【写真:百瀬直也撮影:2005年8月阿蘇山聖地巡礼にて】
4月19日に、霧島連山の一つである硫黄山が噴火した。
霧島連山の地下深くには、幅10km~15kmの大規模なマグマだまりがあることが初めてわかった。
これによって、いわゆる「カルデラ噴火」(より大規模では「破局噴火」)の可能性も考慮しなければならないという声も出ている。
場合によっては、大地震や巨大地震よりも不穏な話になってくる。
霧島連山のマグマだまり
マグマだまりは、富士山などよりも遥かに多いと考えられていて、浅間山のマグマだまりと比べて2倍以上の規模だという。
気象研究所の長岡優研究官は、NHKの取材に対して、「マグマだまりの全体像をとらえたのは初めてで、地震や、地盤の変化などさまざまなデータを統合して、噴火に至るメカニズムを考えられるようになる。マグマだまりが大きく、新燃岳以外の御鉢などから噴出する可能性もあり、広い範囲で地殻変動などの観測や研究を行う必要がある」と語る。
これを報じたNHKニュースでは、気象研究所の研究官がマグマだまりの位置を説明しているが、下記の図のAとBを結ぶエリアだという。
これを、もっとわかりやすく、GoogleEarthのマップ上で追記したのが下記の図だ。
ちなみに、「小林カルデラ」と「加久藤カルデラ」とあるのは、かつてカルデラ噴火を起こした跡として残っている大規模なカルデラの位置を示している。
そこは、現在は盆地となっている。
硫黄山は、250年ぶりに小規模噴火した。
新燃岳は、2011年に噴火したが、昨年10月と5月1日以降にも噴火している。
早川由紀夫・群馬大学教授のツイート
ここまでの説明だと、一体どんな影響があるのかイマイチわかりかねるだろう。
この報道を受けて、火山学者の早川由紀夫氏が5/18にTwitterで下記のような注目すべき発言をしている。
霧島連山 地下に大規模なマグマだまり 硫黄山噴火から1か月 | NHKニュース https://t.co/PHqpEQy8a0
— 早川由紀夫 (@HayakawaYukio) 2018年5月18日
もし「幅が10キロから15キロ、厚さが5キロ」なら750立方キロだ。全部出れば阿蘇4相当だ。10分の1出てもカルデラ陥没する。川内原発ただちに止めなきゃ。
カルデラ噴火!
上記の早川氏のツイートでは、わかりにくいところがあるだろう。
まず、「阿蘇4」とは何かを説明する必要がある。
阿蘇山では、わかっているだけでも過去4回大きな噴火を起こしている。
そのうち、約9万年前に起きた噴火は日本最大級の「破局噴火」(大規模カルデラ噴火)だった。
この噴火で、阿蘇山は山体が崩壊して、その後の噴火も経て現在のような山容となった。
「10分の1出てもカルデラ陥没する」というのは、マグマだまりの10分の1の量が噴出すると仮定しても、カルデラが生成されるほどの大規模な噴火になるということだ。
もちろん、マグマだまりがあるからといって、それが直接にカルデラ噴火に結びつくわけではない。
だが、こんな危険なところに原発があることは、将来的な意味でも非常に危険であるということでは、同意できる。
カルデラとカルデラ噴火について
ここで更に、「カルデラ」と「カルデラ噴火」(破局噴火)などについて、更に説明する良い機会と思われる。
カルデラとは、火山の活動によってできた大きな凹地のことだ。
火山の活動というのは、要するに大規模な噴火ということ。
場合によっては、カルデラに長年にわたった水がたまって、「カルデラ湖」が形成されることもある。
たとえば、下記の写真のように。
【写真】北海道・白老町にあるカルデラ湖であある倶多楽湖(くったらこ)。
「カルデラ噴火」は元々は通称で、正式には「ウルトラプリニー式噴火」と呼ばれる。
「プリニー式噴火」(Plinian eruption)は、火山の噴火形式の一つで、カルデラ噴火に次いで膨大な噴出物やエネルギーを放出する。
火山爆発指数(Volcanic Explosivity Index)という尺度があって、略語でVEIとも呼ばれるが、6から8クラスまでを「ウルトラプリニー式噴火」(Ultra Plinian)と呼ぶ。
「マグマだまり」とは
ところで、実は「マグマだまり」という言葉を多用する火山学者方も、その実体がどういうものかは、よくわかっていない。^^;
「なんじゃそりゃ?」と思うだろうが、そうらしいのだ。
防災科学研究所の藤田英輔(えいすけ)主任研究員は、こう語る。
マグマが液体でチャボチャボとあるというのはたしかにひとつの考え方です。でも、もっとスポンジみたいな状態-マッシュっていいますけれど、そういう状態なのかもしれない。これは地震波を使ったトモグラフィでは分からないんです。それぐらいのレベルの、まだ非常に雑な学問だというふうに思っていただいたほうがいいかもしれないですね。
natgeo.nikkeibp.co.jp
更に、カルデラ噴火については、こうも語っている。
水蒸気爆発やカルデラ噴火については、ほとんど分かっていなくて、噴火予知以前の問題なんです。
(同上)
こういう現状で、科学者に「噴火予知」を望むのは、無理だろう。
噴火の規模の尺度
再度いうと、カルデラ噴火とは、噴火によってカルデラが形成されるような噴火のこと。
要は、噴火の規模の問題だ。
もっと大規模なカルデラ噴火を、「破局噴火」と呼んだりする。
上記の藤田氏のインタビューの内容をまとめると、火山噴火の用語は、下記のように噴火の規模によって、段階的に表現される。
◎水蒸気噴火: マグマが地下水を熱して高温高圧になって爆発。
◎マグマ水蒸気噴火: マグマと地下水が直接接する地点での噴火。
◎マグマ噴火: マグマが直接噴火。
◎カルデラ噴火: マグマ噴火より大規模で、地形を大規模に変える。(VEI:6~8)
◎破局噴火: 特別に大規模なカルデラ噴火。(VEI:9超)
このように、噴火の種類によって、規模が大きくなる。
カルデラ噴火以上となると、人類も科学者も体験したことがないので、予測が困難のは当然だろう。
予測ができないと、責めるわけにもいかない。
とにかく、そういう可能性があるということは、日本人として、特に九州に住む方々にとっては、切実な問題だろう。
【参考】
www3.nhk.or.jp
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昨日TOCANAに掲載された私の記事を、百幸ブログの方で紹介しています。
www.momokoh.com
【愛弥美】昨日「みんなデパート」で買った風船、レジャーシートに置いて風に飛ばされたのか、無いことに帰宅後に気づいたが、本人はケロッとしている。あれ買ってとか駄々をこねず欲がない。色んな意味で不思議な子。Ayami with the balloon. After that she lost it.#愛弥美