広島に原爆が投下されてから70年目になる8月6日、広島市の平和記念公園で「平和祈念式典」が開かれた。
原爆が投下された午前8時15分に参加者が黙禱し、約14万人の犠牲者の冥福を祈った。
広島市の松井一實市長は、平和宣言の中で、「武力に依存しない幅広い安全保障の仕組みを創り出していかなければなりません」と述べ、「為政者が顔を合わせ、対話を重ねること」の必要性を強調した。
全文はこちらのハフポストの記事にある。
広島の平和宣言 「武力に依存しない安全保障の仕組みを」(全文)
松井広島市長の平和宣言
松井市長の平和宣言から、以下に引用しコメントを付ける。
(当時16歳の女性のメッセージについて)
辛く悲しい境遇の中で思い悩み、「憎しみ」や「拒絶」を乗り越え、紡ぎ出した悲痛なメッセージです。その心には、人類の未来を見据えた「人類愛」と「寛容」があります。
戦争という行為は、その「人類愛」が無いからこそできるのだろう。
宇宙創造主につながった人々は、日本人とか何人という枠を超えて、必然的に人類はみな同じという考えをもつようになる。
それより下のヒエラルキーにある神仏の場合、神仏の世界での戦いがこの世界に反映されたりもする。
戦争というのは、実は人間世界だけでなく神仏の世界での戦いであったりするのだ。
人間は、国籍や民族、宗教、言語などの違いを乗り越え、同じ地球に暮らし一度きりの人生を懸命に生きるのです。私たちは「共に生きる」ために、「非人道性の極み」、「絶対悪」である核兵器の廃絶を目指さなければなりません。
世界には様々な信仰の形態があるが、同じ宇宙創造主を信仰するならば、それはすべて同一の存在でなければ矛盾する。
創造主であれば人類愛を説き、戦争という愚かな行為を阻止する方向に人類を導くだろう。
だが、それは究極の姿であって、人類が真に霊的進化を遂げるためには、様々な経験を経なければならない時もある。
人類愛というものを前提とした場合、松井市長が言うように、核兵器は確かに「絶対悪」であると言わざるを得ない。
為政者が顔を合わせ、対話を重ねることが核兵器廃絶への第一歩となります。そうして得られる信頼を基礎にした、武力に依存しない幅広い安全保障の仕組みを創り出していかなければなりません。
【中略】
私たちは、原爆犠牲者の御霊に心から哀悼の誠を捧げるとともに、被爆者をはじめ先人が、これまで核兵器廃絶と広島の復興に生涯をかけ尽くしてきたことに感謝します。そして、世界の人々に対し、決意を新たに、共に核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けて力を尽くすよう訴えます。
「慰霊」という行為は、抽象的観念のもとで行うものではないと思う。
「この世の別れはすべての終わりであり、その後の世界や霊や神仏など存在しないのだ」という考えの人が慰霊を行うことは、明らかに矛盾している。
原爆で亡くなった人々の命を無駄にせず、霊を本当の意味で慰めるためには、非核三原則を守り、真の平和な国家を実現しなければならない。
安部首相は「非核三原則」を無視?
だが、現在の日本国総理大臣には、その意思があるのだろうか。
安倍首相は、平和記念式典でのあいさつで、非核三原則に言及しなかった。
このことについて、広島県原爆被害者団体協議会の佐久間邦彦理事長は「非核三原則は国是。『忘れました』で済む問題ではなく、考えられない。意識的に触れなかったのであれば、許せない行為だ。いずれ日本も核兵器を持つのではないか、という危惧につながる出来事だ」と強く批判した。
1994年以降の歴代首相のあいさつの中で、国是とされる「非核三原則」を盛り込まなかったのは初めてのことだという。
まったく、何を考えているのだろう?
たしかに、「忘れちゃった」では済まされないことだろう。
そこには、明らかな「意図」があると思わざるをえない。
1年前の今日の記事では、「恐怖の男・安倍氏」について書いていた。
tankyu.hatenablog.com
・松原さんは、あの世見について、沈黙を守っている。
私が世に広めてしまったものだが、本人はどう考えているのだろうか?
