今日、原発に関する2つの重大なニュースを目にした。
一つは、東電副社長の石崎芳行氏が、東日本大震災の原発事故が起きる前に、福島の人々に「原発は絶対に安全です。絶対に事故は起きません」と嘘をついてきたことを、今では後悔しているというもの。
もう一つは、菅直人元首相の原発事故の対応を批判した安倍晋三首相のメールマガジンの記述で名誉を傷つけられたとして起こした訴訟で敗訴したこと。
安倍首相の件については、また別の機会に書きたい。
東電の副社長の話だが、12/1にYahoo!ニュースで報道されたもの。
『原発は絶対安全とうそをついてきた 東電副社長が後悔~菅直人元首相は安倍首相に敗訴』と題した記事だ。
11月29日(日)、福島県南相馬市で「東京電力福島復興本社って何してるんですか」と題した小さな集まりが開かれた。
原発事故で心に傷がある市民を元気づけようと、番場さち子さん(ベテランママの会代表)が企画したもの。
「復興本社が何をする会社なのか全く分からない」ということで、東京電力代表執行役副社長で福島復興本社の代表を務める石崎芳行さん(62歳)に来てもらい、話を聞いた。
Yahooニュースは後で早めに消えてしまうので、重要な部分は長めに引用することにしたい。
以下は、石崎氏のスピーチの部分だ。
1953(昭和28)年生まれの鉄腕アトム世代です。大学卒業後、電気をつくって送り届けることで世の中を良くしたい、社会のためになりたいと東電に入社しました。事務系社員でしたが震災前の2010年まで3年間、福島第2原発の所長を務めました。見学に訪れた地元住民の皆さんに「原発は絶対に安全です。絶対に事故は起きません。地震の時は原発の構内へ避難してください」と言っていました。私自身、そう信じていました。非常用電源までも失うことへの想像力に欠けていたんです。結果的に私は地元の皆さんに原発は絶対安全だと、うそをついてきたのです。痛恨の極みです。今それを恥じています。
この人、私と3歳しか違わないんだなと苦笑した。
自分もそんな歳になったかと。
東電は福島の地元の人々を騙していたことは間違いないが、東電の人々もある部分で「騙されていた」のかもしれない。
原発事故が起きて、誰が本当に悪いのかといえば、国民を騙して「原子力の平和利用」などといって原発を導入した自民党だった。
東電をはじめとする電力会社は、その国の指示に従わざるを得なかった?
…とは言えないかもしれないが、その後の経緯を見ると、やはり「同罪」の感を拭い切れない。
さまざまな嘘をついてきた東京電力。
だが、いままで東電の人間からこのような言葉を聞いたことがあっただろうか。
「原発は絶対に安全」「事故を起こすことなどない」
そう自分も信じていたというのだ。
しかし結果的に福島の人々に嘘をついてきたことになり、それが痛恨の極みであり、恥じているというのだ。
副社長の立場で、ここまで言ってしまって、立場が危うくならないのだろうか。
人ごとながら心配になってくる。
かなり勇気が要ることだと、その事自体は讃えたい。
石崎芳行氏は、Wikipediaの項を見ると、趣味が合気道とある。
ああなるほどと、ちょっと人間の傾向がわかったような気がする。
合気道の創始者である植芝盛平師の高尚な思想を学んだのだろうか。
合気道は、技を通して心身を練成し、自然との調和や世界平和への貢献を行うことを理念としている。
植芝師は、超人的というか、超能力者的な要素を併せ持った人物だった。
石崎副社長は、電気によって世の中を良くしたいと思い、東電に入社したという。
原発は絶対に事故を起こさず安全だと、自分も信じてきた。
世の中を良くするはずの原発が、逆に日本に災いをもたらしてしまった。
2011年3月11日は東京の本店で立地地域部長をしていました。東電の発電所がある地域と会社をつなぐ役割の部署です。お客さんと会っているとき、とんでもない激しい揺れが起きました。本店内にできた災害対策本部の一員になり、刻々と事態が悪くなっていく第1原発の状況をハラハラと見ているしかありませんでした。その後、当時の社長に付いて各地の避難所へおわびに回りました。寒い体育館で、毛布を敷いて寝転んでいる人たちの中に、第2原発所長時代にお付き合いしていた楢葉町や富岡町の方々がたくさんいました。「絶対安全だと言って、だましやがったな」。突き刺さってくるような怒りの目が忘れられません。
この事故から私は逃れられないと覚悟を決めました。原発所長として勤務する中、浜通りの気候風土が気に入り、こんなにいいところはない、いつか必ず住むぞと、ついのすみかを探す拠点にする賃貸アパートの内覧を3月12日にやる予定でした。その夢は今も捨てていません。今は1年契約の副社長ですが、首になっても死ぬまで福島の皆さんとお付き合いするつもりです。母も会津の出身。これが私の運命だと思っています。
自分なりの責任を取るつもりなんだな。
それでも原発全体は否定しないのだろう。
日本で福島以上の大惨事が起きるとは想定していないのだろうか。
今回、たとえプライヴェイトな会合であっても、東電の副社長が原発に対する後悔の念を表した勇気を讃えたい。
だが、そのような人物であれば、「3.11後」のことも、真剣に考えてもらいたいものだ。
この発言だけでも、国や会社から圧力がかかるかもしれない。
そのようなことは、「想定内」での敢えての発言だろう。
東電によるウソは、まだまだたくさんある。
それらをすべて洗い出すなどというのは膨大な時間とエネルギーが必要だろう。
Googleて「東電 ウソ」で検索すると、100万件ほど見つかる。
「原発が安全」だという思い込みは、思慮に欠けすぎていると言わざるを得ない。
子供だってわかるんじゃないか。
今日は時間切れになってしまったが、今後もこの問題の探求を続けることにしたい。
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