4/11(月)の朝日新聞朝刊「東日本大震災の衝撃 専門家に聞く」という記事で、「M9の謎 解明が急務」という見出しがあった。
日本地震学会会長の局と大学理学部教授の平原和朗氏のインタビューだ。
非常に重要な内容を含んでいるので、紹介したい。
3/11の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)では、宮城県沖で想定していた地震の規模を遥かに超えたM9.0の地震となった。
地下の岩盤が断層を堺にずれたが、その長さは約450Km、幅約450Km。
ずれは最大20Km以上だった。
全部が一様にすべるのではなく、岩盤が不安定になったために、M7以上を含む大きな余震が続いている。
これまでは、宮城県沖ではM7級の地震が繰り返し発生し、2つの地震が同時に起きる「連動」でも、M8級と考えられていた。
3/9にはM7.3があり、次は単独と思われた。
だが、直後にあのM9.0が発生した。
その仕組は、これまでの考え方では説明できないという。
地震学の進歩により、東北の太平洋側で起きる複雑な地震でも予測につなげられると思われていたが、その自信が打ち砕かれた。
今回の地震により、東北ではM9級の地震が繰り返されてきたという見方が出てきた。
福島県沖では、2008年頃から太平洋プレートがすべって沈み込んでいた。
このような場所は大地震が起きない「安全宣言」と考えられていたが、別の見方では、千年間隔で動く巨大な断層が動き始めたことを示していたかもしれないという。
M9クラスの地震では、これまでの地震学の考え方が通用しない。
地震学は、過去の地震を基準に経験則で考えるから、わずか20年程度歴史しかない精密観測では、それ以前の千年の状態を知ることはできない。
そのへんに地震学の限界があったということだ。
今回の東日本の経験を教訓にして、巨大地震の解明がさらに進むことを期待したい。