昨日の記事に続いて、立命館大学教授の高橋学氏の地震予測について取り上げる。
『週刊女性』2016年12月13日号に掲載された記事では、「M6〜7クラスの大地震がいくつ発生しても「3・11」が終わらない理由」ということをテーマとしている。
昨日の記事を読んでいない方は、もし興味があれば先に読んでみてください。↓
そこで取材された高橋学氏が、注目すべき発言をしている。
それは、表題に記したように、「茨城県・千葉県沖でM6〜M7の大地震が数か月以内に発生する確率が高い」という件だ。
高橋学教授の研究について
立命館大学・歴史都市防災研究所の高橋学教授については、以前から注目していた。
それは、「環境考古学」ということを研究されているためだ。
この名称だけでは推測がつかないだろうし、また必ずしも自然災害に関わってくるものでもない。
だが、この学問分野では、地域の地質調査をする過程で、たとえばその土地が昔海だったので地盤が軟弱になっていて、そのために大地震で建物の倒壊が多かったとか、そういうことが判明してくる。
以前に阪神・淡路大震災の被害状況の調査を行った高橋氏の研究に触れて、これは本質的な研究だと思った。
たとえば2年前の下記の記事で、高橋氏の研究を紹介しているので、興味がある方はぜひ読んでみてください。
次は茨城県・千葉県沖がいちばん危ない
東日本大震災から5年8か月たった今年11月22日午前5時59分に、福島県沖でM7.4の地震が発生し、最大1.4mの津波も発生した。
次の大地震はどこで発生するのか。
前述の『週刊女性』で、高橋氏が挙げたのが、福島県沖の“南”だった──。
高橋教授は、取材に応えて次のように語る。
「東日本で次に地震活動が活発化しそうなのは福島県沖の南です。茨城、千葉両県の沖合でマグニチュード(M)6〜7クラスの大地震が数か月以内に発生する確率が高いとみています。」
www.jprime.jp
下記のマップは、東日本で次にM6〜M7クラスの大地震が起きそうなエリアを高橋教授がマークしたもの。
危険度の高い順にA(茨城、千葉県沖)、B(首都圏)、(c)(北海道・襟裳岬から青森、岩手県北部にかけての沖合)の3エリアとなっている。
【画像】『週刊女性』2016年12月13日号より
(A)の部分、千葉県沖~茨城県沖のエリアは、沖合でも陸地に近い部分であるだけに、内陸での被害も大きなものとなる可能性がある。
このエリアでは、少なくとも過去115年くらいの間にM7以上の大地震は起きていない。
下記のGoogle Earthのマップは、1900年~2015年に発生したM7.0以上の地震の震源を大きな黄色い丸印で示している。
(B)は沖合から内陸にかけても含まれているようだが、大正関東大震災の震源を思い出した。
文字通り首都直下地震となるかもしれない領域だ。
115年以内に、それ以外の大地震は起きていなかった。
(C)については、115年以内にM7以上の大地震が何度も起きていた地震多発地帯だ。
だが、その内でも空白域で起きるということかもしれない。
上記の図で、北海道の雄阿寒岳は高橋氏が注視している火山だ。
3.11はまだ終わっていない
高橋氏は、津波の可能性にも言及する。
茨城、千葉の海岸線近くで地震が発生すると、震源が浅いため津波による大被害が予想されます。例えば湖で国内2位の面積を持つ茨城・霞ヶ浦は縄文時代の海の名残です。土地の歴史を忘れてはいけません。1メートルどころかひざの高さの津波でも踏ん張るのは無理です。水平方向ではなく、垂直に逃げることを心がけてください。
垂直に逃げる。
いつの場合でも、必須なことだろう。
先月の福島県沖M7.4の地震で発生した津波で、車で逃げるという暴挙を犯した人々が多かったようだが、絶対NGだ。
どんな交通機関にも頼らず、自分の足で逃げることが鉄則だ。
アウターライズ地震が来ない限りは終わらない
3.11以前は北米プレートにもぐり込む速度が年約10cmだったのが、震災後は年約30〜40センチと加速していることから、東日本大震災はまだ終わっていないと高橋教授は語る。
そして、マグマが量産されたために火山噴火も起きるだろうという。
2004年インドネシア・スマトラ島沖地震(M9.1)では、8年後にM8クラスのアウターライズ地震が発生。
1896年の明治三陸地震・津波では37年後にアウターライズ地震とみられるM8クラスの昭和三陸地震が発生。
昨日の記事で、3.11の余震は100年続くという高橋氏の言葉を紹介したが、アウターライズ地震もこの先、数十年単位で警戒が必要になる。
東日本大震災は、まだ始まりにすぎないかもしれない。
そのような意識をもって、この21世紀を過ごさなければならないようだ。
もちろん、自分の子どもや孫の世代にも語り継いでいくことが重要だろう。
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