紀伊半島では10月から沖合でスロースリップが発生し、また潮岬沖で無感地震が多数発生したが、その近くには地球深部探査船「ちきゅう」がいた。
この船が行う海底掘削が、「陰謀」によって人工地震を引き起こすと主張する人々がいるが、例えそうではないとしても、この作業によって南海トラフ巨大地震などが誘発される可能性はないのだろうか?
そのことを考えてみたい。
【目次】
地球深部探査船「ちきゅう」号
「ちきゅう」といえば、あの陰謀論者の人々からは悪名高い(?)、東日本大震災などの「人工地震」を引き起こしたとされる船だ。
私はそのような安直な陰謀論をアプリオリに認めるつもりはないが、否定もしない。
だが、今回は紀伊半島でスロースリップや無感群発地震が起きていて、ちょうどそのあたりに「たまたま」(?)ちきゅうがとどまっているので、なんだかなーと思った。
「ちきゅう」の南海トラフ探査
2018年10月10日、ちきゅうは、紀伊半島沖のユーラシアプレート・フィリピン海プレート境界掘削調査のため、静岡市の清水港を出航した。
これは、南海トラフ地震発生帯掘削計画の一環として行っているもの。
今回は、半年にわたって南海トラフを探査し、初のプレート境界への到達を目指すという。
紀伊半島スロースリップ
「ちきゅう」が出港した前後に、ちょうどタイミング良くというか悪くというか、紀伊半島で見逃せないイベントが発生した。
気象庁は11月7日に、「先月から今月にかけて紀伊半島から四国で相次いでいる最大マグニチュード(M)5.4の地震は、フィリピン海プレートが沈み込む境界内で発生したスロースリップが引き起こした可能性が高い」と発表したのだ。
上記の図のように、10/11には既にM3クラスの地震が紀伊半島で起きていて、それ以降のスロースリップが、「ちきゅう」の掘削によって誘発されたとするには無理がある。
ちなみに、それから1週間ほど後には、下記のマップにあるような紀伊半島の南東沖あたりにいた。
10月18日 20時47分現在。ちきゅう号は、昨日とほぼ同様の和歌山県の沖合にいますが、どうやら(BOP)噴出防止装着が故障したようです。このまま中止になればいい。#ちきゅう号#南海トラフ#BOP噴出防止装着が故障 pic.twitter.com/bstrTcGrfQ
— ぷーちん あおあお (@u7YQusxcUpJz2xu) 2018年10月18日
スロースリップが「気になる」ことに変わりはない
このように、どうもこのスロースリップは「ちきゅう」が何らかの「悪さ」をしたとは考えにくい。
活動を初めて以降の期間では、まったく関係ないとも言えないかもしれないが。
だが、下記の11/10の記事で書いたように、「ちきゅう」の活動と離れて、紀伊半島のスロースリップが気になることには変わりはない。
では、次の件はどうだろうか?
潮岬で無感群発地震
一昨日11/17の夜から翌日未明にかけて、紀伊半島の南端・潮岬から沖合にかけて、無感地震が集中的に発生した。
【地震】11/17 21時頃から2時過ぎ頃まで、紀伊半島南端の潮岬沖で無感地震が多発。こういう場合必ずしも大きな地震が続くとは限らないが、念のため注意してください。 @kokanranger #地震 #地震予知 #地震前兆 #LINE
上記のInstagram投稿では「あなご君」の一部をキャプチャしたが、例のGoogle社のライセンスの問題があって、GoogleEarthがまったくきれいに表示されない。
最近は『地震情報検索[Hi-net / リアルタイム版]』というサイトを利用している。
こちらは、過去から現在までの無感地震を日単位で検索できるのが重宝している。
また、震源の深さも範囲指定できる。
「ちきゅう」は何処に居たか?
上記の半日ほどの間に、無感地震が狭い震源範囲で数十回も起きていた。
規模は、M0台~M2.0未満が多い。
下記のマップは、11/17~11/18の2日間に発生した深さ0km~50kmの無感地震を検索した結果だ。
では、その頃に「ちきゅう」はどこの地点に居たかというと…。
下記のツイートの図で示す通りだ。
11月17日
— そら豆スゥイープ (@J7U01Ei2LnewxtS) 2018年11月16日
午前7時13分現在⚓️#ちきゅう号#ちよだ
「ちきゅう号」は、同じく和歌山沖ですが、海上自衛隊艦「ちよだ」が、14日に動いていました。💦前回と同じ紀伊水道辺りをウロチョロしています。何をしているのか気になります。ロボットアームで、危険な物を仕込んでいないか? 深海救難艇を搭載。 pic.twitter.com/al6DtM9EEN
11月上旬から、無感地震が発生した日の11/17の朝まで、ずっと上記の位置にとどまって何かをしていたようだ。
なんだか怪しい(?)
