駿河湾だけで捕れる桜えびの記録的不漁が続き、価格が高騰しているが、これが南海トラフ巨大地震の前兆かもしれないと懸念する地震学者もいるので、その可能性を検討してみたい。
駿河湾でエビが記録的不漁
駿河湾で、30年ぶりの桜えびの記録的不漁が続いている。
サクラエビは、深海に生息する小型のエビの一種だ。
日本では駿河湾・東京湾・相模灘・五島列島沖に分布するが、漁獲対象となっているのは駿河湾のみ。
干しエビは、お好み焼きやかき揚げには欠かせない。
寿司屋さんでも、サクラエビが「超高騰している」と困っている様子だ。
昨年6月にもブログで、駿河湾の桜えび不漁などを取り上げていた。
それが、まだ改善されずに続いている。
『女性セブン』の記事
『女性セブン』2020年1月2・9日号では、「桜えびが記録的不漁、南海トラフは起きかけているとの指摘」と題した記事が掲載された。
それが、12/31の「NEWSポストセブン」に転載された。
この記事は、桜えびの不漁が南海トラフ巨大地震(東海地震)の前兆ではないかとの趣旨で書かれている。
その内容は後で紹介することにして、実際に過去の南海トラフ巨大地震の前兆として、エビ類の大漁・不漁が起きていただろうか。
南海トラフ巨大地震の前にあった前兆現象
私にとっての「バイブル」的な本の一つである『南海地震は予知できる』(中村不二夫著、高知新聞社)という本がある。
これは、南海トラフ巨大地震のうちの、昭和南海地震(1946/12/21)の前兆現象について書かれたものだ。
この地震の発生前に、下記のような前兆現象が見られた。
・異常干潮
・井戸水が枯れる
・海水汚濁
・地震前の暖気
・スルメイカの大漁

- 作者:中村 不二夫
- 出版社/メーカー: 高知新聞社
- 発売日: 2009/11
- メディア: 単行本
だが、これは南海トラフ巨大地震の3エリアのうちの南海地震だけについてのものかもしれず、東南海と東海には当てはまらないのかもしれない。
著者の中村氏は、魚類の収穫に関しては、スルメイカが大漁になる現象だけ挙げている。
私は地震前兆研究家として、特に動物の前兆現象の収集に力を入れている。
だが、エビ類は、あまり聞いたことがない。
黒潮大蛇行の影響?
駿河湾では、春漁と秋漁がある。
春漁では、1994年春漁をピークにサクラエビ漁の減少傾向が続いている。
2017年8月以来続いている黒潮大蛇行の影響ではないかとの声もある。
だが、今回の大蛇行は2017年8月に始まったもので、関連付けるのは無理がある。
黒潮大蛇行の影響とするには、不漁の期間が長すぎるので、違うのではないか。
専門家によると、エビが小型化していることが要因で資源が減少しているせいではないかという。
だが、東海大学海洋学部の鈴木伸洋教授は、環境変動や自然増減だけで説明することは難しく、サクラエビを回復させるためには漁業のあり方そのものを見直すことが急務で、当面は漁獲量の上限を決めて漁業をする必要があると提言している。
地震学者の見解
前述の『女性セブン』の記事で、武蔵野学院大学特任教授で地球物理学者の島村英紀氏は、こう語る。
「駿河湾にある『駿河トラフ』は南西に伸びていて、そこからフィリピン海プレートが潜り込むことでも南海トラフ地震は発生します。桜えびは駿河湾でしか捕れないものですが、最近、駿河湾の水深200~350mに生息する桜えびの不漁が続くのは、フィリピン海プレートの活性化で駿河トラフ付近に何らかの“異常”が発生したからと考えられます」
サクラエビ漁は、2018年の春漁(4月〜6月)の水揚げ量は、記録が残る1986年以降で最低の約312トンとなった。
そのため、予定より早く打ち切られた。
不漁の原因は、2017年に水温の高い黒潮が大蛇行して湾に流れ込まなかったため、産卵する親エビが減少した、と考えられていた。
やはり、大蛇行の影響も一部にはあったようだ。
だが、実際は不漁は25年ほど前から始まっていて、その期間中ずっと黒潮大蛇行が続いていたわけではないので、それだけが原因とは言い切れないのではないか。
また、島村氏が言うような地震前兆とするには、それだけ長期間で前兆現象が続くかどうかという点で、疑問が残る。
だが、そういう原因が全くないと言い切る根拠もないので、更に探求する価値はあるかもしれない。
桜えびの不漁が今後どれだけ続くか、注視することにしたい。
なお、私は地震前兆研究家として、特に動物の異常行動などの地震前兆現象に力を入れてデータを収集している。
まだ未完成だが、下記のコンテンツ『地震前兆百科』で、それを公開している。
【ちび子】地震予知ハムスター、冬休み中です。全く回し車に入ってくれない。1歳5ヶ月。#ハムスター #ジャンガリアンハムスター #地震予知 #地震前兆 #ハムスター地震予知
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