ウシ、ウマ、ブタといった家畜は、日本の都市ではあまりお目にかかれないが、欧米や中国などの海外では、前兆現象と思われる例が少なくない。
その多くは、日本でも参考になると思われる。
ウシ
ウシ(牛)は、哺乳綱ウシ目ウシ科ウシ亜科の動物で、野生のオーロックスをもとにして、新石器時代に西アジアで家畜化されたと考えられている。
ウシは他の多くの家畜と同様に、海外の事例が中心となる。
1976年5月6日のイタリア北東部のフリウリ地震(M6.5)では、揺れの1時間前頃からウシが鳴きわめいて綱を引きちぎらんばかりに暴れた。
また農夫の小屋では、雌牛が声を合わせて甲高く鳴き、せわしなく耳と尾をバタバタさせているのが目撃されている。
当日の朝に、牧場のウシが交尾活動をやめて突然に暴れまわり、鼻輪を引き千切ったウシもいた。
1975年2月5日の中国遼寧省の海城地震(M7.2)では、地震の数日前にウシが帆綱を引きちぎって家畜舎から逃げたという。
別のところでは、1日前にウシたちが凶暴化して喧嘩を始めた。
ウマ
ウマ(馬)は、ウマ目ウマ科に属する動物の総称だ。
日本では一般人が目にする機会が少ないために宏観報告がなく、主に海外で見られる。
1976年5月6日のイタリア北東部のフリウリ地震(M6.5)では、興奮したウマが小屋から逃げ出した。
中国河北省で1976年7月28日に起きた唐山地震(M7.8)では、24万人の犠牲者が出た。
その前夜に、馬が暴れて飼い主に噛み付こうとした。
早朝には、100頭以上の馬がいなないて小屋から逃げ出した。
ブタ
ブタ(豚)は、哺乳綱ウシ目イノシシ科の動物で、イノシシを家畜化した動物だ。
ブタに関する宏観現象の報告は、日本では少ない。
それだけ普段目にする機会が少ないこともあるのだろう。
1851年8月14日には、イタリアのメルフィでM6.3の地震があり10,000人の犠牲者が出た。
ある修道院で飼われていた3匹のブタは、ひどく興奮した状態になり、まるでイヌのように噛み合っていた。
1975年2月5日の中国遼寧省の海城地震(M7.2)では、1~2日前に40匹のブタが餌を食べようとせず、小屋の壁をよじ登ろうとしたり、戸に体当たりしていた。
別のところでは、2日前に十数匹のブタが小屋の中で喧嘩を始め、互いの尻尾を噛み切ったという。
また、ウシと同様に、地震の前にブタが家畜舎から逃げたという報告もある。
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