こんどお会いした時に、ぜひ聞いてみたいものだ。
TOCANAで記事を書いた頃は、今ひとつピンと来ない部分もあったが、今となっては、「やっぱりそうか…」と納得する部分が多い。
安倍首相をヒトラーと変わらないとする意見は行き過ぎの感があるとは思うが、今まさに「恐怖政治」に着々と近づきつつあると感じるのだ。
「焼き場に立つ少年」の写真と美智子皇后さまの想い
何度も書いていることだが、今上天皇陛下と美智子皇后陛下は、本当にお優しく、常に弱いものの立場に立って見守っていると思うし、それがポーズではなく心の底からそう願っていることがひしひしと感じられる。
1945年8月9日、長崎に原爆が投下された時に、ある米国人によって1枚の写真が撮影された。
米国の報道写真家ジョー・オダネル氏が撮影した「焼き場に立つ少年」と題した写真だ。
たぶん、誰もが一度は目にしたことがある有名な写真だ。
占領軍として原爆投下後の長崎に入り、破壊力を記録するため写真を撮影する一方、軍に内密に自分のカメラでおよそ30枚の写真を撮影した。
真珠湾攻撃によって日本人に怒りを覚え、海兵隊に志願した。
報道写真家として長崎に入ったオダネル氏は、焼き場にされた小高い丘に立っていると、10才くらいの少年が歩いてくるのが目に留まった。
おんぶ紐をたすきにかけて、幼子を背中に背負っていた。
重大な目的を持ってこの焼き場にやって来たという強い意志が感じられた。
少年は焼き場の渕まで来ると、硬い表情で目を凝らして立ち尽くした。
白いマスクをした男達がおもむろに近づき、ゆっくりとおんぶ紐を解き始めたとき、 彼は、背中の幼子が既に絶えている事に初めて気づいた。
弟が焼かれる炎を見つめる少年の唇に赤いものが滲んでいるのに気がついた。
あまりにきつく噛みしめている為、流れることなく、ただ少年の下唇に赤くにじんでいた。
炎が静まると、少年はくるりときびすを返し、沈黙のまま焼き場を去って行った。
背筋が凍るような光景だったという。
多くの傷ついた人々を撮影しているうちに、日本人に対して持っていた憎しみが消えていき、憎しみが哀れみに変わっていった。
帰国後、背骨の痛みと変形が現れ、皮膚ガンとわかった。
オダネル氏は、原爆による症状だと確信した。
昨年、オダネル氏は85歳の生涯を閉じた。
奇しくも、長崎に原爆が投下された8月9日のことだった。
この写真の詳細は、下記のYouTube動画にある(49分)。
焼き場に立つ少年=米軍カメラマンが見た長崎 - YouTube
1945年8月に、美智子さまは長崎の爆心地で、この「焼き場に立つ少年」の写真をご覧になられた。
平成19年のお誕生日の際に、「この1年国内外で起きたことで,皇后さまにとって特に印象に残ったことをお聞かせください」と質問を受け、回答した中で、そのことを語られている。
皇后さまは、以下のように語られた。
今年8月の新聞に,原爆投下後の広島・長崎を撮影した米国の元従軍カメラマンの記事と並び,作品の一つ,「焼き場に立つ少年」と題し,しんだ弟を背負い,しっかりと直立姿勢をとって立つ幼い少年の写真が掲載されており,その姿が今も目に残っています。同じ地球上で今なお戦乱の続く地域の平和の回復を願うと共に,世界各地に生活する邦人の安全を祈らずにはいられません。
皇后さまの平和への強い想いが察せられるお言葉だ。
写真を一瞥しただけだとわかりずらいが、拡大してみると、少年の目には悲しみの表情がありありと窺える。
天皇皇后両陛下の平和への想いは、松井広島市長のものと大きくは変わらないのではないだろうか。
米国の原爆に関する世論調査
今年7月18日~20日に、世論調査会社「ユーガブ」が千人の米国人を対象に世論調査を実施した。
その結果では、44歳以下では、原爆投下が誤りだったと考える人の方が多い。
なんだか、少しだけ救われたような気持ちになる。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2015080502000260.htmlwww.tokyo-np.co.jp
今日の「報道ステーション」を見ていたら、中学生がインタビューに応えて、安部首相が非核三原則について語らなかったことについて、「平和から避けているみたいだと思った」と語っていた。
その他にも、広島の多くの人々が、同様の想いを口にしていた。
自民党にとっては、参議院で安保法案の重要な決議を前にして、広島と長崎の原爆の日が挟まることを実にニガニガしく思っていることだろう。
もちろん、それで何がどうなるわけではないかもしれないが、戦争に向かいつつある日本で、「最後の悪あがき」は、せずにはいられないだろう。
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