茨城県など関東地方で地震が相次ぐ中で、首都直下地震がいまだに話題に上っている。
今日は日刊ゲンダイで記事が出た。
「相次ぐ震度4…“地震の巣”が引き起こす首都圏直下の予兆」と題した記事だ。
首都直下地震が「いつ起きてもおかしくない」とする地震学者らの根拠とするところは、一つには、1923年の関東大震災以来、エネルギーの解放がされていないということにある。
首都直下地震が近づいている?
上記の日刊ゲンダイの記事にもあるが、7月に入って茨城県内で有感地震が13回と、多く起きている。
そして、こういう時のコメントには大人気の武蔵野学院大・島村英紀特任教授がこう語る。
「今回の震源地である茨城県南部と千葉県北部が近接する筑波山付近は、ここ数年、地震活動が活発になっています。地震学者の間では『地震の巣』と呼ばれるほど。北米プレートの上にあり、東から太平洋プレートがぶつかり、さらに南からフィリピン海プレートが重なる。3.11後、地下にある基盤岩が一挙に動き、非常に“歪み”がたまりやすい状況になっています」
たしかに、M9級の東日本大震災の影響を語るには、「まだ5年しか経っていない」という観点が重要だ。
過去の歴史からいっても、このような巨大地震の影響は数年だけでなく、数十年と続くことが多いからだ。
また、この100年ほどの間に、茨城県南部地震(M7.2、1895年)、茨城・竜ケ崎地震(M7.0、1921年)など、“地震の巣”の近くでM7クラスの首都直下型の地震が発生している。
このことについては、島村氏はこう語る。
「江戸時代まで、首都圏では震度6~7級の地震が4年間に1度のペースで起きていたという記録があります。ところが、1923年の関東大震災を機に巨大地震がピタリとなくなり、この90年間ほどは首都圏で震度5クラスの地震が4回しか起きていません。ただ、“地震の巣”の近くで頻発する最近の地震を見ていると、“異例だった状態”から、江戸時代までの“通常の状態”に戻りつつある印象がします。今は幸い、M5クラスでとどまり、震源も深いため被害は限られています。しかし今後、もっとエネルギーが大きい地震が首都直下の浅い震源で発生する可能性もあり得るのです」
フィリピン海プレートの活発化
このことについては、たしかに十分に検討すべきだろう。
以前からずっと言っているが、ひとつにはフィリピン海プレートの活動が活発化していることだ。
下記のようなプレート境界のマップを見ても、「何で茨城県?」と思われるだろう。
だが、茨城県あたりの地下では、北進するフィリピン海プレートと北西進する太平洋プレートの力がすさまじい強さで押し合っているのだ。
それによるストレスというのは、尋常なものではないだろう。
数日前に諏訪之瀬島が噴火したり、トカラ列島でいまだに地震が続いているが、それらも同様にフィリピン海プレートの活動として見るべきだ。
首都直下地震の防災対策も都知事選の争点に
ここで話は変わって、都知事選の話題。
7月31日に投票が迫る都知事選では、待機児童の問題などと並んで、首都直下地震への備えをはじめとする首都の防災が重要な争点となっている。
30年以内の首都直下地震の発生確率は、70%とされる。
国の被害想定では、建物の倒壊や火災による不幸は最大2万3000人。
この数が多いか少ないか?
少なすぎる!
昨年9月の防災の日に合わせてTOCANAで書いたのが、『【防災の日】政府の被害想定は甘すぎる!! 迫り来る「首都直下地震」、発生直後の地獄絵図とは!?』と題した記事。
下記のブログ記事で、解説を加えている。
上記記事に揚げた被害や問題点を、下記に再度掲げておく。
- 火災
- 火災旋風
- 流言
- 建物倒壊
- エレベータ停止
- 交通網マヒ
- 特にラッシュ時の鉄道事故
- 地下鉄・地下街の閉鎖
- IT機能停止・経済活動マヒ
本当は、これだけではないだろう。
私自身も抜けている「想定外」の事態が、あるかもしれない。
こうした首都直下地震に対する防災に関して、舛添知事は一体何をしただろうか。
あまり大したことはしていなかったように思う。
都知事候補の見解
たとえば下記の時事ドットコムの記事では、都知事選の各有力候補が、このような観点から防災についてどのような意見をもっているかを紹介している。
ここで増田寛也氏は、帰宅困難者の問題について、一時滞在施設をめぐり「民間事業者の協力を得るには、(事故など)何かあった時の手当てが必要だ」と強調する。
私は以前から何度も繰り返しているが、帰宅困難者の問題はたしかに重要だが、優先順位としてはずっと下だろうと考えている。
3.11の際に、帰宅困難のために飢えで逝去した人がいただろうか。
私が考える「防災」は、「まずサバイバルすること」
これ以上に重要なことなど、あり得ない。
鳥越俊太郎氏は「私は防災グッズを枕元に置いて寝る。日頃からある程度用意しないといけない」と述べ、家庭での食料や飲料水の備蓄など、災害に強い東京を目指し、都民の自主防災意識を高める必要性を呼び掛けている。
この観点からすると、舛添前都知事が残した『東京防災』の本。
これだけは評価されるべきだろう。
やはり都民全体の防災意識を高めることが課題とされるべきだ。
小池百合子氏は、「電柱が倒れると、救急車や消防車が必要な場所に到達できない」と指摘する。
災害時に緊急車両がスムーズに移動できるよう、無電柱化の加速などを主張している。
たしかに、そういうことも大切だろう。
だが、それはあくまでも、住宅の倒壊などから難を逃れて、生き残れた場合の話だ。
すべての有力候補に共通して言えることだが、そういうことよりも、もっと重要なことを考えてほしいということ。
まず何よりも、「地震被害からいかに生き残るか」だ。
そのためには、東京都心部の大半が昔海だった軟弱地盤の上にあることなどを認識し、根本的な対策を立てなければならない。
とはいっても、何をどうすべきか途方に暮れるかもしれないが。
こんなところに日本最大の都市を作ってしまったことは、今更どうしようもない。
とにかく、逃げるしかないかもしれない。
23区内(の東半分)に住んでいる人は特に。
それから、本題から逸れるのでリンクを張るにとどめるが、有力候補者の中には、ハデなお金使いで話題になっている方も。
東京電力との関係(社外取締役)を取り沙汰されている方もいらっしゃる。
まあ、今度こそは本当に「クリーンな」人が都知事になってほしいものだ。
個人的には、もちろん「脱原発」も重要なポイントだ。
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