今日は15年前にスマトラ島沖地震・津波が発生し、世界で22万人の犠牲者が出た日だが、これを機に、津波に襲われた時に助かる方法などを再考したい。
金環日食・部分日食
今日の記事は、入院中にもかかわらず長くなったので、多忙な方などは関心がある小見出しのところだけ読んでください。
今日12/26、グアムなどでは、月が太陽にすっぽりはまり、太陽がリング状に輝く「金環日食」が見られた。
日本では観測できないため、日本からも熱心な天文ファンが駆けつけたという。
金環日食にならない日本では、太陽の一部が月に隠される部分日食が、国内の一部地域で見られた。
国内で日食が見られたのは、今年1月6日の部分日食以来だ。
NHKの19時のニュースより。今日は世界各地で皆既日食が見られたが、日本では部分日食となり、沖縄など各地で観測された。この1週間は世界でM6程度の地震で収まっているが、今後も1週間は注意が必要。詳細は後で今日のブログで。#地震予知 #地震前兆 #地震予測 #日食 #部分日食 #金環日食 @kokaneanger 報告
私はテレビを見逃したが、今日の14時ごろから太陽が欠け始めた。
全国的に曇り空だったが、福岡などでは観測されたという。
ちなみに、日本で日食が次に見られるのは、来年2020年6月21日の部分日食。
この時、台湾などでは金環日食が見られる。
日本で次に見られる金環日食はというと、なんと2030年6月と11年も先になる。
日食の種類の違いと地震
皆既日食、金環日食、部分日食には、大地震の発生に関して違いがあるのだろうか。
ちょっと考えると、あまり違いがあるとは言えない。
どれも日食であるという点では、そう変わらないのではないか。
だが、今後の調査によっては考えが変わってくるかもしれない。
ただし、月と地球との距離によって、同時にスーパームーンになったりする場合は、更に地震に注意となるが。
世界の終わりか?
2017/08/08のTOCANA の記事では、「8月8~22日、関東(茨城県沖)で巨大地震発生か!? 皆既日食、月の位相、7の倍数… 過去データが示す“恐怖のリンク”で判明!!」と題した記事を書いた。
この時は、38年ぶりとなる皆既日食が米国で見られるとのことで、大きな話題となった。
皆既日食というのは最もインパクトがある現象で、昼間に突然太陽が隠れて真っ暗になる。
古代の人々は、これを見て「世界の終わりが来た~」と、大パニックになったことだろう。
あ、もっとも今の日本でも、セカイノオワリ(のメンバー)が、ある所に突然現れたら大騒ぎになるか…。
日本の天岩戸神話は、皆既日食に基づくものと言われている。
今後の地震の可能性
今日の金環日食の1週間前から現在までは、世界で大きな地震はM6台前半にとどまっている。
今日は、17時半時点では世界でM5クラス止まりで、大地震は発生していない。
日本でも、17:58に八丈島近海でまたM5.0の地震が起きた程度だ。
まあ日食月食や新月満月でも、当日というのはこんなもんで、その日に大地震が起きるとは限らない。
今回の日食では、今後1週間くらいは気をつけた方が良い。
場合によっては、特に大きな地震が起きずにすぎる場合もあるが。
人々を助けたティリー・スミスちゃん
4年前の2015/10/12の記事で、スマトラ島沖地震の際のエピソードを書いた。
「スマトラ島沖地震津波の三人の少女の感動的な話~人々を助けた10歳と奇跡的に助かり再会した二人」と題したもの。
英国のティリー・スミスちゃんは、当時10歳の少女だった。
クリスマス休暇に家族とタイ・プーケットのマイカオ・ビーチに滞在していた。
ティリーちゃんはその日、海岸で7歳の妹のホリーと遊んでいた時、白い泡が立った後で波が引いたのを見た。
そして、2週間前に学校の地理の授業で習ったばかりの「地震と津波」の内容を思い出した。
津波の前兆現象だと教わったことを、目にしたのだ。
彼女はすぐにホテルに戻り、両親にそのことを伝えた。
報告を受けた両親は、10歳の子供の戯言だと無視することなく、真剣に受け止めた。
10歳が多くの命を救った
すごく利発な少女だなと思う。
また、その母も同様だった。
母のペニーさんは、すぐに海岸にいた人々やホテルに連絡し、人々は高台へと避難した。
そのために、なんとマイカオ海岸では負傷者も犠牲者も出なかったという。
この津波では、全世界で22万人の犠牲者を出す大惨事となった。
タイのプーケットでも5千人ほどの不幸が出たが、マイカオ海岸だけはその悲劇を免れた。
その後に、ティリーは「ビーチの天使」(Angel of the beach)と呼ばれた。
今では25歳の美しい女性になっている。
この話の教訓としては、地震や津波の前兆現象を多く知っているほど、後々で実践的に役に立ち自分や他者の命が助かる可能性があるということだ。
また、子供が荒唐無稽そうなことを話し始めても、その態度などから事の重大さを読み取ることも大切だということ。
この時のティリーの母親がそうだったように。
下記のYouTube動画に、英語になるが、彼女を紹介した番組がある。
過去の日本の津波被害
以下に、過去の日本で津波で大きな被害が出た地震の例を挙げる。
1293年5月20日: 鎌倉大地震、犠牲者23020人。三浦半島の13世紀後半頃と推定される津波堆積物との関連性ありとされる。
1498年9月11日:明応地震(南海トラフ) 、犠牲者2万6千人。
1703年12月31日: 元禄関東地震、M8.2程度。
津波の高さは8m以上で、20m遡上した地点も。犠牲者数千人。
1707年10月28日: 宝永地震(南海トラフ)、M8.6程度。犠牲者20,000人、49日後に富士山が噴火。
1771年4月24日: 八重山地震、石垣島で犠牲者・不明者12,000人。遡上高は約30-40m
