中部電力が浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)で2011年11月に着工した防波壁が、12月26日に完成した。
南海トラフ地震が発生した場合に、いちばん危険だと懸念されている原発だ。
浜岡原発は、特に東海地震の想定震源域にあるためだ。
現在、中部電力は再稼働の準備を進めている。
穿った見方…をしなくても、原発再稼働のための「口実」ではないかと思えてくる。
防波壁は海抜22m、全長1.6Km。
工事は東日本大震災後に高さ18mの前提で開始されたが、南海トラフ地震で国が想定した津波の高さが計画を上回っていたため、4m高くした。
写真や動画を見ると、鋼鉄製といえども見るからに薄っぺらで、これで本当に南海トラフ地震の大津波に耐えられるのだろうかと心配になってくる。
あんなチャチな壁で津波が防げるわけはなく、安全性を十分考慮することなく、工期の短さで採用したという噂も。
中電は浜岡原発3・4号機の再稼働を目指し、原子力規制委員会に安全審査を申請中。
安全対策工事は4号機が2016年9月に、3号機は2017年9月に終える予定だ。
だが、30Km圏の自治体との安全協定締結交渉が難航している。
そもそも、どんなに防波堤を頑強にして津波に耐えられるようにしても、巨大地震の揺れに耐えられずに破壊されたとすれば、なんにもならない。
その点は大丈夫なのか?
これについては、神戸大学経営学研究科教授の尾崎弘之氏のブログ記事が参考になる。
上記記事によると、浜岡原発は2013年に最大2,000ガルの揺れにも対応できる耐震補強を行なっています。
内閣府が設定した地震モデルが最大1,200ガルの揺れを想定しているため、中部電力が行った耐震工事は国の基準をかなり上回っている。
だが、内閣府モデルの1,200ガルには理解できないところがあるという。
独立行政法人防災科学技術研究所によると、2008年の岩手・宮城内陸地震では4,022ガル、2004年の中越地震では2,056ガルの揺れが測定され、1,200ガルを大きく上回っている。
国内でより大きな揺れが計測されている以上、作成者はモデルの有効性を説明するべきという意見だ。
上記の地震の規模は、新潟県中越地震(2004年)がM6.8、岩手・宮城内陸地震(2008年)はM7.2だった。
過去の地震を鑑みて、耐震性は本当に大丈夫なのかということだ。
また、尾崎弘之氏は防波壁についての大きな問題点も指摘している。
津波は正面の壁だけで100%防げない可能性があり、大量の海水が敷地内に侵入すると、福島第一・第二原発のように原発建屋内への浸水を招きかねないというのだ。
下記のマップは、1.6Kmにわたる防波壁の配置を示したもの。
津波というのは川からの遡上もあるし、回りこんで原発敷地内が浸水することも想定に入れなければならない。
そういう想定で、浸水対策が完全になされているのかが心配になる。
http://damdari.net/~tamiya/gallary/hamaoka/index.htm
下記のYouTubeno共同ニュースに、防波壁を上空から撮影した映像がある。
人間の営みに「完全」はない。
自分たちがどんなに「完全」なものを作ったと思っても、ボロが出る。
岩手県宮古市田老町に建設された高さ10mの防潮堤は、「万里の長城」と呼ばれた。
防潮堤を超える高さの津波も想定していなかったわけではなかった。
だが、住民の多くには、防潮堤の存在ゆえの過信があったのではないか。
結果的に、防潮堤は一部破壊され、死者・行方不明者229人を出してしまった。
もちろん、防潮堤や防波壁が津波から人々を守ってくれることもあるだろう。
だが、設備への過信が逆に人命を奪ってしまうこともある。
ローマ法王・フランシスコ聖下は、原発の建設はバベルの塔の建設と同じと語った。
「天に届く塔を造ろうとして、自らの破滅を招こうとしている」というのだ。
この国に原発がなければ一番良いのだが、そう簡単にはいかないのもわかる。
国民一人一人が、政府に騙されていることに気がつけば、事態は変わってくるかもしれない。
だが、現在の自民党支持大多数の国民の姿を見ていると、その可能性についても悲観的になってくるのだ。

- 作者: 河合弘之
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/09/17
- メディア: 新書
- この商品を含むブログを見る

静岡県は大丈夫か?―静岡空港は東海地震は浜岡原発は太田川ダムは財政再建は情報公開は
- 作者: 水野誠一
- 出版社/メーカー: 野草社
- 発売日: 2002/03
- メディア: 単行本
- クリック: 43回
- この商品を含むブログ (5件) を見る

- 作者: 今井一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/08/17
- メディア: 新書
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (5件) を見る

- 作者: 「科学」編集部
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/07/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 7回
- この商品を含むブログ (1件) を見る

- 作者: NHKスペシャル『メルトダウン』取材班
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/02/19
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (4件) を見る

終わりなき危機~日本のメディアが伝えない、世界の科学者による福島原発事故研究報告書~
- 作者: ヘレン・カルディコット(監修),河村めぐみ
- 出版社/メーカー: ブックマン社
- 発売日: 2015/03/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (2件) を見る
【今日の食卓】業務スーパー田無店にて。やはり年末は客が多い。ほとんどの人は切餅を買って行く。安いのはデンプンが混ざっていて本当の餅と言えるだろうか。新潟産の100%餅米の方を買った。
【今日の食卓】インドネシアのサテ(焼鳥)とガドガド(茹でた野菜のサラダ)。両方コキタの甘辛ピーナッツソースで食べる。ジャワ島滞在中の常食。サルちゃんも美味しいと絶賛。ガドガドは本当は「サラダ」でなく食事で、ロントンという茹で固めたご飯がつく。エナッ(美味)。Indonesian Sate & Gado Gado.
ずっと食べたかったけれどガドガドソースがなくて食べられなかった。涙
【今日の食卓】【愛弥美】二木の菓子で買った100円の熊本とんこつラーメン。スープが結構美味しく、サルちゃん自作の肉団子もニンニクが利いて超美味。愛弥美も食べたそうなので、あげたら美味しそうに食べていた。Ayami eating Ramen.