今日、『食べない健康法』(石原結實、東洋経済新報社)を読み終えた。
この本については、下記の記事でかんたんに紹介しておいた。
まだ読んでいない方は、こちらから読んでください。
「食べない」健康法―コストゼロで今日からできる驚異の健康革命!
- 作者: 石原結實
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2008/02
- メディア: 単行本
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下記の記事では、『今あるガンが消えていく食事』(済陽高穂著)を紹介した。
この本は、胃ガンになった友だちにあげてしまって、手元にない。
石原博士の本は、前述の済陽氏の本よりも、もっと本質的な部分が多い。
というのも、この人は現代医学で博士号を取っているだけでなく、東洋医学にも造詣が深いのだ。
両者の長所・短所を補い合って治療にあたっている。
東京の石原クリニックでは、初診は3年先まで予約で埋まっているという。
TVなど見ないから知らないが、『おもいっきりテレビ』などの番組出演や、講演・取材・執筆活動で大忙しの人らしい。
小食のメリットは?
1日1食や2食の生活を続けていると、どういうメリットがあるか?
忙しい人ばかりだろうから、まず結論だけ列挙する。
- 空腹になることによって免疫力がアップする。
- ガンの予防と改善。
- 加齢関連疾患の予防と改善。
- 老化を遅らせ、若さを保つ。
- 体重が減少する。
- 消化力・排泄力が促進される。
- 頭脳が明晰になる。
- 性的機能が強くなる。
- ストレスに強くなる。
以上のことに興味がある人は、以降も読み続ける価値があるかもしれない。
いつものことだけど、ちょっと長いです。
石原博士は、食事療法・断食療法によって多くの人々の病気を治してきた。
その基本方針は、「食べないと健康になる」だ。
コストゼロでできる、究極の健康法だろう。
石原博士の実体験
石原氏は学生時代から、小食にすると健康になることを体験的に理解していた。
医師になってからは、スイスの食事療法だけで病気を治す病院や、モスクワの断食病院で学んだりした。
そして、ニンジンジュースだけを飲ませて健康増進を図る保養所を伊豆に創設した。
このような体験を経て、「我々文明人がいかに食べ過ぎているか」を実感した。
そして、断食や小食にすれば、いかに健康が増進できるかも確信した。
朝と昼は人参・りんごジュースと生姜紅茶だけで固形物は採らない。
夜は好きなだけ食べる。
魚介類・納豆・豆腐というセミヴェジタリアン的な食事だ。
このような実質的な1日1食を続けていると、さぞかし元気がなくなるだろうと思われるかもしれない。
だが、ウエイトトレーニングを欠かさず、力こぶを作って患者さんに見せても、1日1食だということをなかなか信じてもらえないという。
私が二十歳の時にホームステイしたカリフォルニアの男性のことを思えば、驚くに足らない。
彼は完全ヴェジタリアン(ヴィーガン)でも、筋骨隆々のマッチョマンだった。
小食を科学する
小食とガンなどとの病気の関係は、さまざまな実験によって相関性があることがわかっている。
1935年のマッケイ博士の研究では、30〜40%のカロリー制限をした動物は、自由に摂取した動物よりも寿命が長くなり、ガンなどの加齢関連疾患に発症する確率が低くなった。
フランスのド・ヴリーズ博士は、断食すると皮膚の若返りが著しく、シワ・シミ・そばかす・発疹・吹き出物が消えていくと言っている。
スペインの老人ホームでは、通常の食事と水断食を1日おきにやったグループと、毎日通常の食事をしたグループを比較したところ、前者の老人たちが圧倒的に長生きした。
1960年代のドイツの研究によると、食べたいだけ食べさせたネズミは、2日おきに断食させられたネズミよりもガンの自然発生率が5.3倍も高くなった。
米国カリフォルニア大学のマーク・ヘラースタイン博士の最新の研究では、断食すると体内の細胞に抗ガン効果をもたらすことがわかった。
たくさん食べると分泌される成長ホルモンやインスリンのような、細胞の成長を促すようなホルモンは、細胞の分裂を促し、がん細胞の増殖に深く関わるという。
つまり、日本人の死因の1位であるガンは、「食べすぎ病」だと断言してよいと石原氏は書いている。
食欲不振のサインと免疫力
人間はガンになると食欲がなくなるのは、免疫力をあげてガンを治そうとする反応だという。
ガンでも他の病気でもそうだが、食欲がないのに無理やり食べさせようとするのは、人間の自然治癒力を妨害していることに他ならない。
米国オレゴン大学の研究では、18年間、30%のカロリー制限をしたアカゲザルたちは、普通食を与えられたサルたちよりも、T細胞のレベルが高く(免疫力が旺盛)、病気になりにくいという。
こうした様々な研究によって、低カロリーの食事は、血液中のコレステロールを下げ、血圧を下げ、体脂肪を減らし、糖尿病や心臓病のリスクを軽減させることがわかっている。
米国ミネソタ大学のM・J・マレイ博士の研究では、1975年にサハラ砂漠の飢餓の遊牧民たちに食料を与えたところ、突然にマラリアや結核などの感染症が増えてきたという。
そのため、栄養過多が感染症を誘発し、われわれが食べる食物中の栄養素は、われわれの体の維持よりも、病原菌の分裂・増殖に利用されるのではないかと考えるに到った。
現代医学では、ガンができたら放射線で焼却したりするが、ガンの原因に対しては何らの処置もしない。
そのため、ガンが再発することも多い。
人間が生きるための必要最小限の食物しか摂っていないならば「新生物」をつくる余裕がないのだから、ガンができてくる背景には「食べすぎ」があると石原博士は述べている。
ガンは「悪魔の細胞」か?
