12年ぶりに黒潮の大蛇行期間に入った～南海トラフ巨大地震の発生に影響は？ - 探求三昧（はてな支部） - 地震前兆／超常現象研究家・百瀬直也が地震・災害予知・防災・予言などを探求

9月29日に、気象庁から重大な発表があった。
黒潮に関するもので、8月下旬から紀伊半島から東海沖で大きく陸を離れて流れる状態が始まった。
つまり、「黒潮の大蛇行」期間に入ったという。

大蛇行は実に12年ぶりのことで、これによって漁獲に大きな影響が生じると思われ、一部の水産物は水揚げが減少する恐れがある。
それよりも、このブログで取り上げるからには、注目すべきは「地震発生への影響」だ。

www.jma.go.jp

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黒潮の大蛇行

黒潮がどこで大蛇行するかは、上記の海上保安庁の海洋速報のマップを見ると一目瞭然だ。
この図は、直近5回の海洋速報での黒潮の流路を合成したもの。
ほとんど変わっていなくて、大蛇行が続いていることを表している。

黒潮と南海トラフ 地震

過去の南海トラフ地震の発生時期を調べた結果、発生時期に偏りがあることがわかった。
このことは、東海大学海洋研究所地震予知研究センター長の長尾年恭教授が指摘したものだ。
これについては、2年前にTOCANAで紹介している。
下記のブログ記事で補足も書いている。

tankyu.hatenablog.com

このように、過去に日付がわかっている南海トラフ地震は、すべて8月～2月（グレゴリオ歴）の範囲内で発生している。

では、なぜ発生月に偏りがあるのか？
それで色々と原因となる要素を考えた結果、可能性の一つとして「黒潮」に着目した。

そして過去の研究などを調べていった結果、「過去の南海トラフ地震は黒潮の非大蛇行期（直進期）に起きていた」という説を唱えている学者がいた。

tankyu.hatenablog.com

…ということで、自分で追跡調査した結果でも、過去の南海トラフ巨大地震は、すべて黒潮の直進期で起きていたことがわかった。
なので、現在は大蛇行を始めたために、これが終わるまでは南海トラフ地震が起きる可能性が低いということになる。

大蛇行期の大地震

では、南海トラフ地震以外の大地震は、黒潮に関わる何かの傾向があるのだろうか？
以下に、過去5回の黒潮大蛇行期に関東以西の太平洋側で起きた大地震（M7.0超）のデータを記す。

1975年08月～1980年03月（04年08カ月）

1978年01月14日：伊豆大島近海、M7.0
1978年03月7日：東海道南方沖、 M7.2

1981年11月～1984年05月（02年07カ月）

1982年07月23日：茨城県沖、M7.0
1984年01月01日：三重県南東沖、M7.0。

1986年12月～1988年07月（01年08カ月）

なし

1989年12月～1990年12月（01年01カ月）

なし

2004年07月～2005年08月（01年02カ月）

2004年09月05日：紀伊半島南東沖地震。19:07にM7.1、23:57にM7.4。共に津波あり。
2005年03月20日：福岡県西方沖地震、M7.0。

直進期（非大蛇行期）の大地震

次に、直進期（非大蛇行期）に起きていた大地震は、以下の通り。
2005年8月16日宮城県沖 - M7.2
2005年11月15日三陸沖 - M7.2
…というか、2つのいずれも関東以西ではない。

こうして見ると、南海トラフ地震以外の大地震は、大蛇行期に起きることが多いようだ。
いままで私が調べてわかった南海トラフ地震に関する傾向は、以下の通り。

南海トラフ地震が起きる可能性が高いのは、8月～2月で、特に12月に多い。
南海トラフ地震は、黒潮の非大蛇行期に起きる可能性がある。
南海トラフ地震を含めて、大蛇行期には関東以西の太平洋側の地震が抑制される？

大蛇行するか、しないかは、0か1の二者択一だ。
それでも、多少なりとも一部地域の地震予知に役立つのではないだろうか。

最近、和歌山県北部やその周辺で地震が目立ってきている。
だが、大蛇行期間に入ったということは、それが終わるまでは南海トラフ巨大地震は起きない可能性が高くなるのではないか。
あくまでも過去データに基づいたものであり、その過去データは数百年も遡ることはできない。
過去に大蛇行が起きていたかどうかなど、誰も知らなかっただろう。

以上書いてきたことは、絶対的なものではない。
黒潮大蛇行が終わるまでは、南海トラフ巨大地震は絶対に起こらないから安心だとは、思いすぎないでください。