探求三昧(はてな支部) - 地震前兆/超常現象研究家・百瀬直也が地震・災害予知・防災・予言などを探求

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ハドソン川の奇跡〜NY飛行機事故で全員救出


米国ニューヨーク市マンハッタン地区の西側を流れるハドソン川で、飛行機の墜落事故が起きた。
一歩誤れば大惨事になるというものだった。
2009年1月15日(木)15:30(日本時間16日5:30)ごろ、USエアウェイズエアバスA320型旅客機が墜落した。
だが、機長の機敏な判断により、ハドソン川へ不時着水して、乗員と乗客155人全員が無事に救出された


乗客の一人によれば、着水と同時に浸水が始まり、あっという間に腰まで水に浸かったという。
着水直後、機内は一瞬パニック状態になった。
だが、乗客はすぐ落ち着きを取り戻し、乗員の指示に従って機外へ脱出した。
別の乗客は、「ボートがすぐにやって来た。到着して助かったことが信じられない」と、興奮気味に話した。
着水を近くのビルから目撃した男性は、乗客の数人が泳いで機体によじ登る姿を見たという。
2人の子供を腕に抱えて脱出した母親もいた。


この旅客機には、2人の日本人ビジネスマンが乗っていた。
堺商事の二人は、救出された後で会社に電話して、「川に不時着したためずぶぬれ」になったが命に別状はないと語ったという。


乗客のうち4人がニューヨーク市内の病院に収容されたが、低体温の症状があるが、それ以上の怪我はないという。
事故の一報により、沿岸警備隊や市消防当局などの船舶が駆けつけた。
それに加えて、フェリーや水上タクシーも次々と助けに来て、主翼の上で救出を待つ乗客や、救命ボートに移った乗客らを両岸の船着き場に搬送したという。

155人の命を救った英雄

この事故で起きた「奇跡」の主役は、もちろん、操縦していた機長だろう。
チェスリー・サレンバーガー3世氏(58歳)といって、元空軍パイロットで、操縦歴40年以上というベテラン機長だ。


サレンバーガー氏は、2基のエンジンが両方停止した際に、出発したラガーディア空港に引き返すことは不可能と判断。
眼下に見えたニュージャージー州内の空港への緊急着陸を検討した。
だが、そこまで飛び続けることは不可能と判断し、ハドソン川への緊急着水を選択した。
機長は墜落後、2回にわたって機内を見回り、乗客全員の無事を確認して機外に脱出させたという。
乗客たちは、川に浮かんだ飛行機の翼の上に並んで救助を待ち、その多くは川の水で濡れずに済んだ。

奇跡中の奇跡

全日空機長の前根明さんは、「全員無事とは奇跡。航空機史上に残る成功事例ではないか」と語っている。
また、航空評論家の中村浩美さんは、「着水を選ぶこと自体が極めてまれ。着水の衝撃は陸上と変わらず、水上では車輪が使えないため胴体着陸するようなもの。判断も技術も非常に高度だった」と、機長の判断と技術を称えている。


水上への不時着では、多数の不幸が出るケースも少なくない。
2005年8月には、39人乗りの旅客機がイタリア・シチリア島の空港への着陸を試みたが、沖合に不時着し、9人が逝去した。
2000年1月には、エンジン不調を起こした41人乗りのスイス機が、地中海への不時着を試みたが水没し、少なくとも15人が逝去した。
このように、水上への着水も、危険を伴うもののようだ。


パターソン・ニューヨーク州知事は、「これはハドソン川の奇跡だ」と語った。
奇跡も奇跡、大奇跡かもしれない。
事故の全貌を知って、涙が流れそうになった。
この「奇跡」は、さまざまな「不運」と「幸運」な要因が重なり合った結果として起きたものだった。
まずは、たまたま大きな川が近くにあったこと。
しかし、いくつも橋がかかっていたり、水上交通の多い川だった。
それでも、操縦暦40年以上という巧みな操縦技術により、それらの障害を避けて無事に着水した。
エンジン停止状態にもかかわらず、大きな衝撃を与えずに、神業といえるだろう。
機体は着水してから約1時間後、全員が救出されたのを待つかのように、川底に沈んだ。
救出が遅れていたら、機体や主翼の上にいた乗客・乗員たちも川の底へ沈んでいたかもしれない。
時間的に夕方に差し掛かる頃だったが、日没前の明るい内に起きた事故でよかった。


機長は、何か信仰するものがあるのではないかと感じた。
上記のような幸運の連続は、なかなか「人為的に」起きるものではないと思うからだ。
はたして、どうだろうか。

疑問点

今回の事故は、鳥がエンジンに巻き込まれてエンジンが損傷を受けたこと(バードストライクと呼ぶ)に原因があるという。
事故の発生については、疑問点がある。
まずは、なぜ両方のエンジンが停止してしまったかということ。
これについては、後の報道で、鳥の群れに衝突して、両方のエンジンともバードストライクが起きてしまったらしい。
下記のCBS NEWSのビデオでも、両方のエンジンが停止してしまうのは「きわめて稀なことです」と専門家が語っている。
素人考えでは、鳥がエンジンに入り込まないような網のようなものを取り付ければ防げるのではないか。
実際には、そう簡単には行かないようだが。
ちなみに、1970年以後、鳥がエンジンに巻き込まれたために、5つの大型旅客機が重大事故に遭っているという。
1962年には、ボストンを出発した旅客機が離陸直後に墜落し、62人が死亡した。


下記は、CBS NEWSのニュース記事。もちろん英語だが、2分半ほどの動画が見られる(VIDEOSのタグをクリックする)。


下記の映像は、YouTubeで見つけた米国のTV局のニュース。
乗客たちが救出される様子が映し出されている。


参考にしたYahooニュースの記事のいくつかへのリンクを張っておく。
ただし、この手のニュース記事は、日がたつとすぐに消えてしまうので、あしからず。


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