最近は、午前0時を回ってから、更新されたばかりの松原照子さんのブログ「幸福への近道」の記事を読んでから眠りにつく習慣がついてしまった。
今日4/26の松原照子さんのブログ記事は「聖徳太子」
4/21の「天皇家とユダヤの関係」の世見に続く、歴史ミステリー的内容だ。
注目すべき箇所を引用する。
「怨霊」とはどのような霊の事なのでしょうか。
エェ、聖徳太子が怨霊になったですって。俄かには信じ難き事を書いてしまった。
聖徳太子が怨霊信仰の対象だということは、定説にはなっていない。
この説は、梅原猛氏が1972年に「隠された十字架ー法隆寺論」で唱えたものだった。
古代では、非業の最期を遂げた人々の祟りを恐れて祭り上げるということが行われた。
この本は、受け入れ難い点もあるが、太子怨霊説にずっと注目してきた。
この辺りのことは、こちらの記事で書いている。
日本書紀の太子の記述は偽りが多い
松原さんは、怨霊信仰説など全く知らず、ただ聞こえてきたことを原稿用紙に綴っているだけなのだろう。
次にこう書いている。
「日本書紀の太子の事を書いている事は、偽りが多いですよ。」
女性の声が又、突然聞こえた。
このことも、納得できる。
最新の研究では、十七条憲法も聖徳太子が作ったものではないようだという。
こちらで記事で書いている。
松原さんは、「日本書紀に聖徳太子の事が書いてあったのだと、改めて驚いてしまいました」と書いているから、古代史のことはよっぽど疎いのだろう。
聖徳太子とイエス
「猶太の王族約瑟馬利の夫妻ベトレムに赴き厩に一夜明して開胎し其児を馬槽に寝せたるを求世主耶蘇基督」
どの様に読むのだろうか。太子との関係は。
最初はなんのこっちゃと思ったが、猶太はユダヤ、ベトレムはベツレヘムだろう。
漢字部分を仮名にすれば、こうなる。
「ユダヤの王族ヨセフ、マリアの夫妻ベツレヘムに赴き、厩(うまや=馬小屋)に一夜明かして懐胎し、その子を馬桶(うまぶね=飼い葉桶)に寝かせたるを、救世主イエス・キリスト…」
つまり、イエスさまの生誕を描写したものなのだ。
松原さんは、どう読むのかもわからず、イエスに関係した話だということもわかっていないようだ。
じつはこの一文、久米邦武(くめくにたけ)という歴史学者の「上宮太子実録」という本の一節なのだ。
原文は「イエス・キリストとするに相似たり。」と続く。
松原さんは、こんな本を読んだこともなく、久米氏の存在すら知らないかもしれない。
久米邦武博士は、厩戸皇子が馬屋で生まれたことについて、マリアが馬小屋でイエスを産んだというキリスト教の話が伝説中に取り込まれた結果だとする。
久米博士は、太子伝承が聖書におけるイエス・キリスト伝の翻案であるという説を初めて唱えた人だった。
博士は1839年(天保10年)に生まれ、昭和6年に没している。
近代日本の歴史学の先駆者であり、戦前の聖徳太子研究でも第一人者だった。
聖徳太子は厩戸皇子の幼名の通り、幼少の頃からイエスに準えられていたのではないか。
「怨霊」となってからイエスのように祀られたのではないと推測する。
なぜイエスなのかという理由はわからない。
日本に最初にキリスト教をもちこんだのは、聖徳太子とも交流があった秦氏だったのだろうか。
イエスと聖徳太子の比較などは、こちらの記事で詳細に書いているので重複することは書かない。
聖徳太子は日本のイエスとされた
聖徳太子は、咎なくて逝去し、祟りを恐れられ怨霊信仰の対象となった。
そして、イエスのように祭り上げられた。
その業績の多くは、後世に創作されたものなのだろう。
もっとも、生前から尊敬の対象とされるような存在でもあったかもしれない。
とにかく真相は霧に包まれている。
松原さんの言うことが正しいとは限らない。
だが、少なくとも松原さんに情報を提供する「不思議の世界の人々」は、久米博士が説く聖徳太子とイエスの関連性が誤りではないと言っているように思われる。
ずっと前からその予感はあったが、これからの世見では、そのうち古代イスラエル10支族渡来説のようなことが語られるようになるのではないか。
聖徳太子の生涯についてだけでなく、日本には古代よりキリスト教の影響が大きかった。
そのことがいつか認められれば、日本の歴史は根本から書き換えられなければならないだろう。
イエスの教えは、海の向こうの遠い国の宗教ではないのだ。
ちなみに、イエスさまが馬小屋で生まれたというのは恐らく事実ではない。
そして、ベツレヘムで生まれたということも、事実とは異なる可能性が高い。
自著『ヴィア・ドロローサ〜イエスが歩いた悲しみの道』で書いています。
※松原照子さんのブログは、有料会員にならないと当日分の記事しか読むことができません。
なお、久米邦武著『上宮太子実録』は電子化されていて、国会図書館のサイトで無料で読むことができる。
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