今年は暖冬だが、暖冬の年には大地震が起きやすいという説がある。
他に、大地震の発生前には当地で気温が上昇するといわれるが、過去の大地震の前の気温の変化をチェックして検証してみる。
暖冬と地震は関係ない?
2/1の日刊ゲンダイで、『1月なのに4月並みの暖かさ…暖冬が巨大地震の引き金に?』という記事が掲載された。
これは、過去に暖冬が終わった後で巨大地震が起きていることがあったので今年も要注意かという内容だ。
だが、立命館大教授の高橋学氏が、下記のようにコメントしている。
基本的に暖冬と地震は関係ありません。1993年以降、巨大地震が続き、暖冬傾向も続いているので、たまたまシンクロしているように感じるのでしょう。自然災害には、起きるときと起きないときの“揺らぎ”があり、被害の甚大な地震や台風などが頻発する場合もあれば、数十年にわたって起きない場合もあるのです。
このように、暖冬と地震の関係を否定しているが、本当にそうだろうか。
昭和南海地震の前兆
中村不二夫著『南海地震は予知できる』(高知新聞企業)では、昭和南海地震の前兆現象を高知県で聞き取り調査して、5つの前兆現象があることがわかった。
その中で、「4.地震前の暖気:地震の数日前から、12月にしては異常に暑かった。」というのがある。
これは、1年を通じての暖冬とは異なるが、そのような現象は、あるかもしれないと考えている。
特に、内陸で起きる大きめの地震では、その可能性があるのではないか。
それで、過去の日本で起きた大地震の前後の気温を調べてみた。
昭和東南海地震
まず、1944年12月7日に発生した昭和東南海地震から見ていく。
気象庁データベースから、震源に近い和歌山県・潮岬(紀伊半島南端)の、この年の12月の日々の平均気温の変化を以下に示す。
これを見ると、地震が発生した12/7の数日前から次第に気温が上昇して、前日12/6の平均気温がピークの12.8度となる。
翌日の地震発生日には平均気温がガクンと落ちた。
また、この日は雨が降っていたようだ。
気温の変化は、様々な気象的要因や他の要因が組み合わさってそうなるわけで、単純に平均気温だけで判断すべきではないだろう。
だが、このような例を多く集めることによって、見えてくる傾向もあるのではないか。
昭和南海地震
次は、1946年12月21日に発生した昭和南海地震。
前述の『南海地震は予知できる』で、地震の数日前から異常に暑かったという。
下記は、地震が発生した12月の潮岬の気温データ。
これを見ると、たしかに7日前の12/14に平均気温が12.8度と高くなり、次第に下降して地震の2日前には4.3度と最低になった。
これも、一つの「発震スタンバイ」なのか。
鳥取地震
私の見当付けでは、海溝型地震よりも内陸地震の方が、地震発生前後の基本変化が顕著になるのではないかと思っていた。
そこで、次は1943年9月10日に起きた鳥取地震(M7.2、最大震度7相当、犠牲者1083人)を見てみる。
この時には、地震の2日前の12/8に最高の26.4度となっていたが、地震発生当日とはそれほど差はない。
このように夏に近い時期には、気温の変化はあまり生じないのかもしれない。
地震発生日から3日間ほどは、雨が降っていたようだ。
これは前兆現象にはならないが、大地震が起きたあとで雨が降るというのは、よく言われていることだ。
福井地震
次は、1948年6月28日の福井地震(M7.1、最大震度7相当、犠牲者・行方不明者3769人)を見てみる。
この場合は地震の3日前に25.4度と気温のピークがあり、最高気温も31.5度と高かった。
だが、これも夏期のために顕著な差にならなかったのか。
地震当日にも、平均気温は24.9度と3日前より低かったが、この日の最高気温も30.0度と高くなっていた。
新潟県中越地震
次に、2004年10月23日の内陸地震である新潟県中越地震(M6.8、最大震度7、犠牲者68人)の例。
この時には、地震前日の10/22に平均気温が最高の16.2度となっていた。
地震発生の数日後にまた気温が上昇するのは、もしかすると余震の前兆かもしれず、あるいは別の要因があるのだろうか。
長野県神城断層地震
次は、2014年11月22日の長野県神城断層地震(M6.7、最大震度6弱)の例。
この時も、地震発生当日に6.7度とピークになっていて、またこの日の最高気温も15.9と高かった。
熊本地震
