今日のNHKのテレビ番組から。
昨年のインドネシア・スマトラ島沖地震による津波で、震源の北北東約250Kmにあるスマトラ島北部のアチェ州州都バンダアチェは、被害の大きさから「グラウンド・ゼロ」と呼ばれる。
いまだに道ばたに、たくさんの大きな黒いビニール袋が並んでいる。
その中には、犠牲者の異体が入っている。
埋葬する穴を掘るのが間に合わなくて、放置されてしまっているのだという。
その理由の一つとして、住民たちが津波の恐ろしさに対する認識があまりなかったということがある。
津波の前に一時的に海岸線が引いたとき、人々が一斉に海岸に押し寄せて、嬉しそうに魚を取っていた。
その直後に津波がきて、多くの人々が帰らぬ人となってしまった。
誰が悪かったわけではない。
ただ、津波の経験がほとんどなかった地域だったのが禍したのだ。
スマトラ島は日本と同じく地震が多い地域だ。
だが、津波被害は1900年に一回あっただけ。
これに対して、バンダアチェの近くにある、プラウ・ウェ（ウェ島）。
ここでは、津波による犠牲者がほとんど出なかったという。
津波の恐ろしさについて書かれた本を読んだこともある、教養ある古老もいた。
あのとき、海岸線が引いたときに、誰かが「津波だ！」と叫んた。
それを聞いて、人々は一斉に丘へと避難した。
「後を振り向いたら、家が消えていた」という証言もある。
その間、2分間。
そのために、犠牲者はほとんどいなかった。
昔からある言い伝えは、時として尊い人命を救う。
たとえそれが「迷信的」とか「非科学的」と言われてきたことであっても。
いわゆる地震の前兆現象として、動物の異常行動や空の異状など、いままで「迷信」と軽んじられてきた現象が、実は科学的に説明がつく場合も多いということがわかってきつつある。
たとえば池谷元伺教授のような、ごく一部の勇気ある科学者たちの手によって。
【参考サイト】
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050105/mng_____tokuho__000.shtml
