンポジウムの話題に関連して。
この会の会長である谷川健一氏といえば、あの衝撃的な『神に追われて』というノンフィクション的小説はいつまでも忘れられません。
絶版になってしまったのが本当に残念です。
以前にこのブログで読書ノートを書いていると思い込んでいたら、ここでは書いていませんでした。
そこで、以前に百福書房の沖縄特集で書いた書評を貼り付けておきます。
- 作者: 谷川健一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2000/07
- メディア: 単行本
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まず帯のコピーがすごい。『逃げても、逃げても、神は追ってくる。−神に憑かれた人たちの衝撃的な宗教体験。』
小説という形態をとっているが、宮古島のカンカカリャ(ユタ)根間カナを中心とした、「神に追われ」てユタになった人々の衝撃的・感動的作品。民俗学の権威が書いた小説。登場人物の名前が仮名になっている以外は、すべて実話。主人公のモデルは全国的に知られたカンカカリャである。著者は日本の民俗学の権威。
ユタを題材にした小説というのは今までいくつかあったが、神に「追われた」女性たちが神ダーリィ(巫病)を経てユタに成っていく過程を描いたくだりなどは、フィクション作品がぶっ飛んでしまうほどのインパクトをもっている。
ここに登場する何人かの神に魅入られた人々は、ユタと呼ばれる人々の中ではさほど特別な存在ではない。それなのにこれだけ過酷な原体験があるのだから、 琉球のカミンチュー(神人)たちの人生はまさにドラマティックだ。
※残念ながら絶版・重版未定ですが、左記のリンクでAmazonユーズドストアで、運が良ければ買えるでしょう。
付記:
Amazonユーズドストアでは、現時点で何冊かあるみたいですが、メッチャ高いですよ。
それだけ価値があり、喉から手が出るほど読みたいという人が多い本ということでしょう。