さいきん、いちばん関心が強い楽器が、琵琶(びわ)だ。
『平家物語』とか聴くと、いいなと思う。
こういう音楽がわかる歳になってきたということか。
いや、琵琶の音は昔から好きだった。
琵琶は、中国から伝わってきた楽器だ。
だが、日本に入ってからは、かなり異なる形に発展してきた。
もともと、邦楽器は他の国の楽器とかなり異なる点がある。
和楽器は、澄んだ音ではなく、わざとひずみの入った音が出るようにするのだ。
琵琶の音を左脳で聴く
大脳は右半球と左半球がある。
通常、音楽は右半球で処理される。
だが、和楽器のような細工を施した音色を、日本人は左半球で聴く。
ここに、日本人以外の民族との決定的な違いがある。
つまり、歌のない純粋な楽器の演奏でも、日本人はそれを「言葉」と同様に捉えるのだ。
このことは、かつての角田忠信氏の『日本人の脳』の研究で明らかになったことだ。
日本人にとって、琵琶のような楽器の音は、「言葉」と同等のものなのだ。
『平家物語』
琵琶といえば、平家物語。
盲目の琵琶法師たちによって、800年も語り継がれてきた。
『平家物語』の文に節をつけ、「平家琵琶」の伴奏で物語る。
鬼気迫るものを感じるとともに、幽玄の世界がある。
昔(1982年)、『Blade Runner(ブレードランナー)』という映画があった。
原作はフィリップ・K・ディックのSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』だった。
この劇中で、『平家物語』を琵琶で弾き語る女性の歌声が流れていた。
あの場面で、これほどハマッた音楽はないと思えた。
ヴァンゲリスが音楽を担当していた。
二人の琵琶奏者
YouTubeなどで、琵琶の歌と演奏が素晴らしい人を探してみた。
私がその狭い範囲内で、特に素晴らしいと思う人は、これから紹介する二人の琵琶奏者だ。
まずは、半田淳子さん。
歌の節回しが素晴らしい。
非常に激しい演奏になる場面だ。
映像のEnbed(貼り付け)が許されていないので、下記のリンクを辿ってYouTubeで聴いてください。
『平家物語』の一部です。
次は、田原順子さん。
同じく『平家物語』の「那須与一」の部分を。
この人も、歌う節回しがたまらなく良い。
このような素晴らしい映像を『伝統音楽デジタルライブラリー』として公開してくれている洗足学園音楽大学に感謝したい。
◎琵琶演奏 「那須与一」 〜伝統音楽デジタルライブラリー
琵琶を弾きたい
琵琶は、自分でも弾いてみたい。
だが、普通の楽器でも数十万円と高いのがネックだ。
どこかで習ってみたいと真剣に思っている。
中国の琵琶
今日の「記事とは関係ないけれど」シリーズ。
今日はまったく関係なくはない。
日本の琵琶の元となった、中国の琵琶(pipa)の演奏です。
日本のものと比べると、フレットがたくさんついている。
また、日本では撥(ばち)で演奏するけれど、中国のは指にピックをはめて弾いている。
音色もかなり違います。
◎【风华国乐】 琵琶语 / 蒋彦 (琵琶) 林海 (作曲) / 高清晰 音乐视频