次は2016年4月16日の熊本地震(M7.3、最大震度7、犠牲者273人)の例。
この時は、M6.5の前震が起きた4月14日に18.7度とピークになっていた。
同程度の気温が本震当日の4/16まで3日間続いた。
この場合は、大きな地震が2回続いたこともあるので、顕著な傾向かもしれない。
北海道胆振東部地震
次に、2年前の2018年9月6日の北海道胆振東部地震(M6.7、最大震度7、犠牲者42人)の例。
この時は、地震当日に21.8度とピークになっていた。
この地震も残暑の頃であり、そのため前後の日々と気温差は大差がないのかもしれない。
濃尾地震
最後に、日本で内陸地震では過去最大規模となった、1891年10月28日の濃尾地震(M8.0、最大震度7相当、犠牲者・行方不明者7273人)を見てみる。
この時は、地震の5日前に18.6度とピークになっていたが、地震当日にも18.0度と同じくらいのピークがある。
また地震当日には雨も降ったようだ。
ちなみに、10月28日という日は地震の「特異日」とされていて、過去に大地震が何度か起きていた。
そのことは、3年前のTOCANAの記事でも書いている。
下記の内外の大地震は、すべてグレゴリオ暦の10月28日に発生したものだ。
【日本】
・ 0878年:相模・武蔵地震、M7.4、犠牲者多数。
・ 1433年:相模地震(永享関東地震)、M7以上、犠牲者多数。
・ 1707年:宝永地震(南海トラフ地震)、M8.5程度、犠牲者2万人以上。
・ 1891年:濃尾地震、M 8.0、犠牲者・行方不明者7千人以上。
【海外】
・ 1562年:チリ、サンチアゴ沖でM 8.0。
・ 1746年:ペルー、リマ・カヤオ沖でM9.2、犠牲者1万8,000人。
・ 2008年:パキスタン、M6.4、犠牲者160人以上。
ただし、このような傾向に意味があるかというと、グレゴリオ暦などの暦の月というのは人間が懇意的に決めたものであり、たまたまそうなったというだけなのかもしれない。
ただし、大地震のデータをまとめて眺めていて気付くのは、なぜか月の終わりあたりに多く起きているということだ。
これも何の意味もないかもしれないが。
内陸地震の前後の気温まとめ
以上、紹介した内陸の大地震の例をまとめる。
例えば【-2】とあるのは、地震当日の2日前に気温のピークがあったということ。
1891年10月28日:濃尾地震(M8.0)【-5】18.6度
1943年09月10日:鳥取地震(M7.2)【-2】26.8度
1948年06月28日:福井地震(M7.1)【-3】25.4度
2004年10月23日:新潟県中越地震(M6.8)【-1】16.2度
2014年11月22日:長野県神城断層地震(M6.7)【0】6.7度
2016年04月16日:熊本地震(M7.3)【-2】18.7度
2018年09月06日:北海道胆振東部地震(M6.7)【0】21.8度
こうしてみると、やはり内陸地震では数日前から当日にかけて、それまでよりも気温が高くなるピークが現れる傾向があるようだ。
そして、あくまでも可能性だが、下記のような傾向があるかもしれない。
・地震の数日前から当日に気温のピークがある。
・夏場はあまり顕著な差が出ない?
・地震発生後に雨が降ることが目立つ?
日々の気温をチェックすること
大地震の前に気温が高くなる傾向が本当だとして、なぜそうなるのかというと、昔から言われているように、地熱の上昇という理由だろうか。
このような傾向が実際になるものならば、各自が住む土地のローカルの気温に気を配り、平年よりも気温が高い日が続いた場合は、近くで地震が起きる可能性を頭に入れておき、防災観念を高めることはできるだろう。
海溝型地震の場合は、むしろ海水温を問題とすべきかもしれないが、その辺も含めて、今後の課題としたい。
今日の前兆現象
いまは下記の通り、強い頭痛がある。
今は糖質制限を緩めていて、そのせいもあるのかもしれない。
現在15:40、これから頭痛薬を飲んで横になるつもりだが、2本目の記事を書けるかどうか微妙なので、第一報として体感も書いておく。
【今日の食卓】昼に久々のゲァン・キョウワン(グリーンカレー)。業務スーパーブランド(実はタイの定番メープロイ)使用。辛さを控えてもらった。Gaeng Kyow Wan with Gyomu Super (Mae Ploy) brand paste.#タイ料理 #サルちゃんのタイ料理三昧 #thaifood
【動画】