先日、久保有政の『日本の中のユダヤ文化』を読み返していて再認識したのが、『古事記』『日本書紀』と聖書の類似点の問題です。
これはやっぱりまとめて書かなければならないことだと思い、何回かに分けて紹介することにします。
『日本の中のユダヤ文化』については、以前に紹介しておきました。↓
あの学研の「MU SUPER MYSTERY BOOKS」の1冊で、本来はあんまりお金を出して買いたいと思わないシリーズなんですが、そういう先入観にとらわれないで読んでみることをお奨めします。
著者の久保田さんという人はクリスチャンの人なんですが、非常に真面目な態度で、この問題を扱っています。
ユダヤ人ラビであるマーヴィン・トケイヤー氏との共著なども良い本ですね。

日本の中のユダヤ文化―聖書に隠された神道のルーツと極東イスラエルの真相 (ムー・スーパーミステリーブックス)
- 作者: 久保有政
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 2003/07
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同じシリーズで、『仏教の中のユダヤ文化』というのもあって、こちらも古代イスラエルと仏教の関係について、非常に興味深いことが書かれています。

仏教の中のユダヤ文化―聖書から見た釈迦の教えと聖徳太子伝説 (ムー・スーパーミステリー・ブックス)
- 作者: 久保有政
- 出版社/メーカー: 学習研究社
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マーヴィン・トケイヤー氏
今回紹介するのは、天皇の祖神・祖先たちと旧約聖書に登場する人々の物語で、非常に似通っている部分があるということです。
これから書くことは、ユダヤ人の故ヨセフ・アイデルバーグ氏が最初に主張したものだと思い込んでいましたが、『大和民族はユダヤ人だった』(たま出版)などの氏の著書を読み返すと、どうもそうではないようです。
最初にこのことを読んだのは、マーヴィン・トケイヤー氏の『聖書に隠された日本・ユダヤ封印の古代史−失われた10部族の謎』でした。

聖書に隠された日本・ユダヤ封印の古代史―失われた10部族の謎 (Natura‐eye Mysteria)
- 作者: ラビ・マーヴィントケイヤー,Rabbi Marvin Tokayer,久保有政
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1999/01
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この本によると、ヤコブやヨセフなどの聖書の登場人物と日本の皇室の祖神とを比較したのは、「日本人のある学者」とあります。
それが誰なのかわからなかったのですが、ネットで検索したところ、『東アジアの古代文化』(第66号 90年冬)の記事で「ニニギノミコトとヤコブ」(井本英一)というのがあるので、これなのかもしれません。
井本英一著の『夢の神話学』という本でも書かれているようです。

- 作者: 井本英一
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 1997/11
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ヤコブ
まずは、創世記に登場するヘブライ人の族長ヤコブです。
別名をイスラエルといい、この人の名前が古代イスラエル人たちの国家の名称にもなりました。
面白いのは、Wikipediaのヤコブの項でも、「ヤコブと神道のニニギ」という小見出しとともに、ヤコブとニニギノミコトとに類似点があるという説を紹介していることです。↓
このヤコブの父であるイサクは、諏訪大社と古代イスラエルの関係の話で、このブログで何度か紹介しています。
かつて御頭祭(おんとうさい)で行われた神事が、アブラハムが息子のイサクを生贄に捧げようとしたという話と似ているという件です。
↓
このイサクの息子のヤコブには4人の妻がいました。
『創世記』29章によると、ラバンという男の娘のレアとラケルという姉妹がいました。
ヤコブは美しい妹のラケルを妻にしたかったのですが、ラバンは姉のレアの方を先にヤコブに与えました。
その後でラケルとも結婚しましたが、ヤコブはレアよりも美しいラケルを愛して、レアは疎んじられました。
ニニギノミコト
このヤコブと2人の姉妹との関係に似ているのが、天孫降臨の主人公であるニニギノミコト(瓊瓊杵尊)の話です。
ニニギは、アマテラスオオミカミ(天照大神)の子でアメノオシホミミノミコト(天忍穂耳尊)と、高木神の娘の萬幡豊秋津師比売命(ヨロズハタトヨアキツヒメノミコト)の間にできた子です。
ニニギは、オオヤマヅミノカミ(大山祇神)の娘であるコノハナサクヤビメ(木花之佐久夜毘売、木花開耶姫)に恋をします。
父のオオヤマヅミは、姉のイワナガヒメ(石長比売、磐長姫)と妹のコノハナサクヤを一緒にオオヤマヅミに与えました。
妹は非常に美しかったのですが、姉は醜く、嫌われて父のもとへ返されました。
このニニギと2姉妹の話は、ヤコブと2姉妹の話と相似しています。
それだけではありません。
ヤコブはその後イスラエルの王家の祖となったのですが、じつは当初は、兄のエサウの方が王家の祖となるはずでした。
また、ニニギも当初は天孫する予定はなく、その父のオシホミミが天皇家の祖となるはずだったのです。
この点でも、兄弟と父子という関係の違いがありますが、ヤコブとニニギの話は似ています。
秦氏が絡んでいる?
このように、ヤコブと天皇家の祖であるニニギノミコトの話には酷似した点があります。
記紀が旧約聖書をパクッた(参考にした)のではないかと、どうしても考えてしまいます。
もしそうだとすれば、古事記を編纂した人物の中には、旧約聖書の内容を知っていた人物がいたのでしょうか?
大和岩雄の『秦氏の研究』によれば、古事記の編纂には秦氏がかかわっていたそうです。
たとえそうでなはなくても、古事記の撰録者とされる太安万侶は多氏であり、多氏と秦氏は非常に近い存在です。
そのことは、『多氏渡来人説』でちょっと書いています。↓
じつはこの多氏という氏族も古代イスラエルとの関係についてアヤシイところがあるのですが、これについては別の機会に紹介します。
また、コノハナサクヤビメに話を戻しますが、この女神さまは富士山の麓の富士浅間大社の御祭神として知られています。
古事記ではカムアタツヒメ(神阿多都比売)、日本書紀ではカシツヒメ(鹿葦津姫)が本名とされています。
三神たける氏によると、じつはこの女神さまとその父であるオオヤマヅミノカミは、秦氏が祭祀としてかかわっているというのです。
詳しくは、下記ページを見てください。
- 三神たけるのお伽秦氏「木花開咲耶姫命」
http://www.kitombo.com/mikami/0909.html
もしこれが本当だったら、ニニギノミコトやコノハナサクヤにまつわる話が聖書の記述と酷似していても、「なるほど納得」という感じです。
秦氏という謎の渡来氏族は、古代イスラエルの失われた10支族で原始キリスト教徒だった可能性があると考えていますから。
最後に、もうひとつ。
かつて10支族が住んでいた北イスラエル王国の首都は、サマリアでした。
このサマリアをずっと東へたどっていくと、そこには、ニニギノミコトが祀られた霧島神宮があるんです。
つまり、サマリアと霧島は、ほぼ同緯度にあるのです。
ちなみに、エルサレムの方は、鹿児島神宮とほぼ同緯度にあります。
まあ偶然の一致かもしれませんが。
どうですか? こういう話、おもしろいですか?
面白いという人があんまりいなければ、今回で終わりになります。
【続く(かもしれない)】
耳鳴り・耳圧
今日(6/21)は昼間からかなり強い耳鳴りがしていた。
そして今(6/22 1:20)、右耳に耳鳴りとともに、かなり強い圧を感じている。
耳の奥にちょっと痛みを感じるくらいに強い。