今日『ZAKZAK』で、「あいまいな「地震予知」がもたらす悲劇 イタリアで地震予知失敗の裁判」という記事が掲載された。
例のイタリアの、地震学者たちが地震予知に失敗したとして訴えられた裁判の件だ。
2009年春、イタリアのイラクラで数回の地震が発生した。
その後に地震は頻発し、大地震を予測する学者も現れた。
そのため「国家市民保護局」は学者を含む「大災害委員会」を開き、安全宣言を出した。
「大地震は来ない」と国民を安心させるためのものだった。
政府が人心を鎮めようという方針を委員会の前に決めていて、はじめに結論ありきだった。
安全宣言が出され、恐怖で外に寝ていた人々も帰宅した。
だが、1週間後の4月6日午前3時半、M6.3の大地震が起き、309人が死亡した。
裁判の結果
学者たちの裁判は、昨年11月にひっそりと終わっていた。
2014年11月の二審では、7人全員の有罪がひっくり返され、学者は無罪、政府の防災庁幹部1人のみ執行猶予付きの禁錮刑になった。
第二審での判決言い渡しの時に、傍聴席の犠牲者の遺族らから「恥を知れ」との怒りの声が上がった。
「国家は裁かず、自らの保身に走った」などという声も遺族から上がった。
このように、もともとはイタリア政府が国民がパニックにならないようにと、初めに結論ありきで学者たちを利用したものだった。
日本では、このような裁判沙汰にはならないだろうが、学者たちが地震予知に消極的になる理由がわかるような気がする。
事情はちょっと違うが、東日本大震災の福島原発事故のことを思い起こす。
東電は、炉心溶融(メルトダウン)の事実があるにもかかわらず、長い間隠匿し、事実を公表しなかった。
また、枝野官房長官は、ただちに健康に影響が出るものではないなどと発言した。
島村英紀・武蔵野学院大学特任教授は、このZAKZAKの記事で、日本でも同様のことがあったことを指摘している。
今年4月16に熊本で起きた地震の前震が14日に起きた時に、気象庁や政府は「家に帰れ」と呼び掛けていた。
これ以上大きな地震は起きないということを、多くの人々が信じて、犠牲となった。
だが、イタリアのように気象庁や政府が訴えられることはない。
「大震法」
さらに島村氏は、東海地震の際の「大震法」(大規模地震対策特別措置法)を問題とする。
この法律は、東海地震を「予知」した時に、気象庁にある判定会(地震防災対策観測強化地域判定会)が「予知宣言」を出すことによって、新幹線も東名道路も、デパートやスーパーの営業も止めるというもの。
前兆らしき事象が起きて、いったん「宣言」が出されてから、すぐに大地震が来なかったらどうするのか。
その方針は決まっていなく、また宣言を取り消せる科学的な根拠や方程式は何もないと島村氏は語る。
この「大震法」が、40年ぶりに見直されることとなった。
大震法の対象地域を、南海トラフの巨大地震の震源域全体に拡大することを検討するというもの。
だが、毎日新聞の7/6の社説では、「最も肝心なのは、地震の前兆現象を検知して警戒宣言を出すという大震法の仕組みが、防災上、機能するかどうかということだろう」と疑問を呈している。
この社説では、結論として、「廃止を含めてゼロから議論を尽くしてもらいたい」としている。
多くの人々の命を救う地震予知は、本当に望まれるところだが、新幹線や商業施設の営業を止めるほどの決断を出せるような方法論は、残念ながら現在の日本にはないだろう。
何らかの前兆が見られたからといって、「宣言」を出す勇気をもつほどの決定的な要因となるだろうか。
その結果として、大地震がまったく起きなかった場合、経済的損失などで企業などから責任問題を追求されたら、どうなるか。
このように、地震予知を困難にさせる大きな要因があるわけだが、それでも尚且つ、阪神淡路や東日本のような多くの犠牲者を出さないようにするためにも、国家レベルの地震予知を行ってもらいたいものだ。
地震予知に失敗して責任を追求された時の保身を考えるよりも、多くの死者が出るかもしれない大災害を未然に防ごうという勇気をもった学者が多く現れることを期待したいところだ。
追記
7/23 2:00現在、セミ鳴きの耳鳴りがかなり強めに続いている。
昼間には、耳の閉塞をともなう耳鳴りもあった。
まだ関東で地震に注意だろうか。
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