およそあらゆる病気というものは、人間の「全体性」を回復しようとする何らかの試みだ。
たとえば、風邪などの病気で発熱するのは、体温を上昇させることによってウイルスを殺そうという自然治癒力のなせる業だ。
咳やくしゃみも、体温を上昇させるなどの目的による自発的な動作だ。
では、ガンはどうだろうか。
長年自然医学の発展に貢献してきた森下敬一医学博士によれば、ガン(腫)は、血液の汚れを浄化している装置だという。
石原博士は、白血球とガン細胞の共通点を指摘する。
どちらも、細胞から活性酵素を大量に放出し、対象の老廃物や弱った細胞を「焼却」して貧食するという。
なので、放射線や化学療法でいくらガンを消滅させようとしても、根本的な解決策にはならないのだ。
血液を浄化させることこそが、ガンにお引取り願う最善の方法だと石原氏は書いている
本当にこの世界はよくできていると感心する。
やはり万物は、「必要」があって存在するのだ。
もちろんそれらは、創造主によってもたらされるものなのだろうが。
では、血液を汚す要因にはどういうものがあるのか。
石原博士は、次のようなことを挙げている。
- 食べすぎ
- 運動不足
- ストレス
- 冷え
- 環境汚染物質
- 水分の摂りすぎ
煎じ詰めれば、「食べすぎ」と「冷え」がさまざまな病気の根本原因なのだという。
「食欲不振」や「発熱」も、それを改善させようとする自然治癒力によるものなのだ。
石原式「基本食」
石原博士は、朝食をとらず、代わりに人参+りんごジュース、そして生姜と黒砂糖を入れた生姜紅茶を薦めている。
また昼食も摂らないことが望ましいが、無理ならば日本そばを薦める。
そばは必須アミノ酸や、ほとんどのミネラル、ビタミンなどを含む「完全栄養食」だからだ。
そして夕食は、制限なく何でも食べて良いという。
適度のアルコールも許されている。
ニンジン・りんごジュースというのも、人体に必要なビタミン・ミネラルのすべてを含んでいる優秀な飲み物だという。
また、人参には「万病のもと」と言われる活性酵素を除去するβ−カロテンが多量に含まれる。
リンゴには、ビタミンA・C群・C、種々の酵素、血中コレステロールを下げるペクチン、腸内の善玉菌を増やすオリゴ糖、活性酵素を除去するポリフェノールなどを含む果物の王者だ。
英国のことわざでは、「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」という。
石原式のメリット・デメリット
石原博士は、1日1食よりも更に効果的な方法として、断食を薦めている。
また、体を暖めて病気を治すためのさまざまな方法もある。
石原式食事療法によって、肥満、ウツ、潰瘍性大腸炎、乳がんの再発防止、風邪を引かなくなった、正確が変わった、夫婦円満になった、花粉症が改善したというような報告がある。
小食にするといっても、人それぞれ職業や体質や生活環境によって、条件は大いに異なってくる。
みんな一様な食生活を送るわけにはいかない。
だが、基本ややはり、小食にすることによって健康を取り戻すことだろう。
また、ちょっと残念なのは、石原博士は中国漢方などの知識はあるのだが、低血糖症に対する意識が低い嫌いがあること。
空腹になると血糖値が低くなるが、そういうときにはあめ玉をしゃぶるなどすれば良いと言っている。
いつも書いているように、砂糖はドラッグのようなものだ。
ドラッグ中毒患者が中毒症状を訴えからといって、ドラッグを与えるようなものかもしれない。
また、体を温める・冷やす食物という点では、中国漢方とマクロビオティックでは正反対のことを言っている場合も少なくない。
そのへんについても、ちょっと知識不足の感を否めない。
読者が自分の探究によって、補う必要がある部分だろう。
このような疑問に残る点はあるが、小食が健康をもたらすという根本的テーマについては大賛成だ。
食べすぎと冷えによって、多くの病気の原因になるというのも、その通りだろう。
この健康法は、本当にお金がかからない。
何しろ、いままで食べていた食事を減らせというのだから。
動物は、体調が悪くなると何も食べずにじっとしている。
薬などなくても、病気は治るのだ。
「真理は単純だ」ということだ。
非常に本質的なことが多く書かれているという点でも、究極の健康を探究する人々に一読をお奨めする。