以前に古書店で買った『風の子レラ』読了。
どうも小説のたぐいは読み慣れず、なかなか頁が進まない。
一般的にフィクションを好まない人間なので、小説のたぐいは読まない。
実話だと思って読み進めたら小説だということがわかって、「騙された」と思うことも時々ある。
それはさておいて、この小説は、実在の人物であるアシリ・レラさんをモデルにしたもの。
本名を山道康子さんといって、現存する唯一の(?)アイヌのシャーマンだ。
さいきんレラさんのところに泊まってきたという人から聞いた話によると、いろんなところで拝みを頼まれたりするらしい。
この作品では、主人公の少女レラはまだ子供なのに、現代を舞台にしている。
時代設定を変えているのだ。
どこまでが実際にあったことなのか、どこまで信じていいのかわからない。
だから小説は嫌いなんだ。
この世で実際に起きた真実の出来事の方が、フィクションよりもはるかに感動的である場合の方が多いように思う。
だが、この作者、ものすごく筆が立つ人。
俺にはとてもではないけど書けない、負けたと思う。
やっぱり小説は書かない方がいい。
ノンフィクションに徹するべきだろう。
狩猟採集民族的価値観のもとで自由奔放に生きるレラほかの人々を見ると、自分が何か大切なものを過去のどこかで置き去りにしてきたような気にさせられる。
だが、こういう人がごく身近にいたらすごく疲れるだろうなとも思うが。
この作品にも出てくるが、日本人の4人に一人は縄文人(アイヌ)の血が流れている、と。
そういうことを前提にしてこの本を読めば、アイヌ民族に対する思い入れというものが少しは違ってくるかもしれない。
私はといえば、間違いなく「縄文系」だと思う。
だから、沖縄とアイヌには理屈なしに惹かれるのだ。
関係ないけど、アイヌの文様って、見てると魂を揺さぶられるような気がしてくる。
アイヌ語で「イランカラプテ」といえば、日本語の「こんにちは」にあたる。
だが、その本来の意味は…。
「あなたの心にそっと触れさせてください」という意味らしい。
なんて美しい…。
- 作者: AKIRA
- 出版社/メーカー: 青山出版社
- 発売日: 2001/08
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