気象庁は、過去の地震のデータベースに1919年~1921年の地震データを追加し、昨日1/17から利用可能になったので紹介する。
これにより、1923年の関東大震災の数年前からどんな地震が起きていたかもわかるようになり、現在までの100年以上の地震を検索可能になった。
地震の研究用
この記事は、ちょっとマニアックというか、私のように地震のことを研究する人たちにとっては朗報だろうから、紹介する。
自分には関係ない情報だと思われる場合は、単にスルーしてください。
これまでは、1922年1月1日以降の有感地震データが検索できた。
今回は、それに3年分のデータが加わっただけだ。
下記のマップは、1919年1月1日~1921年12月31日の範囲のM5.0以上の地震を検索した結果。
台湾や沿海州など海外の震源もあるが、気象庁が管理するのは、たとえ国外でも日本のどこかで震度1以上になれば有感地震と扱うことになっている。
関東大震災の数年前のデータを検索可能に
追加された地震の数は、3年分で375件。
これにより、日本周辺の地震活動について、地震のデータが100年以上の期間で利用可能となった。
拡大された期間は短いが、私のように地震のことを研究する人間にとっては、その重みは大きい。
というのも、1923年9月1日の大正関東地震(関東大震災)の数年前に、どのような地震が起きていたかを知ることができるからだ。
データベース検索の方法
この地震データの検索は、これまで利用してきた人にとっては、URLも使用方法も変わらない。
下記の、気象庁の『震度データベース検索』のページにアクセスして、検索したい期間や規模などを入力する。
まず、下記の図のように、左上の「観測された震度・地震の規模等を指定して検索」をクリックすると、震央や規模を指定できるようになる。
右側の選択欄は、どの地域で震度いくつだったかを知りたい場合に絞り込むもので、私は通常は使用しない。
検索時の設定事項
「震央地名」を指定せずに、デフォルトの「指定しない」のままであれば、検索は非常に簡単にできる。
だが、たとえば茨城県ならば「茨城県北部」「茨城県南部」「茨城県沖」というように、非常に細分化されていて、「この地域」と複数を選択するには、けっこう大変だ。
離れたところの地名を複数選択する場合は、PCからならば、Ctrlキーを押しながら、選択された部分が解除されないように気を使って、マウスで一つ一つクリックしなければならない。
元SEの目から見て、このへんのUI(ユーザーインターフェイス)は、こなれていない。
まあ、でもこのような機能を制限せずに誰にでも開放してくれているだけでも有り難いと思うべきか。
1919年~1921年の気になる震源
下記のマップは、追加された1919年~1921年の3年間のデータで、M5.0以上を指定した結果の関東地方周辺を拡大したものだ。
神奈川県で、青色の「◆」で示したのは、1923/09/01の大正関東地震の震源だ。
このマップを見ると、神奈川県西部のその震源近くで2回ほど、そして伊豆半島沖で1回M5.0以上の地震が起きていた。
1920/05/23:M6.2
1920/12/27:M5.7
1921/02/14:M5.8
この大正関東地震は、フィリピン海プレートが北アメリカプレートに沈み込む運動によって起きたものだった。
特にこの震源近くで2~3年前に起きていた2回の地震が、甚大な被害をもたらす首都直下地震の前触れだとは地震学者も判断できないだろう。
だが、いつも書いているように、その地域に住む人々は、より大きな地震が起こる可能性を考慮して、防災観念を高めることはできただろう。
震源データ
他に、検索機能を使わず、何年にどのような地震が起きていたかを知ることもできる。
ただし、検索機能よりも、もっとマニアックになる。
というのも、ZIP形式の圧縮ファイルをダウンロードすると、拡張子のない固定長のデータとなっていて、1行で1件の地震データとなっている。
これをExcelなどの表計算ソフトで開いて、桁単位でセルを分割してセル毎に属性を設定すれば、ちょっと面倒だが、利用可能な地震データに加工できる。
データは下記の「震源データ」のページからダウンロードでき、レコードフォーマットの説明ページもある。