昨日書いた記事について、ちょっと補足します。
まだ読んでいない人は、まずこちらからどうぞ。↓
- [探求]あなたの先祖はどこから来た?
http://d.hatena.ne.jp/nmomose/20060716/dna
昨日は、いきなりDNAだの何だの書いても、わかりにくかったかもしれませんね。
まず、Wikipediaのこちらのページを読んでみてください。「遺伝的調査」の項だけでいいです。↓
上記ページで書いてあることは、要するにY染色体とミトコンドリアDNAという2種類の遺伝子を調べることによって、自分の遠い祖先のことがある程度わかるようになってきたということです。
Y染色体の方は男性にだけ遺伝していくため、これによって調べられるのは、男性に限られます。
逆に、ミトコンドリアDNA(mtDNA)の方は、女性だけが調査を依頼できます。
こういうことを調べる有料のサービスが海外で始まっているのは、昨日書いた通りです。
ミトコンドリアDNAの方は、数年前に「イヴの七人の娘たち」で有名になりました。
自分と逆の性の祖先について調べたい
この方法によると、基本的に、たとえば男性の場合は、父系の祖先を調べることしかできません。
もし、男性が自分の母系の祖先について調べたいというときは、どうすればいいか?
そういう場合は、たとえば自分の母親が存命であれば、母のDNAを採取して調査してもらうという手がありますね。
またはお姉さんとか妹とか、女兄弟でも、基本的に調査結果に変わりはないでしょうね。
その逆も同じです。
この調査は、いろいろな使い道(?)があって、たとえば昨日紹介した「ユダヤ人の祖先」調べでは、たとえば同性の二人の人物が血の繋がった親戚関係にあるかどうかを調べることもできるんです。
調査結果にはサティフィケイト(証明書)が添付されますから、たとえば父親と息子が本当に親子かどうかの証明にもなるでしょうね。
もっとも、法的な有効性についてはわかりませんが。
ちなみに、昨日紹介した「ジェノグラフィック・プロジェクト」のページには、こういう注意書きがありました。
ご注意いただきたいのは、これらの分析は家系図を調べるものではありません。家系図に載っているような個人名が分かるわけではありませんし、曽祖父母が暮らしていた場所を明らかにするものでもありません。
読んで笑ってしまうけれど、こういう断り書きを書かないと、上記のような誤解をして申し込んでくる人もいるのでしょうね。
ひいおじいさんが住んでいた場所(住所)の情報が自分のDNAに記録されていると思っている人がいるんでしょうか?
参考になる本
こういうことに興味がある人には、こういう本がお奨めです。
◎DNA人類進化学
宝来聡
- 作者: 宝来聰
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1997/07/22
- メディア: 単行本
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この宝来氏という科学者には、以前から注目していました。
「日本人は、いったいどこからやってきたのだろうか?」という疑問を探求するために、DNAに着目した人です。
この人のやり方はミトコンドリアDNAによるものなので、人々の母系の祖先をたどっていって日本人の祖先を調べるというものです。
近年の日本人のルーツに関する本で、必ずといって良いほど引用される研究です。
宝来氏によれば、本土日本人の半分ぐらいは、大陸系の人々(中国人と韓国人を含む)と同じDNAのパターンをもっていることがわかりました。
この研究結果によると、本土日本人は縄文系と渡来系の遺伝子をほぼ半々にもっていることになり、日本人混血説(単一民族ではない)を支持する結果になっています。
アイヌと琉球人については、縄文人の直系の子孫として遺伝的に近い位置にあるが、両者は12000年ぐらい前には分離していたらしいということです。
他にもいろいろと面白いことがわかっています。
科学的計算式が出てくるような本ではなく、一般人にもわかりやすいように書かれています。
【参考サイト】