先日の下記の記事でお知らせしたように、AmazonKindleストアで電子本『ヴィア・ドロローサ〜イエスが歩いた悲しみの道』を出版した。
- 『ヴィア・ドロローサ〜イエスが歩いた悲しみの道』をKindleストアで出版した
http://d.hatena.ne.jp/nmomose/20121201/dolorosa
この本は、10月に日本で始まったAmazonのKindleダイレクト・パブリッシング(KDP)というサービスを利用している。
この記事では、このサービスを利用した本の出版方法について解説したい。
Kindleダイレクト・パブリッシングとは
昨年の下記の記事で書いているように、米国amazon.comでは、かなり前から同様のサービスが始まっていた。
KDPは厳密に言うと「自費出版」ではない。
1円も「自費」を支払わずにに出版できるからだ。
Kindle本を出版した後も、本が売れない限り、Amazonに1円も支払う義務がない。
これも非常に嬉しい点だろう。
米国でサービス開始した当初はいくらかの初期費用が必要だったようだが、その後変わったのだろうか。
このようにAmazonが「日曜作家」に対しても敷居を低くしているのは、Kindle本の層を厚くしたいためだろうか。
そういうわけで、自費出版とは言えないが、ではどう呼べば良いかというと…
「自力出版」?
イマイチか。
Kindle本を出版するには
KDPで本を出版するのは、誰でもできる。
条件としては、Amazonの一般の顧客用アカウントを持っていることで、無ければ今から作れば良い。
あとは、ロイヤルティを送金してもらう銀行口座を用意する。
どのような内容の本を出版できるかについては、一部制限がある。
一般常識的に推測がつくようなものだ。
例えば性行為を描写したものとか、「悪意を含む表現」とか。
つまりポルノはNGということ。
詳細は、記事の最後に載せたKDPのコンテンツガイドラインを参照してください。
KDPで出版した本は、Amazon.co.jpだけでなく米国.comや他の国々のAmazonでも販売してくれる。
もっとも、日本語で書いた本が海外で売れるかどうかは別問題だが。
本が売れたらいくらもらえるか
紙ベース本の印税にあたるロイヤルティだが、Amazonは他の日本の電子出版システムよりも安い。
パブーやDL-Marketといった出版サービスの手数料(ロイヤルティ)などについては、下記の記事で書いている。
日本のKDPでは、米国と同様に35%と70%のどちらかを出版者が選べる。
2つの選択肢を用意しているというということは、当然70%の方は何かデメリットがあるわけだ。
それは、販売できる地域が制限されることと、配信料(Kindle本販売の際の通信コスト)がロイヤルティから差し引かれること。
70%での販売が可能なのは現在のところ米国、カナダ、仏、独、イタリア、スペイン、インドなどで、日本は含まれていない。
これは、Amazon.co.jpからKindle本を出版する際に70%のロイヤルティが選択できないという意味ではない。
70%に設定すれば、例えば米国で売れた場合は、70%から配信料を差し引いた額がロイヤルティとして支払われる。
但し米国の場合、日本に居住する人間に対しては収入の30%が税金として源泉徴収される。
この税金は、米国のIRSに適切な申請を行えば免除されるらしい。
詳細については、AmazonのKDPサイトで解説している。
いずれにしても、日本語で書いた本を売るには、70%に設定しても、あまり意味がないことになる。
配信料は1MBあたり15円。
例えば、作成したKindle本のファイルサイズが20MBのマンガや写真集だと300円になり、これを500円で販売すると、ロイヤルティは1冊50円しか残らない。
実質的にロイヤルティは10%になってしまうので、この場合は35%にした方が良いことなる。
文字主体で、写真はJPEGで圧縮率を高めた本が例えば1MBになったとすると、これを300円で販売した場合、195円もらえることなる。
35%を選択した場合は配信料は引かれないから、上記の場合105円となる。
このロイヤルティの選択肢は出版する本ごとに設定できる。
上記の例で見たように、本のファイルサイズによって選択することもできる。
私が出版した3巻の本は1巻1MB行くか行かないかだと思ったが、日本では70%を選んでもあまりメリットがないと思い、35%に設定した。
ロイヤルティの選択肢には、他にAmazonで独占販売を可能にするかどうかで条件が違ってくる部分がある。
Amazonに期間限定で独占販売権権を与えると、その本が貸し出しされた時に貸し出し料が入ってくる。
貸し出しはAmazonプライム会員用のサービスで、会員が友人に自分で購入したKindle本を無期限に貸し出すことができるというもの。
貸し出しなどされたくないという人は、出版の登録時に貸し出しを無しに設定すれば良い。
私もその一人だ。
ちなみに、上記のような設定はすべて、一旦販売開始した後でもいつでも変更することができる。
本の書名や内容も含めてだ。
ただし、ちょっとした変更をしても、それが承認されるまで最長48時間かかるが。
それから、ロイヤルティの支払いは、月末締めの60日後支払い。
設定した銀行口座へ入金される。
ただし、ロイヤルティが日本ならば1000円以上に達した時点で支払が発生する。
ロイヤルティについて、私がネット上で調べた限りでは以上のようになる。
今後新たな情報を得たら、この記事に追記する。
Kindle端末以外でも読めるか?