1854年12月23日:安政東海地震、12月、M8.4、房総で波高3 - 4m。犠牲者2,000 - 3,000人。
1854年12月24日:安政南海地震、8.4、波高さは串本で15m、犠牲者数千人。
1896年6月15日:明治三陸地震 、遡上高38.2m、犠牲者不明者22,000人。
2011年3月11日:東北地方太平洋沖地震、遡上高40.1m、観測できた津波の高さで9.3m以上、犠牲者15,894人。
これよりもっと昔の大地震でも、甚大な被害と犠牲者が出た津波が多いが、犠牲者数が不明なため省略する。
過去の遠隔地津波
以下は、海外で発生した巨大地震によって、日本にも津波が押し寄せた例を示す。
1837年11月7日:チリ・バルディビア地震。太平洋全般に波及。翌日夜、仙台藩領の沿岸各地に津波が押し寄せた。
1960年5月22日:チリ地震。地震発生の22時間30分後に18,000km離れた日本の太平洋沿岸にも津波が襲来。犠牲者・不明者142人。
ほかにも、1730年、1751年、1837年、1868年、1877年にチリの遠隔地津波が来襲。
このように、南米チリで巨大地震が発生した時には、日本にも津波が来襲する可能性が十分にあると警戒する必要がある。
津波から生き残るためには
次に、2016/12/27のスマトラ島沖地震の12周年の時にトカナで執筆した記事について。
『【TOCANA】スマトラ島沖地震から12年、タイには津波死者ゼロの地域があった~子々孫々に受け継ぐ「津波から生き残るための10則」』と題した記事。
ここでは、2004年のスマトラ島沖地震・津波で、すべての人々が助かったタイ・プーケット島の2つの地域を紹介している。
それと共に、私が考えた『津波から生き残るための10則』も書いている。
タイのラワイに住むモーケン族は、ほとんど1年中を海で過ごす海洋民族で、海のジプシーなどとも呼ばれる。
スマトラ島沖地震が発生した時、タイでも大きな揺れが起きたが、しばらく経ち、「異常に潮が引いている」ことをモーケン族たちは見逃さなかった。
彼らの間には、津波の前兆に関する言い伝えがあった。
しかも、海のことは知り尽くしていて、潮の満ち干の度合いについて正確な知識も具えていた。
そのため、すぐに危険を察することができたのだ。
モーケン族の奇跡
潮が引いたのは、津波が襲う20分前のこと。
先祖からの言い伝え通り、モーケン族はこれを津波の予兆と判断し、集落の全員を村の高台へと避難させた。
そして、地震発生から2時間30分後となる朝10時半ごろ、タイ各地に津波が押し寄せた。
タイ人や、リゾートビーチに休暇で訪れていた欧米人たちは、大地震や津波と普段は無縁という人々も少なくなかった。
もちろん、当時は津波警報のシステムなどあるはずもない。
津波の第1波が襲ってきた後も、何が起こったのかわからないまま混乱し、ただ逃げ惑い犠牲になった人々が多かった。
最高で20メートル近くに達したという証言もあるほどの大津波によって、タイだけで6千人近い人々が犠牲になった。
だが、モーケン族の1200人の村民は、全員が高台に避難していて、1人の犠牲者も出なかった。
中には、身体障害者や全盲の人も20人ほど含まれていた。
それでも、人々が助け合い、全員が無事だった。
日本語の津波は、「tsunami」として、そのまま世界共通語になっている。
これは、そもそも津波の何たるかを知らない人々が住む国が多いということだ。
伝承を鵜呑みにしすぎてもいけない
注意しなければならないのは、津波の前兆現象に関する中途半端な知識や誤信が、逆に悲劇を生み出すケースもあるという点だ。
2011年の東日本大震災が発生した時、岩手県大槌町では、引き潮が起きていないように見えた。
三陸沿岸に住む人々は、「津波が来る前には必ず潮が引く」と信じていた。
そのため、町の中心部にある高台に避難した人々の中には「本当に津波が来るのか?」と疑問を持つ人もいた。
20分間ほどたつと、高台の近くに住む一部の住民は、貴重品を取りに行くなどと言って、家に戻ってしまった。
その後に、沖合の海面が大きく盛り上がった。
「津波が来たら呼んでくれ」と言って高台から降りていった人々に声をかける猶予など無い。
津波はあっという間に町の中心部を呑み込んでいった。
結局、大槌町では約800人の命が失われた。
正確な知識を持つこと
東北大学大学院・災害制御研究センターの今村文彦教授は、「引き潮がない津波もある。津波の前に必ず潮が引くという認識は正確ではない。親から聞いたり、自らが体験したりして誤信が定着していた」(河北新報、2011年5月1日)と指摘する。
今村氏は、その時、実際は潮が大きく引いていた可能性が高いが、湾の水深や形状、そして港の地盤沈下によって、潮が引いたようには見えなかったのではないかという。
その地に受け継がれてきた忠告を守ることは、災害からのサバイバルのために必要だが、それを過信しすぎても逆効果になることがあるという例だ。
「正常性バイアス」を捨てて、常に最悪ケースを念頭に入れることが大切だということでもあるだろう。
こと災害に関しては、「ポジティブシンキング」などと言って油断していると命を落とすことになりかねないのだ。
だから私は、(SNS上で嫌われても)、こういう災害の危険性について書き続けるのだ。
モーケン族と我々の違い
私は、先のモーケン族の逸話を聞いて、強く強く、思うことがある。
未開民族などと呼ばれる人々が、津波の前兆をいち早く嗅ぎ付け、安全な場所に避難して犠牲者が全く出ずに助かる。
その一方で、われわれ文明人(?)たちが、このような前兆に気づかずに、あるいは不完全な認識によって命を落とす。
この違いは、どこから来るのだろうか?
