キンギョ(金魚)は、中国のチイ(鮒)の突然変異種であるヒブナ(緋鮒)を改良したものだ。
そのため分類上はコイ目コイ科コイ亜科フナ属キンギョ種となる。
日本には室町時代に中国から伝来した。
日本では、金魚はごく身近にいるペットなので、飼っている読者も多いだろう。
宮城県沖地震(1978)
亀井義次氏の『大地震前兆集』でも、何件かの例が見られる。
宮城県沖地震(筆者注:1978年6月12日のM7.4の地震と思われる)の5日前から、ある家では池の金魚が飛び跳ねていて、気になっていたという。
3日前には小牛田町不動堂中学校で、金魚鉢で飼育していた金魚が、酸素や餌を十分に与えていたのに1ヶ所に集まり、「鼻あげ状態」になっていた。
当日に、仙台市で飼われていた6匹の金魚が午前中から1ヶ所にかたまり、少しも動かなかったので、変だと思っているところへ地震が起きたという。
地震の発生は17時14分だったが、その後はまた普通に泳ぎ回っていた。
同じ日に仙台第一高校からの報告では、飼っている金魚数匹が、昼過ぎに水槽の底に一斉に沈んだかと思ったら、次に一斉に水面まで浮かび上がり、プカプカし始めたという。
もっと時間が迫ったところでは、仙台市三條中学校の報告で、地震の2~3時間前に6匹の金魚が激しく動き回っていて、餌をあげても食いつかなかった。
同じ中学校からは、地震の10分ぐらい前に金魚がとつぜん水槽から飛び跳ねて絶命したという報告もあった。
著者の亀井氏によると、5~6時間前の異常行動がもっとも多いのではないかという。
阪神・淡路大震災(1995)
次に、阪神・淡路大震災(1995年)の「前兆証言1519!」の事例からいくつか紹介する。
神戸市のある家では、さまざまな熱帯魚、キンギョ、コイ、ドジョウ、ナマズなどを飼っていた。
地震の3日前から魚たちが一切餌を食べなくなり、泳ぐこともなくなった。
興味深いのは、南米産の熱帯魚だけは変化がなく、日本産の魚だけに異常が見られた点だ。
京都府相良郡では、ある企業で飼っていたキンギョ9匹も、前日にすべて水槽の底に沈んでいて、ほとんど動かなかった。
餌を与えても浮上せず、これまでに一度もなかったことだという。
大阪府高槻市では、3日前からキンギョが毎朝腹を上にして泳ぎ、エラだけピクピクさせていた。
大阪市でも、本震と余震の2日前にキンギョが腹を上にして泳いでいた。
大阪府茨木市では、前夜に1匹のキンギョが暴れて、時には腹を上にして泳いでいた。
地震の2~3時間前には、神戸市で飼っていた4匹のキンギョが水面ギリギリのところでピチャピチャと暴れていた。
淡路島では、1週間くらい前から幼稚園のキンギョや小動物がどんどん亡くなっていき、お墓を作っていたという。
「魚が同じ向きに浮かんでじっとしていると地震」
「魚が同じ向きに浮かんでじっとしていると地震」という諺がある。
海や川でそのような場面を見る機会は少ないだろうが、自宅で金魚など飼っていれば見ることはできるかもしれない。
もっとも、金魚は冬季に冬眠する魚なので、冬場に水槽の底でじっとしていても不思議はないだろう。
だが、一斉に同じ方角を向いて整列していたならば、それは異常行動といえる。
故池谷元伺教授の実験
故池谷元伺・大阪大学名誉教授は、水槽のまわりに電場をかけ、水中に電流が流れるようにする実験を行った。
その結果、キンギョたちは電場に対して一斉に垂直に整列した。
ヒメダカやドジョウでも同様の結果になった。
魚類の線維筋と電場が平行になると、胎内に流れる電流が垂直の場合よりも7~10倍も多くなる。
電流による痛みを避けるために、魚たちは電場に垂直に整列するのではないかと池谷教授は述べている。
魚が飛び跳ねて、時には陸上に上がってしまうのも、同様の理由からだろう。
まとめ
・ 暴れて飛び跳ねる(10日前~直前)
・ 餌を食べず、1ヶ所に固まりじっとしている、または同じ方向(震源方向またはその真逆)を向いて整列する(3日~数時間前)
・ 腹を上にして浮いている(3日~1日前)
【参考文献】
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