この週末も、家にこもって『ビードロ』(コードネーム)の原稿を執筆していた。
この作品は、私のイスラエル聖地巡礼記とイエスの生涯を交互に描く「綴れ織り」だ。
ヴィア・ドロローサの部分は、なかなか筆が進まない。
イエスさまがあの道を歩いて十字架に架けられるまでに味わった悲しみと、どうしたら深く共感して同調できるだろうか。
どうしたら「パッション」を得られるだろうか。
さきほど風呂に浸かりながら、そういうことを考えていた。
いつかしら、頭の中に「キーリエ、キリーエ…」の女声合唱が流れていた。
「そうだ、これだ!」
ヨハン・セバスチャン・バッハの最高傑作とされる『ミサ曲ロ短調』の中の「キリエ」
「キリエ・エレイソン」(ギリシャ語で「主よ、憐れみ給え」の意)と合唱が繰り返される。
バッハが生前の最後の日まで創作を続けていたという曲だ。
教会音楽が好きで、昔はよく聴いていた。
バッハのカンタータや無伴奏の教会音楽など。
およそ音楽と呼ばれるものの中で、神に捧げられた音楽ほど深い宗教的な感動を呼ぶものはないだろうと思っている。
風呂から上がって、さっそくCDを取り出した。
グスタフ・レオンハルト指揮、オランダ・コレギウム・ムジクム・バッハ合唱団、ラ・プティト・バンドによる1985年の演奏だ。
- アーティスト: レオンハルト(グスタフ),プールナール(イザベル),ロランス(ギュメット),ヤーコプス(ルネ),エルウィス(ジョン),エグモント(マックス・ファン),カンプ(ハリー・ファン・デル),バッハ,ラ・プティット・バンド
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2005/06/22
- メディア: CD
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イエスの深い悲しみに浸り同調するために、ヴィア・ドロローサの部分を執筆するときには、この2枚組のCDを流そうと決めた。
バッハの教会カンタータなどが好きな人ならば、抵抗なく入っていけることができるだろう。