1/16に和歌山県の熊野灘で、生きた化石と呼ばれる深海ザメ「ラブカ」が捕獲されたが、過去には東日本大震災などの地震の前に太平洋で出現することが多かったため、地震の前兆現象かどうかを検討する。
ラブカとは何者か?
「ラブカ」の名称は、何か横文字的な響きがあり、外国語起源ではないかと思う人も多いだろう。
「love」に関係あるんじゃないかとか?
だが、これはれっきとした日本語で、漢字では「羅鱶」と書く。
「鱶」は「フカ」であり、フカの仲間なのだ。
ではフカというのは何物かというと、サメとフカは学術上は同じものだ。
どうも、地方によって呼び方が異なるという話のようだ。
ラブカは、カグラザメ科に属するサメの一種で、大西洋・太平洋の水深500~1000mの海底に棲む。
日本では、駿河湾や相模湾で浅海に上ってくる。
原始的なサメの特徴があるため、「生きた化石」とも呼ばれる。
熊野灘で捕獲
そのラブカが、1月16日に熊野灘で捕獲された。
深海釣りをしていた那智勝浦町浦神の遊漁船から、水深約550m付近で捕獲した。
体長は128.9cmで、体の特徴からオスと思われる。
16日午後に串本海中公園水族館(和歌山県串本町有田)へ運ばれ、館内の水槽に入れられた。
だが、今日1月17日午前11時半ごろ、息絶えたという。
地震前兆の可能性
ラブカなどの深海ザメは、リュウグウノツカイなどの深海魚よりも、地震前兆である可能性は高くなる。
そう考える根拠はあって、一つには私が収集した過去のデータからそういう傾向があると言えること。
もう一つは、ラブカは通常のサメ類や深海ザメのメガマウスなどと同様に、ロレンチーニ器官を有すること。
これは、微弱な電流を感知する電気受容感覚の1種だ。
どうも、これが地震前兆として水中を流れる微弱な電流を検知して、海面近くに浮上するといった異常行動を取る可能性があるようだ。
過去の地震前兆例
以下に、過去にラブカが出現したあとで大きめの地震が起きた例を示す。
いちばん上の東日本大震災の前の3日前の出現は、捕獲場所が静岡県沼津市の駿河湾で、距離が450kmほどあるのが微妙なところだが、3日前の3月8日に出現していたことを考えると、前兆としてあるかもしれない。
その他は4件とも駿河湾で、いずれも数日後に地震が起きていた。
ただし、2014/3/21の出現の際には、5/5の八丈島東方沖M6.0の発震まで45日の遅延があったので、疑問が残るところだ。
熊野灘で見つかったことが気になる
ラブカは原始的なサメの姿をとどめていて、生きた状態で見られることがほとんどない貴重な生物だ。
水族館の関係者によると、熊野灘では約30年前にも見つかった例があるという。
この点が気になるところで、駿河湾に比べるとずっと稀なようだ。
南海トラフとは行かないまでも、このあたりで大きめの地震が起きる前兆なのかと思えてくる。
ただし、前述の事例を見ても、今回のような冬季には例がないため、地震とは結び付かないのかもしれない。
一般に、冬季に日本海でリュウグウノツカイのような深海魚が捕獲された場合は、このブログでは取り上げずに、単にスルーする。
それは、過去の経験から、地震とは結び付かないケースがほとんどだとわかっているからだ。
今回のラブカはどうだろうか?
前述の過去事例でも、東日本大震災以外は最大でM6クラスなので、たとえ地震があっても被害なしで終わる可能性もあるかもしれない。