それは、モーケン族たちは、常に自然を観察し、おそらく自然に畏敬の念をもち、自然と親しんでいる。
そして、文明人のようにコンピュータ機器などに頼らず、自分達の感覚や直観を一番大切にする。
というか、それしか頼りにできない。
そして、その結果として生き延びられるのだ。
津波から生き残るための10則
前述の2017年のトカナ記事の最後に登場する【津波から生き残るための10則】について。
これは過去の大津波から助かった人々の経験を参考にして、サバイバルのための10の鉄則を選びだしたもの。
とにかく自分では津波に被災したことも津波を見たこともないので、読んだものから情報を得るしかない。
短時間で作り上げたものなので、今後改定する余地はあるだろう。
ブログ読者やSNSつながりの人々から、自身の体験から得た教訓などを教えてもらって、より良いものに変えていきたい。
この10則を、こちらにも貼り付けておく。
1. 大地震の後で、潮が異常に引いたら津波が来る前兆
2. 引き潮の前兆がなくても、地震が起きたらいきなり津波が襲って来ることもある
3. 津波が起きた時のため、地域の避難場所を日頃から確認しておく
4. 津波からの避難は、水平方向ではなく垂直方向(高台や高い建物の上など)
5. 避難のために家の外に出る際には、家財道具や貴重品を諦める。命よりも貴重なものはない!
6. 身体が不自由な人や、高齢者を避難させる手法も日頃から計画しておく。津波シェルターなどもある
7. 車で逃げるな、足を使え:今年11月22日の福島県沖地震(M7.4)でも、車で津波から避難しようとして渋滞に巻き込まれた人々が多く見られた
8. 避難所を過信するな:津波発生時、真っ先に避難する一次避難所が絶対に安全とは限らない。陸前高田では、3.11で一次避難所だった体育館が津波に呑まれ、約80人が犠牲となった
9. 皆が逃げなければ、自分が声を上げろ:(特に日本人の間では)集団心理が働き、皆が逃げなければ自分も大丈夫だろうと思ってしまう人が多い。本当に危険ならば、英国のティリー・スミスのように自ら「逃げろ!」と声を上げ、周囲の人々に緊迫感を呼び起こさせることが大切
10. 周囲の人々の根拠のない「大丈夫」は信じるな:人間は誰にでも「正常性バイアス」という心理状態があり、大災害に瀕しても「自分は大丈夫」と思い込むことが多い。本当に災害から生き残るためには、現状を客観的に把握・判断して、必要ならば1人でも避難することが大切
これが、みなさんのお役に立てれば幸いです。
特に海沿いの土地に住む人々にとっては、そうでない土地よりはリスクが高いのだから、津波から自分や家族が助かるために、あらゆる情報を得ておくべきでしょう。
夢をもつこと
私が研究する地震前兆現象の多くは、科学者たちがあまり真剣に取り合わないものが多い。
また、予知夢や予感や啓示のようなものにも目もくれない。
だが、そのような人々には、なぜモーケン族たちが津波の予兆を察知して助かるのかを、考えてほしいのだ。
ごく一部、たとえば故人の大阪大学名誉教授だった池谷元伺氏よように、他の科学者たちがバカにして扱わないような前兆現象のたぐいも、少しでも可能性があるならば、人命が助かる可能性があるならば、「夢をもって」研究する方だった。
このような科学者や研究家が増えれば良いと、個人的には心から望んでいるのだ。
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3日間の絶食の末の朝食。三分粥、味噌スープ、柔らか豚肉など。食欲が全くなく恐る恐る食べた。術後にガスは出て大腸は活動しているようだ。
忘れられちゃったんかい?