ルバブという楽器があると言って、日本人でそれを知っているのは10人に一人もいないかもしれない。
ガムラン音楽が好きな人ならばだいたい知っているだろうが。
私のWebサイトのプロフィールを見たことがある人ならば、私がキミョーな格好をして、楽器を弾いている写真を知っているでしょう。
あれがルバブです。↓
http://www.ne.jp/asahi/pasar/tokek/KB/AboutMeJ.html
なぜルバブの話題かというと、小嶋さちほさんからメールをもらったときに、私のプロフィール写真で写っているルバブに興味をもたれたので。
それで、長年弾いてなかったルバブを引っ張り出してきた。
ルバブはインドネシアの楽器で、胡弓の親戚の弓奏楽器だ。
ルバブという呼び方の楽器は近隣の国でもあるだろうが、その形などは微妙に異なる。
ネットで検索してもなかなか情報が得られない。
下記のランバンサリのページを久々に覗いたのも、検索で引っかかってきたから。
ルバブなんて、日本で所有している人は、ごくわずかだろう。
弦が2本なのは中国のニ胡と同じだが、形はかなり異なる。
ニ胡は共鳴胴がかなり小さく、蛇皮を張ってある。
ルバブの場合は、一般に水牛の皮が使われる。
前にも書いたように、インドネシアでは水牛は食用にされるため、ルバブを作るために水牛を殺したりはしないだろう。
使用する弦は本来は銅製の細い弦だが、私はスチールのギター弦を張っている。
この方が音量が出るという理由だが、本来のルバブの繊細さは失われているかもしれない。
弓は本来は馬の尻尾から作られるのだろうが、私のは恐らくナイロン製だ。
それに松脂(まつやに)を塗って、摩擦によって音が出る。
その原理はバイオリンやニ胡などの弓奏楽器と同様だ。
ルバブはバイオリンなどと違って、弦が宙に浮いた状態で弓でこするので、正確な音程を出すのがむずかしい。
弦の押さえ方次第で音程がかなり変わってくるからだ。
その音は独特のもので、赤ん坊の泣き声のようなというか、人間の声帯に近い。
本来の音はキンキンしすぎて耳障りなので、弦の部分にティッシュを丸めたものを挟んだりして、音色を柔らかくする。
私はルバブを2台もっていて、両方ともバリ島で購入したもの。
数十万ルピアもして、インドネシアではかなり高価な楽器だ。
バリ島で売られているルバブも、その多くはジャワ島で製作されたもの。
そういう意味では、質の良いルバブを入手したければ、中部ジャワのソロやジョグジャカルタなどの都市へ行った方が良いだろう。
ガムランの打楽器類のそうなのだが、ルバブを弾いていると、非常に気持よくなってくる。
トランスに入りやすくなるような精神状態になるというか。
そういう効果を狙って作られたものではないかもしれないが、結果的に、そうなっている。
ガムランの楽器は人間の脳波を特別な状態、つまりα波が出やすくさせる効果があるというが、ルバブにも同様の効果があるのかもしれない。