探求三昧(はてな支部) - 地震前兆/超常現象研究家・百瀬直也が地震・災害予知・防災・予言などを探求

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【地震予知】巨大地震の前に深発地震あり~十勝沖地震の前にも深発地震が増えていた~南海トラフ巨大地震の予測に利用できるか


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昨日7/28に起きた三重県南方沖M6.5の深発地震だが、調べていくうちに、やはり巨大地震の前には深発地震が増える傾向があるようだとわかってきた。
南海トラフ巨大地震の発生時期の予測にも役立つ重要な概念であり、過去データの解析などによって今日わかったことを紹介する。


「南海トラフ巨大地震とは関係ない」?

昨日早朝3:31に三重県南東沖でM6.5、最大震度4、深さ410kmの深発地震が起きたときに、メディアの書き方は大体同じだった。
たとえばウェザーニューズの見出しには、「三重県沖の深発地震で異常震域 南海トラフ巨大地震とは別系統」とある。
「別系統」はわかったけれど、では南海トラフ巨大地震の前触れではないの?あるの?と、読者が知りたいのはそこだろう。

記事では、「今回の地震は南海トラフ巨大地震との直接の関連は無いものとみられます」とある。
この記事を地震にあまり詳しくない人たちが読んだから、「ああそうなんだ、南海トラフ巨大地震とは直接の関係ないそうで、一安心だ」と思うだろう。

しかし、「間接的には、どうなの?」という疑問の余地が残る書き方だ。
そのへんがわからないならばわからないなりに、地震学者に取材するなどすれば良かったのではないか。

茂木清夫名誉教授の発見

茂木清夫(もぎ きよお)東京大学名誉教授は、大地震に先立って深発地震が増加することがあるという研究を行っていた。
1952 年十勝沖地震(M8.2)と、1993 年釧路沖地震(M7.8)、2003年十勝沖地震(M8.0)の前に、深発地震活動が活発化し、M7 以上の大きい深発地震が起こっていたという。

昨日書いたような、当初の自分の見当づけは、あながち間違いではなさそうだ。

そこで、前述の十勝沖地震・釧路沖地震の3例の前に、どのくらい深発地震が起きていたかを調べてみた。

すると、たしかに3年以内くらいに各1回はM7超の深発地震が起きていた。
また、M7以下の深発地震も集中して起きていた。

前述の巨大地震のうち、2003年十勝沖地震に先立つ深発地震の震源をマッピングした図を以下に示す。

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上記のマップを見ても、太平洋プレートがどのへんまで沈み込んでいるのかがわかりずらいので、下記HPからお借りしたマップを示す。

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(図版:「フィリピン海スラブおよび太平洋スラブ上面のコンター」、気象研究所ホームページ-Fuyuki Hirose's HPより)

各年の深発地震数

日本では、M6以上の深発地震は年間に4~5回程度発生しているという。
M6未満を含めると、多い年には10回以上、少ない年には1回だけという時もある。

以下に、気象庁のデータから深さ300km以上の深発地震を抽出し、年毎の件数をまとめてみた。
特に多い年などには、太平洋、日本海、オホーツク海とエリア別に件数を示している。
また、前述の3つの北海道沖の大地震の前に起きていた深発地震も示している。

