南海トラフ沖でスロースリップ発生~南海トラフ巨大地震の発生との関係は
1月16日、東京大生産技術研究所と海上保安庁は、南海トラフ地震の想定震源域の沖合側で、プレート境界が揺れを伴わずに動く「ゆっくりすべり」と呼ばれる現象を観測したと発表した。
これは、同日付けの米国の科学誌『サイエンス・アドバンシズ』に掲載されたもの。
ゆっくりすべり
ゆっくりすべりは、「スロースリップ」「スロー地震」「ゆっくり地震」などと様々に呼ばれるが、同じ現象だ。
沖合の海底下で起きるスロースリップは観測が難しく、実態がよくわかっていなかった。
南海トラフ地震の発生メカニズムの解明に役立つ可能性があるという。
今回スロースリップが確認されたのは、豊後水道沖や紀伊水道沖など合計7カ所。
位置は、下記マップにある通り。
大地震の前兆?
南海トラフでスロースリップ現象が起きたからといって、すぐに「南海トラフ巨大地震の前兆か?」と思うのは早計だ。
スロースリップは、海溝などの沈み込み帯ではよく見られる現象で、それだけで騒ぎ立てることはない。
むしろ、スロースリップによって、起きた部分では溜まっていたひずみが解放される。
だが、そこに隣接して、動いていない「固着域」という部分があれば、そこにひずみが集中することになる。
スロー地震は、地震前兆現象を研究している私にとっても難解で、ゆっくりすべりが巨大地震の引き金になるケースと、逆に巨大地震を抑制または拡大を阻止するケースもあるのだ。
それらを判別することは、よほど深く研究している科学者でないと難しいだろう。
南海トラフ巨大地震との関連性
東大の横田裕輔講師(海底情報システム学)らは、海岸から50km以上離れた想定震源域内の海底の15地点について、海保の測量船と衛星測位システムで観測した。
そして、地殻変動の2006~2018年分のデータを分析した。
すると、2009~2018年に7地点で、5~8cmのゆっくりすべりが起きていたことが判明した。
ただ、今回見つかったスロースリップは、プレート境界が強くくっついて、ひずみが溜まっているとされる南海トラフの固着域より沖合側だった。
横田氏は、「沖合側で見つかったのは初めて。ゆっくりすべりが固着域に与える影響はまだ分からないが、影響がみえてくれば、地震の全体像を解明する一助となりうる」と語る。
以上の解説でわかると思うが、このスロースリップがすぐに南海トラフ巨大地震に結び付くわけではない。
だが、固着域に隣接したエリアであるだけに、巨大地震の発生との関連性を一刻も早く調べてもらいたいものだ。
巨大地震の前のスロースリップ
2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生する2カ月前から、震源のすぐ近くでスロースリップが起きていた。
他に、メキシコやチリの巨大地震の前にも、ゆっくりすべり現象が発生していた。
東北大学助教の高木涼太氏によると、南海トラフの西の端の、日向灘周辺の海底下でもスロースリップが発生していることが数年前からわかっていて、それが南海トラフの固着域へと次第に移動しているような現象が起きているという。
高木氏は、この「スロースリップの移動現象」が、巨大地震の発生を切迫させる要因になりうると語る。
そして、「スロースリップが起こることで巨大地震発生領域の力をためている。その日(Xデー)に近づいていると思います」とまで語る。
ただし、これには他の地震学者から異論があるようで、定説とはなっていない。
あくまでも、そのような説があるという程度に捉えておいた方が良いだろう。
スロー地震の多発域が3.11の拡大を阻止?
「スロー地震」の多発域が、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)のさらなる拡大を阻止した。
京都大学などの共同研究グループが作成した「スロー地震分布図」により明らかになった。
この研究は、2019年8月下旬の米科学誌「サイエンス電子版」に論文として掲載された。
これまで、南海トラフでは詳細なスロー地震分布が明らかになっていたが、東北地方太平洋沖地震が起きた日本海溝の詳しいスロー地震分布は、明らかでなかった。。
ダウジング地震予測で集中して出るエリア
このように、ゆっくりすべりと巨大地震の発生の関係については、さまざまな説があり、一筋縄では行かない。
今回発見された7カ所のスロースリップの位置を、下記のGoogleEarthのマップに書き込んでみた。
あくまでも報道されたマップを見ながらのアバウトなものなので、正確さは欠ける。
黄色いピンマークは、2005年頃以降に私がダウジング地震予測として、ペンデュラムでマップダウジングをして出た地点だ。
あの当時は、南海トラフの位置などよく知らないままに、ダウジングを行っていた。
なので、何故このエリアで、これだけ集中してヒットするのだろうという程度に思っていた。
マップ上の大きな白丸はUSGSの機能で、過去1900年以降に発生したM7.0以上の地震の震源を示す。
昭和東南海地震と昭和南海地震の震源もある。
赤丸のマークは、私が過去の南海トラフ巨大地震の震源を調べてマッピングしたもので、これもあまり正確ではない。
以上の南海トラフ巨大地震の震源、私のダウジングポイント、そして今回発表されたスロースリップの位置が微妙に入り組んでいて、不気味な感じがする。
南海トラフ巨大地震の発生時期の偏り
ここでは、スロースリップの話から少し逸れる。
以前に何度か紹介した、『スロー地震とは何か―巨大地震予知の可能性を探る』(川崎一朗著・日本放送出版協会)という本がある。
京都大学名誉教授の地震学者だが、スロースリップについての解説本で、あまり優しい内容ではない。
スロー地震とは何か―巨大地震予知の可能性を探る (NHKブックス)
- 作者:川崎 一朗
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本
この本では、南海トラフ巨大地震がなぜ全て7月~2月に発生しているのかについてのヒントとなる記述もある。
大気圧の季節変化に関連しているのではないかというのだ。
だが、これを書きだすと長くなるので、これはまた後日紹介することにしたい。
最後に、スロースリップ現象は様々な科学者によって研究の途上であり、現時点でスロースリップは南海トラフなどの巨大地震の発生と関係あるとか、無いとか、一面的に決めつけない方が無難だろう。
とにかく数万人の命がかかっていることなので、優先的に研究を進めてもらいたいものだ。
今日の前兆現象
現時点では、私の体感だけ。
10:40時点で、セミ鳴きの耳鳴りがメッチャ強く続いていた。
【体感】2020/01/16 11時現在、セミ鳴きの耳鳴りがメッチャ強く続いていて、原稿執筆中なので辛い。1~2日中関東近辺でに対応する地震ありか。#体感 #耳鳴り #地震予知 #地震前兆 #地震予測
そして現在(20:15)でも、頭蓋骨の中程あたりで非常に強いセミ鳴きの耳鳴りが続いている。
こういうものは、集中して物書きなどしていると全く気が付かないが、「今日の体感は?」と思い出した時に、気が付く。
だが、それに気が向いて集中すると、気が狂いそうになるなるの一歩手前あたりの強さだ。
場合によっては、まだ1/11の半影月食の影響で大きな地震があるかもしれない。
いつものように、茨城県南部とか比較的近場ならば、その限りではなく、M4クラス程度で終わる場合もあるが。
子供の写真、1本目で載せたので、在庫切れです。