『これが地震雲だ−雲はウソをつかない』(鍵田忠三郎、中日新聞本社)
(現在販売されている『決定版 これが地震雲だ―雲はあなたを大地震から救ってくれる』は書名と出版社が違うが、そこらへんのいきさつは不明。改訂版かもしれない)
- 作者: 鍵田忠三郎
- 出版社/メーカー: NGS
- 発売日: 1983/01
- メディア: 単行本
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以前に何度か紹介した本だが、まだ内容について詳細に紹介していなかった。
久々に、目を通してみる。
鍵田忠三郎先生(敢えて先生と呼ぶ)は、かつて奈良市長を努め、その後国会議員にもなられた方だ。
日本の地震雲研究の先駆者であり、長年の地震雲の研究により、数多くの大地震を予知されている。
1994年11月、阪神淡路大震災の直前に、惜しくも亡くなられている。
この方の存在がなければ、今ごろ地震雲というものの存在は、もっと怪しげなものだと思われていたかもしれない。
民間人でありながら地震雲の研究を続けられ、地震雲のメカニズムを解明されていったにもかかわらず、その研究成果はアカデミズムや政府から完全に無視された。
しかし氏の研究は中国にも影響を与え、日中地震雲学術交流会というものも生まれ、中国から要人が多く鍵田先生の教えを請いに訪れるようになった。中国では国家規模で地震雲を地震予知に役立てるようになった。
鍵田先生によると、地震というのは、地中に起きた歪みを調和させる動作なのだという。つまり、地球が地中に何らかの異常をもったときに、それを自ら治すための自己治癒・自浄作用の過程だといえるだろう。
ちょうど人間が細菌性の病気になり、細菌の活動を弱めるためなどの目的で高熱が出たり、風邪をひいたときにウィルスを外に追い出すために咳やくしゃみが出るのと同じように。
鍵田先生によると、人間の生活が不自然になるほど災害は大きくなるという。たとえば、自然と調和しない高層ビルや地下街を作ったり、崖の下に家を建てたりという行為だ。
この本に書かれた地震雲の見極め方などについて、下記にまとめてみる。
- 雨の前には地温が上昇し、地中の水位が上がり、雨が降る。地震と雨の発生の原因は同じなので、雨の日には地震が少ない。雨がどんどん降っても、その調和作用が追いつかない場合には地震が起きることもある。
- 形態:青空に細長い白帯雲が普通の形で、太い場合、細い場合、細長い場合、また鎌の刃先のように少し膨らんで見えるものもある。異常に気味悪く膨らんだ蛇のようなのは強い地震の前兆雲。
- 長さ:青空をまたぐような長い白帯は地震が近い(2日以内)ことを示し、短くて長方形に近い雲の場合は4〜5日先と考えてよい。短くても、雲ひとつない晴天に一つだけはっきり力強く線を引いている場合は、相当強い力をもっている。
- 時間:地震雲が1時間以上も一定の形を青空に維持されていたら近いところに地震が発生する。10分〜20分で消えるようならば500キロ以上の遠いところの地震と見てよい。
- 雲高:約300メートル以下の低い白帯雲は雨の前兆雲で、雨が降ることによって地中浅いところの歪みを調和する。地震雲は約5000メートル以上の高いところに出て、地震によって地中の歪みを調和する。
- 気温:地震の前兆現象として、その地域の気温が上がる。全体の気象の流れの中で、そこだけが異常に気温が高いところ、また不自然に低気圧が居座っているところに地震は起きやすい。
- 天候:雨の日には地震はないとみて良い。もし雨の日に地震がくるようならば、地表近くにも地中深くにも大きな歪ができていて、そういう時には雷も伴う。飛行機雲は晴天や雲の少ない日に現れ、飛行機雲に似ているが、飛行機雲の発生する天候は、地震の発生しやすい空模様であることは確か。
- 地震の方向と場所:普通は、地震雲の走っている差す方向、または地震雲と直角の後方を震源地とみてよい。震源の深いところの地震雲は乱れて現れる。
- 地震を抑える要因:地震雲があっても他に多くの雲があると力が減殺されて地震は起こりにくくなる。地震雲と交差する形で別の地震雲が出ている場合や、交差しないまでも2つの地震雲の延長が交差する時には、地震が起こらない場合が多い。
- 朝焼け:太陽の昇る地平線がメラメラと炎を高く上げているような真紅の朝焼けが出たら、その日のうちに地震が起きる。
- 夕焼け:赤とか紫とか、いろいろの色が混じって、言葉では表せないような気味の悪い色の夕焼けも地震の前兆。
- 直下型地震の前兆現象:井戸などの水位の上昇、地温の上昇、静電気の発生などが見られることがある。
1時間以上も居座るような地震雲が発生する。碧空に横たわる白・赤・黒・灰色などの蛇のような雲、空が割れたような断層を思わせる異常な黒い雲や、地震の直前には肋骨状の雲も出る。地震前夜には青白い閃光が震源地方向に見え、大砲のような音が聞えることもある。
以上だが、私が参照している本は昭和55年発行で、その後の研究によって事情が変わっている部分も一部あるかもしれない。
地震雲は研究者によっても意見が異なる部分もあるので、あくまでも参考にとどめてください。
【参考サイト】