■日本の年別深発地震数(深さ300km以上)
1922年:02
1923年:04
1924年:05
1925年:06
1926年:04
1927年:07
1928年:06
1929年:04
1930年:03
1931年:05
1932年:12
 太平洋9、日本海2、オホーツク1
 1934/02/24:硫黄島近海M7.1
1933年:08
1934年:02
 1934/02/24:硫黄島近海、M7.1
1935年:13
 太平洋5、日本海3、オホーツク5
 1937/02/21:択捉島南東沖、M7.6
1936年:09
1937年:06
1938年:06
1939年:01
1940年:08
1941年:06
1942年:05
1943年:06
1944年:05
1945年:05
1946年:03
1947年:04
1948年:05
1949年:05
1950年:08
 1950/02/22:オホーツク海南部、368km、M5.6
 1950/02/28:宗谷東方沖、343km、M7.5
 1950/05/17:日本海西部、597km、M6.3
 1950/07/13:宗谷東方沖、328km、M5.4
1951年:07
 1951/04/07:宗谷東方沖、361km、M5.6
 1951/08/11:宗谷東方沖、337km、M6.1
1952年:05
 1952/03/04:十勝沖地震、M8.2
1953年:02
1954年:04
1955年:06
1956年:03
1957年:08
1958年:05
1959年:02
1960年:02
1961年:04
1962年:05
1963年:03
1964年:06
1965年:07
1966年:04
1967年:07
1968年:02
1969年:05
1970年:08
1971年:06
1972年:06
1973年:06
1974年:05
1975年:09
1976年:08
1977年:06
1978年:06
1979年:07
1980年:07
1981年:05
1982年:08
1983年:01
1984年:06
1985年:09
1986年:05
1987年:07
1988年:09
1989年:07
1990年:09
 1990/05/11:日本海西部、596km、M6.2
 1990/05/12:サハリン南部付近、594km、M7.2
 1990/08/20:宗谷海峡、353km、M5.8
1991年:04
 1991/07/05:オホーツク海南部、448km、M5.5
1992年:07
 1992/03/28:オホーツク海南部、422km、M5.5
1993年:09
 1993/01/15:釧路沖地震、M7.5
1994年:04
1995年:07
1996年:07
1997年:06
1998年:07
1999年:11
 太平洋7、日本海2、オホーツク2
 1999/03/28:硫黄島近海M7.9
 1999/06/26-8/18:新島・神津島・三宅島近海で群発(最大M6.5)
2000年:09
 2000/01/28:根室半島南東沖、M7.0
2001年:07
 2001/10/04:千島列島、324km、M5.9
2002年:13
 太平洋6、日本海3、オホーツク4
 2002/02/02:ウラジオストク付近、407km、M5.8
 2002/02/10:宗谷海峡、348km、M5.5
 2002/03/07:オホーツク海南部、477km、M5.8
 2002/04/01:オホーツク海南部、493km、M5.3
 2002/06/29:ウラジオストク付近、589km、M7.0
 2002/09/15:ウラジオストク付近、644km、M6.3
 2002/11/17:オホーツク海南部、496km、M7.0
2003年:08
 2003/07/27:日本海北部、487km、M7.1
 2003/09/01:ウラジオストク付近、539km、M6.2
 2003/09/26:十勝沖地震、M8.0、津波
2004年:04
2005年:06
2006年:09
2007年:12 
 太平洋9、日本海3
 2007/07/16:新潟県中越沖地震、M6.8
 2007/07/16:京都府沖、M6.7
2008年:10
2009年:13
 太平洋8、日本海1、オホーツク4
2010年:07
 2010/02/27:沖縄本島近海、M7.2
 2010/11/30:小笠原諸島西方沖、M7.1・494km
 2010/12/22:父島近海、M7.4
2011年:08
2012年:11 
 太平洋7、日本海1、オホーツク3
2013年:16
 太平洋9、日本海2、オホーツク5
2014年:07
 2014/11/22:長野県神城断層地震
2015年:08
2016年:09
2017年:11
2018年:13
2019年:08(~7/25)

茂木清夫名誉教授の先駆的研究

茂木清夫名誉教授は、『これまでのやり方にとらわれず、自分で考える』をモットーとしていたという。
東海地震が起きたら真っ先に危ない浜岡原発の危険性を、日本で初めて指摘した勇気ある科学者でもある。

三重県南東沖の深発地震と南海トラフ巨大地震の関係

昨日の記事で、昭和東南海地震(1944)、昭和南海地震(1946)の約9カ月前にも三重県南東沖で深発地震が起きていたことを示した。
だが、これだけでは十分ではなく、28日の地震が南海トラフが動く前触れであるかどうかの判断は、慎重になる必要がある。
この2つの地震の9カ月前に同じ地点で深発地震が起きていたからといって、今回も9カ月くらい後に「令和東南海地震」(?)が起きるとは限らないかもしれない。

昭和東南海地震から約3年前、昭和南海地震(1946)から約5年前からの太平洋沖で起きた深発地震(深さ300km以上)の震源を下記のマップにプロットしてみた。

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この5年間では24件の深発地震が起きていて、うち16件が該当エリアで起きていた。
これは、通常よりも多めなのかもしれない。

時間がなくなってきたので、今日はこのへんにするが、南海トラフ巨大地震が近づいているかどうかについては、新たに加わえた深発地震の要素も加えて、今後も検討を続けたい。


【参考】
http://cais.gsi.go.jp/KAIHOU/report/kaihou71/01-08.pdf


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