探求三昧(はてな支部) - 地震前兆/超常現象研究家・百瀬直也が地震・災害予知・防災・予言などを探求

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タイの占星術


『タイの僧院にて』を、やっと読み終えた。
8月上旬に初めてタイへ渡航した際に、飛行機の中で読み始めた本だ。
文化人類学者がタイの僧侶として出家して、タイで半年間ほど生活した記録だ。
著者の青木保氏は1938年生まれで、前文化庁長官、大阪大学名誉教授といった肩書きを持つ。
私はどういうわけか、この人とは今までまったく接点がなかった。


『タイの僧院にて』を読んでいて、なんどか「占い」という表現が出てきた。
他のタイ関連の本でも、結婚式などの良い日取りを決めるのに、僧侶に「占い」を依頼するというような下りがある。
タイの僧侶たちも真剣に参照するという占いとは、何なのだろうか。
その占いが具体的に何であるかは、終り頃まで読み進めるまで不明だった。
だが、けっきょくは占星術なのだ。
登場する高位の僧侶が、「金星の位置が」云々というくだりで、やっとわかった。

タイの占星術とは?

ネット上では、タイ占星術についての日本語での「まともな」情報はほとんど得られない。
そこで、今度は「thai astrology」でググってみる。
すると、期待通り、いろんな情報が出てきた。
外国人に対して、占いのサービスをしてくれるサービスもある。
タイ人がやることだから、もちろん抜け目なく有料だろう。
Amazon(Japan)では、タイの占星術に関するペイパーバックも買える。
英語版の洋書だが、ホロスコープ解読のノウハウも学べるらしい。


『Know Your Future: Thai Astrology Which You Can Do Yourself』

Know Your Future: Thai Astrology Which You Can Do Yourself

Know Your Future: Thai Astrology Which You Can Do Yourself


タイの占星術は、ジョーティシュ(インド占星術)をベースとする、サイドリアル形式のホロスコープを使った占術だ。
サイドリアルとか言われても「なにそれ?」と普通の人は思うだろう。
占星術(西洋・インド等)では、地球から見た太陽の通り道である黄道を、12のサイン(星座宮)に分割する。
いわゆる、おひつじ座、おうし座などと呼ばれるものだ。
そのサインの起点となるのが春分点牡羊座0度)で、1年のうちで春分の日には、太陽がこの春分点に来る。
西洋占星術では、このおひつじ座0度が固定されていて、未来永劫位置が変わらない。
これの分割方法を、トロピカル方式と呼ぶ。
トロピカル方式の問題点は、天文学でいう歳差運動によって占星術のサイン(星座宮)と実際の星座が少しずつずれていくことだ。
たとえば現在われわれが「牡羊座」と呼ぶサインは、実際の星座である牡羊座があるところからずれたところにある。


これに対して、ジョーティシュ(インド占星術)では、牡羊座0度(春分点)は、年々少しずつ移動する。
そのため、占星術のサインと実際の星座の位置にズレが生じない。
このトロピカルとサイドリアルの違いによって、西洋占星術とジョーティシュでは、サインが違ってくる。
たとえば、西洋方式では、私が生まれた時に太陽は牡牛座14度にあった。
だが、ジョーティシュでは、これが牡羊座21度になる。
つまり、西洋方式では私は「牡牛座生まれ」だが、インド方式では「牡羊座生まれ」になるのだ。

タイのホロスコープ

タイ式では、ホロスコープの描き方に独特なものがある。
だが、それはジョーティシュの1形式である東インドのスタイルを基にしたと思われる。
ただチャートの形が、正方形から円形に変わったものだ。
ハウスのカスプ(境界)の描き方で、そうだと推測される。


タイのホロスコープとはどんなものか、例を示したいのだが、「タイ ホロスコープ」とかでググッても、面白いくらいにまったく画像が見つからない。
この国では、これだけタイ好きな人が多いのに、なぜかタイ占星術についての知識を有する人は皆無に等しいようだ。
もっとも、ジョーティシュについて知っている人がどれだけいるかと思うと、無理もないかもしれない。


この本の著者によるWebサイトでは、無料で自分のホロスコープを自動作成してくれる。
(解釈はないので、本を買って自分で勉強するしかない)
そのサイトを探し、ホロスコープを作成してみた。
だが、ラグナ(上昇宮)が獅子座となっている。
本来サイドリアル形式だと、牡牛座になるはずだが。
西洋占星術では双子座)
緯度経度を入力せず、単にタイムゾーンだけ指定させる手抜きのやり方に問題があるのだろう。
このへんは、出生時刻を調整すればなんとかなるかもしれない。


KnowYourFutureTheWebSite.com
http://knowyourfuturethewebsite.com/


私は無料のジョーティシュソフトをいくつかもっている。
もしタイ方式がジョーティシュとまったく同じならば、そういうフリーウエアの類を使ってホロスコープを作ることができるだろう。
タイ式に描いてはくれないが、それは必要があれば自分でやれば良い。

タイ占星術は有用か?

タイでは、結婚式や僧侶が出家する日にちを占星術で決めたりする。
ただ、その「方法論」が問題だ。
果たして、「良い日取り」を決めたりするのに、本当に効果があるのだろうか。
ポイントは、ジョーティシュの知識がどれだけ「正確に」伝わっているかどうかだろう。
もっとも、ジョーティシュが「完全」なものだということではないが。
今後の探求の課題としたい。
タイ占星術について、もっと知りたくなってきた。
今度11月にバンコクへ行った時に、書店で英文の書籍を探してみることにしたい。


前述の『Know Your Future』は、Googleのブック検索で、中身を試読できる。


タイの占星術について知るには、こういうサイト(英語)もある。

Astrologers
http://www.thaiworldview.com/bouddha/animism4.htm

オマケ:タイ仏教に関する本など

前述の『タイの僧院にて』は、日本人がタイのテラワーダ(上座部)仏教の僧侶になったという稀有な体験を綴った本という点で、貴重なものだ。
残念ながら絶版だが、Amazonでは古書が出品されている。
こちらは、500円代からある。

タイの僧院にて (中公文庫 あ 5-1)

タイの僧院にて (中公文庫 あ 5-1)

こちらは、もっと古い版?


タイの上座部仏教(テラワーダ仏教)について体系的な知識を得るための本は、日本ではほとんど限られている。
以前にもちょっと触れたが、一般書としては、この本がほとんど唯一のものかもしれない。

タイ仏教入門 (めこん選書 1)

タイ仏教入門 (めこん選書 1)


Amazonで検索していたら、こんなDVDもあった。
1998年に放送されたNHKスペシャル「ブッダ 大いなる旅路」をDVD化したものだ。


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