このところ、また「カルデラ噴火」「破局噴火」と呼ばれる火山の大規模噴火が注目を集めている。
今日はその話題を。
地震予知や地震予測だけでなく、政府が積極的に対策を取ろうとしない火山のカルデラ噴火(破局噴火)の方も、注意を怠らないようにしたい。
英BBC放送(9/14日付)によると、同国ブリストル大学、エクセター大学、京都大学防災研究所付属火山活動研究センターの桜島火山観測所などによる共同研究チームが、桜島の火口の下に蓄積しているマグマを観測した。
その結果、毎年1400万m3の膨大なマグマが蓄積していることが判明した。
日英研究チームは13日、マグマの蓄積量を観測し、日本で最も活発に活動している火山の一つ、桜島は将来30年の内に大規模噴火の可能性が高いと研究結果を発表した。
エクセター大学のジェームス・ヒッキー博士は、BBC放送に対して、「1914年に起きた大規模な噴火で、体積約1.5立方キロメートルのマグマが放出された」、「われわれの計算では、一つの火山でこの量のマグマ蓄積には約130年間かかる」と述べ、将来30年の間に桜島は大規模噴火の可能性が高いと語る。
研究チームは、マグマの蓄積ペースが加速しており、その量は現在定期的に起きる小規模噴火によるものを超えていると指摘。
研究チームは日本政府に対して、噴火による災害対策計画を早期に策定するよう提案している。
一方、京都大学防災研究所の中道治久・准教授は、「鹿児島市政府は最新の避難計画をすでに作成した」と語っている。
政府やマスコミが避けている領域?
だが、この重要なニュースが日本のメディアではスルーされているように思われる。
この記事のために検索してみても、出て来るのは海外メディアによるものばかりだ。
これまで私がTOCANA記事執筆や自分の研究などのために調べた感触では、やはり日本の政府は、この問題にあまり触れたくないのではないかと思えてくるのだ。
いつ起きるかわからない破局噴火があまり話題になって政府が追求されると困るし、防災対策のためには膨大な予算が必要だということなのだろうか。
まったく大げさな表現ではなく、九州などで破局噴火が起きれば、たとえ原発事故が絡まなくても、それこそ「九州の終わり」「日本の終わり」となる可能性があるのに。
本当にそうなったら、もう政府も存続できず、しゃーないということ?
「巨大噴火」予測へ海底調査 神戸大、九州南方で
だが、学際レベルでは研究は行われている。
桜島ではないが、九州の研究だ。
神戸大学海洋底探査センターは、9月16日、九州南方の海底に広がるくぼみ「鬼界(きかい)カルデラ」で、マグマが蓄積された部分(マグマだまり)の位置や規模、形を把握する調査を10月から始めると発表した。
発生確率的には、今後100年で1%程度と低いが、いったん起きれば日本全域に甚大な被害を及ぼす「超巨大噴火」(破局噴火)となる。
マグマだまりの詳細なデータを集め、その状況を正確に把握することができれば、世界初になるという。
同センター長の巽好幸教授(マグマ学)のチームは、10月中旬から約2週間、大学保有の練習船「深江丸」で鬼界カルデラの地形を調査する。
海底に地震計を沈め、船から圧縮空気を放って人工地震を起こす。
地中(地殻)を伝わってきた地震波を観測し、マグマだまりの状況を解析するという。
巽好幸氏といえば、カルデラ噴火の分野の問題に取り組む数少ない科学者だ。
研究の成果に期待したい。
台風と噴火の関係
タイトルに付与した「台風と噴火の関係?」については、今日の「防災三昧」ブログの方で書いている。
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