南海トラフ地震関連の話題を。
江戸時代後期、1854年12月24日(嘉永7年11月5日)に発生した安政南海地震の時の津波の様子を綴った資料が発見されたという。
土佐藩の改革を推し進めた藩士吉田東洋(1862年暗殺)が、安政地震(安政南海地震)を体験した様子を綴った新史料10点が、高知県南国市の県立歴史民俗資料館の保管史料の中から見つかった。
その文書には、津波の前兆と思われる記述も見られ、貴重な資料だ。
【画像】地震津浪末代噺乃種(じしんつなみまつだいばなしのたね)、嘉永7年(1854)
(色調、コントラストを調整したもの)
津波の描写
歴史民俗資料館では「大津波が訪れる前の描写が非常に細かく、地震学的な面からも参考になるところが多いのでは」と分析する。
大地震直後に書いたとみられる「大震行」と題された漢詩がある。
そこには、津波前の様子を記した次のような記述があった。
(1)「海底は墨をひっくり返したように濁る」
(2)「干満の動きは急である」
(1)の、津波の前に海底が濁ったというのは、直近では昨年11月にも、海ではなく川の水だが見られた。
2016年11月22日の福島県沖M7.4の地震により津波が発生した時のことだった。
宮城県多賀城市に住む県立高校1年の男子生徒は、臨時休校になり自宅にいた午前8時半ごろ、外が騒がしくなったため3階の窓から近くを流れる砂押川を見た。
その時、「来るぞー」という叫び声とともに、濁った水が泡を立てながら逆流してきた。
この時は高さが最大1.4mの津波だったが、これでも100%、人を倒す威力を持っていることは言うまでもない。
(2)の、干満の動きが急であること、つまり引き潮や満潮が津波の前兆であることも、よく知られている。
津波の前兆は「引き潮」だけだと思いこんでいた人々が、東日本大震災で命を落とした地域もあった。
『南海地震は予知できる』
このような引き潮は、地震発生後に起きるものだけではない。
昭和南海地震では、前日の夕方頃から、引き潮が見られたという。
この時の前兆現象を集めた『南海地震は予知できる』は、南海トラフ地震などによる津波の危険がある地域に住む人々にとって、いや私にとっても、バイブル的な本だ。
下記の記事で紹介している。
上記の記事でまとめた前兆現象を、こちらにも書いておく。
- 異常干潮:地震前日の夕方5時頃から大きく潮が引いていた。
- 井戸水が枯れた:高知市の民家では、2~3日前から釣瓶で汲めないくらいに井戸が枯れた。
- 海水汚濁:高知県宇佐町沖合いでは操業していたサバ漁船が、船の流れを安定させるための漁具に、ドロドロしたヘドロのような+汚物が付着し、海藻が腐ったような異臭がした。
- 地震前の暖気:地震の数日前から、12月にしては異常に暑かった。
- スルメイカの大漁:その年はスルメイカがよく獲れた。
ここで、1と3は「大震行」の漢詩の記述と同様だ。
こういう情報は、「知ったもん勝ち」だ。
特に沿岸部に住む人々には、津波の前兆現象に関する情報は必須の知識だろう。
※この本、絶版かどうか不明だが、今はAmazonで古書10冊のみ!
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