数日前の東日本大震災7周年の日の前日2018/03/10に、『現代メディア』サイトに興味深い記事が掲載された。
『英国人記者の目からみた、東日本大震災「津波の霊たち」-被災地で相次ぐ「幽霊」の目撃談の謎』というもの。
いわゆる「震災幽霊」の話だ。
外国人が日本の「幽霊」について語るのも稀だが、その対象が3.11の犠牲者の霊となると、もっとレアなことだろう。
『津波の霊たち』
この記事は、ザ・タイムズ東京支局長のリチャード・ロイド・パリー氏へインタビューしたもの。
昨年、"Ghosts of the Tsunami"(『津波の霊たち』)という本を書いて日本語にも翻訳された人だ。
この本は、英エコノミスト誌のブックス・オブ・ザ・イヤーに輝くなど高い評価を得ているという。
パリー氏は、3.11が起きた翌日に被災地に赴き、取材を始めたという。
そして、この震災は問題があまりにも深すぎて、新聞記事だけでは正当な認識をすることが非常に難しいと思ったという。
この本で主な取材対象にしているのは、多数の児童が犠牲となって訴訟にもなった大川小学校だ。
子供を失った遺族の葛藤や、裁判を描くことで、「震災」を伝えたいという想いがあったという。
家族の人々が犠牲になったことを聞かれて泣き出す人々に、詳しいことを聞き出すのは容易ではなかった。
スマトラ島沖地震でも現地取材した
パリー氏は、2004年のスマトラ沖地震の際にも現地へ取材に行った。
この時は、東日本大震災の10倍以上の約25万人の犠牲者が出た。
メインとした大川小学校の次に重要なテーマが、「幽霊」だった。
取材するうちに、「幽霊」の目撃談が多いことに興味を持った。
外国人にとって奇異にも感じることは、被災者の人々の多くが霊の存在を信じていることだった。
霊によって癒やされる日本人
それ以上の詳しいことは、『津波の霊たち』を読んでみないとわからない。
パリー氏自身は、霊の存在を信じていない。
そういう人の方が、霊を信じる人々に対して過度の思い入れがなく、客観的に描ける部分があるのかもしれない。
死後の世界や霊魂を信じるかどうかについての世論調査などでは、調査によって異なるが、日本では約半数前後が霊の存在を信じているという。
それは、女性の方が信じる割合が多くなる。
また、女性の5人に一人は霊的・不思議な体験をしているという調査結果もある。
この数は、多く思われるかもしれないが、実際は米国、オーストラリア、シンガポール、台湾といった国々よりは、ずっと少ない。
これは、主に宗教的バックグラウンドから来るものかもしれない。
図録▽神仏、霊魂、死後の世界は存在すると思うか(アジア太平洋諸国比較)
下記のYouTubeに、ペリー氏へのインタビュー映像がある。
短い動画だが、どういう人物かが多少はわかるだろう。
「霊」とともに生きる
東日本大震災のように多くの犠牲者が出た災害で幽霊話が多くなるのが、日本独特なところだ。
このあたりは、3年前にTOCANAの3.11特集の記事で書いていた。
霊の存在を信じていない人に、無理に信じてほしいとは思わない。
私自身は、信じているというよりも、50年近い心霊世界の探求を通して、存在することが「わかっている」といった方が良いだろう。
日本人は昔から、先祖崇拝を重視してきた民族だった。
一口に日本人とか大和民族といっても、そのルーツを探っていけば、単一の民族ではあり得ないことが、DNAなどさまざまな科学的観点からの研究で明らかになっている。
そのような混血民族が、日本に住み着いて長く生きているうちに、一様に「先祖崇拝」的要素が強くなってくる。
たとえば、日本人の大半は表向きは仏教徒だが、そのバックグラウンドはアニミズムや先祖崇拝的要素が強い信仰形態位なっている。
仏壇の前で拝んでも、そこには仏陀が祀られていることは少なく、先祖の位牌を拝んでいる。
仏教の信仰が厚いタイ人たちが見たら、「ブッダはどこにあるの?」と思うだろう。
先祖崇拝が根底にある
そのような先祖崇拝は、もちろん「霊」の存在が前提となっているものだ。
「亡くなった家族とともに生きる」という発想は、そのような日本人の信仰的なバックグラウンドがあるからこそ出てくるものなのだろう。
大震災の犠牲者の霊を見た人の多くは、幽霊を怖がらないどころか、その存在に癒やされる。
だからこそ、そこに感動が生まれるのだろう。
だが、外国人が同様の体験をしたりエピソードを読んだりしても、涙が出てくるほどの感動には至らないことが多いのではないか。
というわけで、3年前の『【3.11震災から4年】被災地で幽霊目撃談が多い本当の理由』と題したトカナの記事を、まだ読んだことがない人は、読んでみてください。
ここまで読んでくれた方々には言うまでもないことでしょうが、怪談話のような興味本位の低次元な内容ではありません。
担当編集者が泣きながら編集したという、例の記事です。
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【釈迦】3年前に買った漫画本『おしゃかさま』(大同社)。かつて「沖縄の一男性」「S師」などと呼ばれた人が、子供たちに「優しい心になってほしい」と、日雇い労働をしながら全国の小学校に配って歩いた。そろそろわかるかなと思ったが、6歳と4歳にはまだ無理そう。#ブッダ #仏陀 #沖縄の一男性 #スピリチュアル #霊性 #仏教
S師についての11年前の記事。↓
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