今日は、世のお母さんたちがんばれという趣旨で書いてみたいと思います。
子育てをする主婦の人たちは、何かと大変ですね。
うちにも一人、いまいちばん手がかかる年頃の息子がいますが。
先妻との間に一人いた子供は、まだ女の子だったから良かったんです。
男の子の場合、その何倍もエネルギーを費やしますね。
損得勘定でいったら、「こんな割りの合わない仕事はない」かもしれません。
でも、そんなこと考えるお母さんはいないでしょう。
成長した子供に「あんたにどれだけお金をかけたと思ってんの?」なんて平気で言うようなお母さんは、ごく少数派だと思いたいものです。
そんなことを思っていたときに、YouTubeで『ヨイトマケの唄』が出てきました。
母の子への愛情を、これだけ感動的に歌い上げた曲というのも、稀有な存在だと思います。
ヨイトマケとは?
『ヨイトマケの唄』といっても、若い人たちは知らないんですね。
美輪明宏さん(当時は丸山明宏)が作詞作曲して1966年にヒットした曲です。
ヨイトマケというのは、むかし土木建築に従事していた人々をそう呼んでいたんです。
建築機械などなかった頃に、多くの人々によって人力で地固めなどをやっていたんですね。
ヨイトマケというのは、そのときの掛け声です。
この曲は、差別用語を使った歌詞に問題があるということで、放送禁止歌になりました。
「土方(どかた)」という言葉が出てくるのがいけないということだけど、なんか事なかれ主義ですよね。
美輪さんはこの言葉を、労働者たちに対する最大級の誇りを込めて歌っているわけですから。
この歌について、以前にこのブログで何度か書いていたと思っていたけれど、意外と書いていないんですね。
やっぱりいちばん好きな(大切な)ものに関しては、なかなか書けないというのが一つにはあるんです。
軽はずみに書いて終われないという意味も含めて。
そういえば、Beatlesの中でいちばん好きだったジョージ・ハリソンとかも、ほとんど書いてないし。
美輪さんが歌うこの歌がテレビで流れてくるたびに、涙を流さずに聴くことができません。
いままで、いろんなアーティストによってカヴァーされてきました。
槇原敬之、泉谷しげる、なぎら健壱、フォーク・クルセイダース、中村美律子、桑田佳祐、米良美一…。
いろいろ聴いてみましたが、美輪さんの歌う歌ほど感動させられるものは、他にありませんでした。
もちろん涙が流れてくるものもあるんですが、美輪さんの歌に比べたら…自分的には、比べることなどできません。
あまりにもサラリと歌いすぎている…本当はそうではないのでしょうけど、みんなそれぞれ思い入れたっぷりに歌っているのでしょうけど、美輪さんが歌うのを聴いた後では、何でもそう感じてしまうんです。
しいていえば、つい数日前にTV番組で見た米良美一さんの歌が、非常に感動を覚えました。
『白呪』
美輪さんという人は、普段は「美を愛する牡牛座」というか、華やな世界で生きているような印象を受けますが、そういう人がこんな泥臭い歌を歌う必然性というのは、あまりないと思うんですね。
それでもなお且つ、こんな泥臭い歌を歌うこと自体に、美輪さんという人間としての大きさを感じるんです。
この『ヨイトマケの唄』が入った『白呪(びゃくじゅ)』という美輪さんのCDを持っています。
このアルバムを聴いたら、みなさんが美輪さんに対してもっているイメージというのが、かなり変わってしまうことでしょう。
一口にいうと、そこにいるのは一人の「怒れる若者」です。
1曲目からいきなり始まるのが『祖国と女達(従軍慰安婦の唄)』。
皮肉をたっぷり込めて「大日本帝国バンザイ」で終わるという歌です。
そこらへんの、商業主義的目的でしかロックをやっていないロックバンドなんて、ぶっ飛んでしまうような過激なメッセージソングなんですね。
ここに収められている全曲は、美輪さんの作詞作曲によるものです。
日本のシンガー・ソングライターの元祖でもあったんですね。
とにかく、いろんな意味で時代を先行しすぎていた人ではないかと思います。
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涙涙涙
2006年4月14日に放映された『たけしの誰でもピカソ』(テレビ東京系列)で、久々に美輪さんが歌う『ヨイトマケの唄』を聴くことができました。
もうガンガン泣きました。
たけしも涙を拭って聴いていました。
2007年1月15日の『極上の月夜』(日本テレビ系列)という番組でも、フルコーラスで歌っていました。
幸いにして、両方ともビデオ録画することができました。
この歌を聴いて思うのは、いつの時代にも母の子に対する愛情は普遍であるということ。
よく言われることですが、母親の子供に対する愛情は、「無償の愛」にもっとも近いものの一つでしょうね。
痛みをこらえて死ぬ思いで子を産むことも含めて、本当に代償を求めてやるのだったら、できないことでしょう。
美輪さんがこの歌をつくった動機は、子供の頃に学校の父兄参観日で、「ヨイトマケ」をやっていた同級生のお母さんを見たことが強い想い出に残っていたためだそうです。
そのお母さんは、青っぱなをたらした息子に口を当てて、その鼻水を吸ってあげたりして、いちばん存在感があったと美輪さんは語っていました。
その話を聞くたびに、感動します。
この歌を聴いて涙ぐんでしまう人の多くは、この歌と自分の母親と、イメージを重ね合わせてしまうのではないでしょうか。
母の愛
子供は親に反抗したり、人によっては思春期の頃に親に手を上げたりしますが、結局は観音さまの手のひらから抜け出せない孫悟空みたいなもんですね。
どんなでかい図体した男でも、その多くが死ぬ時に思うのはお母さんのことなんですね。
お国のために死んでいった特攻隊員たちだって、最後に想ったのはきっと自分の母親のことだったでしょう?
スピリチュアルな観点からすると、子を産み、子を育てて一人前の大人にさせるということは、女性にとっての本務であり、そこから逃げられるものではないと思うんですね。
特に、人一倍大変だと思うのは、女手ひとつで苦労して子供を育てているシングルマザーの人たちですね。
そういう女性たちががんばっている姿を見ると、応援したくなるんですね。
自分の過去の経験からの罪滅ぼしという意味もあるんですが。
こんなこと書いても、慰めにもなんにもなっていないかもしれないけれど…。
子育てという人生の本務をまっとうできたとき、そこにあるのは最高の自己犠牲であり「菩薩行」ではないでしょうか。
私の師はよく「神さまの真似をしなさい」と言っていますが、子育てというのは、その神さまの真似を自然とした結果だと思うんです。
美輪さんの歌う『ヨイトマケの唄』、YouTubeの映像を貼り付けておきます。
◎Akihiro Miwa - Yoitomake no Uta