先程のスロースリップよりも、こちらこそが「なんだかなー」だ。
距離的には、潮岬から東へ50kmほどのところだ。
「ちきゅう」の掘削活動が、何かしら地震の発生に影響を与えているのではないかと思えてくる。
もちろん、確証はないのだが。
だが、少なくとも「ちきゅう」が掘削したところで、M8~M9の巨大地震を引き起こすことは考えられないだろう。
だが、今にも地震が起きようとしているほどにストレスが溜まったところで海底を掘ったりすれば、それが大地震を誘発してしまうことまでは、否定できない。
「ちきゅう」の掘削が、実際に「人工地震」または「人為的地震」を引き起こすことは、あるのだろうか?
これについては、6年前の2012/02/18のzakzakの記事が参考になる。
島村英紀氏が警告
2012年2月15日、経済産業省の関連団体が愛知県沖で始めたメタンハイドレートの掘削試験が、思わぬ形で注視されているという内容だ。
掘削する南海トラフでは、過去にM9クラスの大地震が起こっていて、海底開発が地震を誘発する危険性について専門家が警告するというもの。
メタンハイドレートは、メタンガスと水による氷状の結晶で、発電用の次世代エネルギーとして注目されている。
経産省が独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)に委託し、探査船「ちきゅう」を使って、埋蔵量が多いとみられる海域で掘削試験を実施することになった。
掘る場所は、愛知県渥美半島の南方沖70~80kmの東部南海トラフと呼ばれる海域。
これについて、武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏は、下記のように「人造地震」の危険性を指摘した。
掘削が直接、大地震を引き起こすことはまずない。しかし、すでに蓄積された地震エネルギーを刺激し、誘発することはあり得る。80年も地震がなかった米コロラド州では1962年、圧力をかけた地中への廃水処理が地震を頻発させた。2004年の新潟中越地震は天然ガス田での作業が引き金を引いたという説もある。南海トラフは大津波をともなう地震を起こす場所だけに、慎重に検証すべきだろう。
桜花さんの人為的地震に対する考え
北海道胆振東部地震が、CO2注入による「人為的地震」ではないかという11/14の記事を読んで、夢や予感でいろいろと当てる岡山県の桜花さんがメールで感想を書いてくれたので、承諾を得て紹介する。
[
今日は前兆報告ではないのですが、
記事を読んで感じたことを。
人工地震の件、都市伝説の類の陰謀説などありますが、私には眉唾です。
ただ、今回百瀬さんの説のように、研究などで地球の深い部分に傷をつけた弊害が引き起こしたものかも、という点に納得しました。
この点では、私と似たような考えのようだ。
地球の深部については、まだ科学ではどうなっているかわかっていない部分もあり、そこに水やCO2を注入したりすれば地震を誘発する可能性を、やっと一部の科学者たちが認めるようになってきた。
そのあたりは、やはり慎重に行動してほしいものだ。
その後、今夜桜花さんから受信したメールの一部も紹介しておく。
上記の「ちきゅう」についてのメールの承諾を求める私のメールへの返信として来たもの。
「ちきゅう」には以前から興味があり、
新種の深海魚発見などのテレビ番組は
欠かさず見ています。
ただ、地質調査などは詳細な内容が発表されないので、詳しいところを知りたいとの気持ちもあります。
不思議なのですが、今日あたり百瀬さんに連絡をすべきか、いや、今日は連絡がくるだろうからと思っていたところでした。
15日頃から「ひょっこりひょうたん島」の曲 がよく頭の中に浮かぶようになってきました。なぜ?
ひょうたん島のモデルとされる島はいくつかあるようです。しまなみ海道の瓢箪島、そして岩手県大槌町の蓬萊島です。
16日の岩手県沖の地震では、大槌町は震度1だったので少しほっとしましたが。
「ひょっこりひょうたん島」とは、昔のNHKの人形劇だけど、それは私のようなジジイ世代の話で、その後にアニメ化されたのだったかな?
島のモデルがあるとは知らなかった。
これから、何かあるのだろうか。
「ちきゅう」
前述のメタンハイドレート掘削と、今回の南海トラフ調査は条件的に異なる部分はあるものの、南海トラフという巨大地震の発生が懸念されているエリアであることは同じだ。
地震の発生に関して、現代の自然科学ではわかっていない部分もある中で、そういう危うい領域をいじるというのは、地震発生のリスクを高めることにつながらないだろうか。
もし前述の無感地震の群発が、その掘削の影響があったのならば、その可能性は高くなるだろう。
これからも、「ちきゅう」の動向を追い続けたいものだ。
この記事で書いた「ちきゅう)号云々は、あくまたも可能性として書いたことなので、鵜呑みにせずに自分なりの考え方によって解釈してください。