Amazonでは、Kindle本の販売促進のためにKindle端末を原価レベルで販売して話題となった。
日本でも、1番安いPaperwhiteが、今Amazonで見たら7.980円だった。
Kindle本は、Kindle端末がなくても読むことができる。
iPhoneやAndroidでは無料のKindleアプリをダウンロードできる。
米国でKindleが発売された時に、PC上でKindle本を読むためのソフトが無料で配布されていたが、amazon.co.jpで購入したKindle本を読むためのものは、まだ公開されていない。
Kindle端末を持っていない人がKindle本をAmazon日本で購入した場合、スマホに転送しなれば読むことができない。
また、Kindleもスマホも持っていない人は読むことができない。
PC上でKindle本を読む裏技があるのだが、それは後日別の記事で紹介したい。
Kindleストアでは、パブリックドメイン(著作権が消滅した状態)の本を0円で販売している。
私も、Kindle本はどういうものか、試しに何冊か入手してiPhoneへ転送してみた。
そのやり方などは、下記の記事で書いている。
自サイトなどでのPRとアフィリエイト
自分で出版したKindle本をブログなどでPRする際に、ASINを使用してリンクを張ることは許される。
ただしAmazonやKindleの商標は使用不可となっている。
Amazonアソシエイト(アフィリエイト)に登録している人ならば、自分の本のリンクをブログやWebサイトに張ることも可能だ。
たとえば、こういう具合に。↓
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これで、もし自分の本が売れたら、ロイヤルティに加えてアフィリエイト報酬を得ることができる。
Kindle本の場合、紹介料は10%になっているようだ。
例えば上記のバナー経由で本を購入していただいた場合、35%のロイヤルティならば、45%が自分のところに入ってくることになる。
Amazonの自分の本の詳細ページ上で、Webへのリンクを張ることは許されない。
自分が書いたKindle本の中にAmazonの本へのリンクを記載することはOKだ。
要は、Amazonの利益になることはOKで、不利益になることはNG。
単純明快だ。
著者のページ
Amazonでは著者セントラルというのがあって、ここに登録すると、著者としての自分のプロフィールなどを人々に知ってもらうことができる。
登録は完全に無料だから、利用しないと損だ。
私も登録してみたが、非常に簡単だった。
Amazonの検索で自分の著書を探して、自分の著書として追加する。
そして、写真と略歴を登録する。
公開されるまでは時間がかかるが、朝に行なって、夕方には公開されていた。
下記のページだが、このブログのサイドバーにある「百瀬直也の本」をクリックしても行ける。
- 百瀬直也の作品一覧・著者略歴
http://www.amazon.co.jp/-/e/B00AKP8WO6
CreateSpaceというAmazonの関連会社のサービスでは、Print On Demand(POD)の本を作成することができる。
まだよく見ていないが、KDPで出版したKindle本を紙ベースの本として制作してくれるようだ。
サンプル版
KDPサイトに「なか見!検索」のメニューがあったので、申し込んでみた。
紙ベースの本の一部をAmazonサイト上で読むことができるものだ。
数日後にAmazonから届いたメールでは、Kindle本はこのサービスへ対応は未定とあった。
Kindle本では、KDPから出す本も出版社が出す本も、冒頭の数ページをサンプルとした本を無料でダウンロードできる。
なので、「なか見!検索」は不要ということなのか。
ちなみに、このサンプル版のページ数は自動的に決められるようだ。
たとえば製品版の十分の一とか。
私が出した本は1000ページとか1700ページとか、メッチャ長い。それでもサンプル版は15ページだから、これが最大と決まっているのかも。
Kindle本を作る
KDPでKindle本を出版する際に、元となる本は以下のいずれかの形式で作成しなければならない。
と、ここまで書いて、かなり長い記事になってしまった。
Kindle本の作成方法については、後日別の記事として書くことにしたい。
KDPで出版したKindle本は、Amazonで検索すると、他の紙ベースの本とまったく同じように検索される。
ベストセラー本と肩を並べて表示されることもあるわけだ。
日本の出版社は、紙ベースの本と変わらない価格でKindle本を出すところが多い。
これは、なんだかおかしい。
印刷・製本のコストがかからないのに。
大手出版社がこのように高い価格設定をしていれば、私のように個人が出版する際に価格で対抗することができるわけだ。
【参考サイト】
- Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング
https://kdp.amazon.co.jp/ - 本を出版する 出版とレビュー コンテンツガイドライン
http://www.contact.co.jp/blog/index.php?/archives/1952-KindleKDP.html - 「Kindleダイレクト・パブリッシング」アカウント登録までの手順
http://musakuna.com/mk2/?p=1098&utm_source=buffer&buffer_share=b0b04 - Amazon著者セントラル
https://authorcentral.amazon.co.jp/gp/home - Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)(神戸三宮便り)
http://www.contact.co.jp/blog/index.php?/archives/1952-KindleKDP.html
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