この記事は、4/22に書いた記事で、自分に課した「宿題」として調べたことを内容としている。それは「津波地震」の発生時期で、なぜか夏季に集中していたことが偶然ではないと思って、調べてみた。
「宿題」としていたこと
「津波地震」は、海底の変動の速さが遅い地震であり、地震の規模にしては大きな津波の被害が出ることが多いものだ。
4/22の記事では、過去の日本で起きた「津波地震」として3つを挙げた。
それらは、明治三陸地震(1896/06/15、38.2m)、根室半島沖地震(1973/06/17、2.8m)、鳥島近海(1984/06/13、130~150cm)と、いずれも6月中旬に起きていた。
※カッコ内に津波の最高の高さを示す。
この一致はどこから来るのか?
この時は、答えが見いだせなかったので、今後の宿題にさせていただくと書いておいた。
津波地震について
津波地震は、人が感じる短周期の成分では比較的小さな揺れで終るが、一見小規模のようでも実は総エネルギーが大きな地震となる。
そして海底面の変動も大規模で、予期せぬ大津波によって大きな被害が出ることもある。
明治三陸沖地震津波(1896年)がその例で、原因となった地震は、Mt8.2~8.6、あるいは津波の大きさを考慮してM8.25に改められた。
※Mt:津波マグニチュード
津波地震では、表面波マグニチュードより津波マグニチュードの方が大きくなる。
過去の津波地震
以下に、19世紀以降に日本と海外で起きた津波地震を示す。
ここでは、「ダイポールモード」は、とりあえず気にしなくても良いです。
【凡例】Ms:表面波マグニチュード、Mw:モーメントマグニチュード(エネルギー量)、Mt:津波マグニチュード、【正/負IOD】:ダイポールモード、【エ】:エルニーニョ、【ラ】:ラニーニャ、後:エルニーニョ/ラニーニャの1年後以内
【エ】1896~97年(2年間)
1896/06/15:明治三陸地震、Ms7.2、Mw8.0~8.1、Mt8.2~8.6、A:親潮域
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【エ】1946年春~1947年春(1年間)
1946/04/01:アリューシャン地震、Ms7.4、Mw8.1、Mt9.3
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【ラ】1973年夏~1974年春
1973/06/17:根室半島沖地震、M7.4、Mw7.8、Mt8.1、A:親潮域
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【エ】1982年春~1983年夏(1年間)
【正IOD】1983年初夏~晩秋
1983/05/26:日本海中部地震、Ms7.7、Mw7.9、Mt8.1、N:日本海
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【ラ】1984年夏~1985年秋
1984/06/13:鳥島近海、Mj5.9、Ms5.4、Mt7.3、B:黒潮域
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【エ】1991年春~1992年夏(1.2年間)
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【負IOD】1992年初夏~晩秋
後:1992/09/02:ニカラグア、Ms7.2、Mw7.6~7.7、Mt7.9
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後:1993/07/12:北海道南西沖地震、Ms7.6、Mw7.7、Mt8.1、N:日本海
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【正IOD】1996年初夏~晩秋
1996/11/12:ペルー沖(ナスカ)、Ms6.6、Mt7.7
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【ラ】2005年秋~2006年春
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【正IOD】2006年初夏~晩秋
2006/07/17:ジャワ島南西沖地震、Mw7.2、Mt8.0
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【正IOD】2010年初夏~晩秋
【ラ】2010年夏~2011年春
2010/10/25:スマトラ島沖地震(2010年10月)、Mw7.3、Mt8.3
集計
以下に、季節毎、岡田正実氏の地域区分、エルニーニョ/ラニーニャ期間の別によって集計してみた。
◎国内の地震の季節
春季:1
夏季:4
秋季:0
冬季:0
◎国内の地震の区域
A(親潮域):2
B(黒潮域):1
K(千島域):0
H(北海道):0
S(本土北):0
I(本土南):0
N(日本海):2
◎エルニーニョ/ラニーニャ期間
エルニーニョ現象中:3
エルニーニョ1年後:2
ラニーニャ中:4
ラニーニャ1年後:0
推論
こうして見ると、日本国内で発生した5つの地震のうち、4回は夏季に発生していて、残りの1回も5月26日と、ほぼ夏季の時期に起きていた。
また、すべて5月下旬から7月中旬に集中していた。
特に3回は、6月中旬に起きていた。
この季節の偏りは、どういう理由があるのだろうか。
一般に、夏から秋にかけては、潮位が最も高くなる。
そのために、それほど巨大な地震でなくとも、津波が発生する一因になっているのかもしれない。
夏に潮位が高くなる原因は、下記の2つと考えられている。
・海水温が高くなって海水が膨張するため。
・他の季節と比べ、日本付近の気圧が低くなり、その分海水が吸い上げられるため。
まとめ:津波地震で注意すべきこと
以上だが、これらのことから言えるのは、たとえ巨大地震というほどの地震ではないとしても、それが「津波地震」であれば、甚大な被害が出る津波が襲ってくる可能性があるということだ。
特に、国内の津波地震は、すべて「A:親潮域」、「B:黒潮域」、「N:日本海」のいずれかで起きていた。
そして、これも今、書いていて気づいたことだが、すべて日本の北部の北海道~東北で起きていた。
つまり、北海道・東北で夏季に大きな地震が発生した時には、沿岸部に住んでいる方々が即考えるべきことは、「大きな津波が来るかもしれないから避難しよう」ということだ。
特に、お年寄りや体の不自由な方が身近にいる場合は、速攻で避難を始めなければならない。
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アンケートに回答していただいた方々、ありがとうございました。
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